マニラ・エルミタで読者さんが強盗に遭った話(6)

 

(6)である!

なんか、借りているサーバが大規模障害を起こしていたようで。これはもうどうにもならんのでね……(5)が読めないと苦情を頂いた。今は復旧している。

初めから読む

今日もサンミゲルライトを呑みながら書いております。

 

さて。裁判である。

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狭い! 傍聴席が3列。検事1名、弁護士2名、検事補2名、書記1名。狭すぎて、検事補はずっと立ちっぱなしである。

傍聴席には、 俺。法廷通訳の会社のヒト2名(見学に来ました!とか言ってて遠足気分な感じ。うむ。)強盗犯の身内! も来ていた。計4名である。

エアコンはきいており、雨季だというのに乾燥した空気の中、裁判は始ま……らない。

なんと。部屋に入ってから! 検事は裁判の準備をしているのである。先ほども色々と打ち合わせたのだが、まだ打ち合わせ不足なのだ。

今回の強盗事件。ふふふ。こちらには、強~力な証拠がある。

それは、バランガイが撮影していた防犯カメラである! その確認を、当日念入りに、何度もやった。

映像を見る限りでは、ちょっと微妙だが、当日の服装や、襲った瞬間も、なんとか収められており、証拠としては成立するようだ。このCCTVこそが、本件の鍵なのである。

強盗は、当日は獲物を探してチョロチョロ歩いていたようで、逮捕時の顔、服装がバッチリ一致している。これが我々の武器というわけだ。

 

裁判長が入ってきた。メチャクチャキッツイ、ネーチャンであった。

別にフィリピン国歌を歌うとか、起立するとか、そういったことも無く、なんか雑談から始まったので、俺は「え? 始まってんの?」と言った感じである。

今回は「法廷通訳」がいるんだが。その手続きやらなんやらを、開廷してから始めている。いや、事前にやっておこうよ……(そういうわけにもいかないようだが)

それにしても、当たり前だが、皆さんインテリである。俺が普段触れ合っているフィリピン人じゃない。文系最高峰資格を持っているだけある。
アタマの回転も、言葉の選び方も段違いだ。なにより英語が……クッソ早い!(笑) ワザとやってんじゃねーのってくらい早い。日本人相手でも、忖度ゼロ! であった。

とはいえ、平易な質問をしてくれたとおもう。俺もだいたい理解できた。

質問

これがもうね。文章で書くのは簡単だけど。アホほど時間がかかった。

今回の裁判では、犯人を呼ばずにオンラインで「あなたを襲ったヤツは誰ですか?」というのを、留置所とネットをつないで行ったんだが、時間がかかるのなんの……

それも複数犯だから、倍の時間がかかるのである。

フィリピンでは、ABCDの、四人の中から『コイツです』と指さすことが出来れば良いようなんだが、日本のように写真ではなく、生きている人間をカメラの前に立たせてやる仕組みなのだ。

今回は、おそらく4回くらいやった。

最後の4回目は笑えた。原告が、まだ何も言っていないのに、裁判長が、

「あなたは D に強盗されたということで間違いないですか?」 とか言っちゃってるんである。オイ! まだ何も答えてないんだよ!(笑)

 

で。

被害者の日本人は、犯人の名前なんて知らないんだけども、裁判長が「このヒトが、ナントカカントカに間違いないですか?」とか言っても「いや、名前は分からない」となるので、メチャクチャ不毛な時間が流れてしまうのであった。本ッ当~に無駄なやり取りが多かった。

そしてまた、弁護士の質問というのも、「その質問する意味なに?」っていうのが多かった。

例えば、

「あなたが警察署を訪れた際、警察官は何人居ましたか?」

知らねーよ!(笑)

「どうして警察官に声をかけたのですか? 最初に声をかけた警官の名前は何ですか?」

いや。その質問はどんな意図があるんでしょうか?(笑) そりゃ強盗に遭ったから声をかけたに決まってるじゃねーか。

まあ、オフィシャルすぎるほどオフィシャルな場である。なにしろ裁判中だ。俺が傍聴席から「異議有」という訳にもいかないので黙っていたけども。

もう弁護士も、なにか弁護をするって感じでもないのである(笑)

ほとんど現行犯みたいなモンで、防犯カメラに写っているのに否認しているという、意味不明な事件だからな。

 

ほんで。改めて裁判長の前で、防犯カメラの映像を見せて「ね? コイツがやったでしょ?」ということを検事は説明する。弁護側は何も言わない。

たったこれだけのことに、3時間くらいを費やしたのである。

リーダーは釈放!

本件は、軽く『エルミタ・マラテ強盗団』を形成していたのである。その指示役については、警察はズバリコイツですと言っていたんだが、これについては証拠がない。
今回、この指示役も捕まえたんだが、指示役が

「はい。わたしが指示をしてやらせました!」なーんて言う訳もないので、証拠不十分ということで、コイツについてはお咎めナシということになった。

ま、一か月くらい留置所に入っていたようなので、一応警察としてお灸を据えたといったところだろうが、裁判には耐えられなかった。(何しろ指示をした証拠がないんだから)

いつ終わるんだコレ……

今回。俺は色々と期待も兼ねて行ったんだが。とにかく進行が遅すぎて、マジで退屈であった。

通訳の方も、だんだん「要するに~」とか言ってしまっていた。(連発していた)いや……

いや……法廷通訳は、要してはいけないのである……

一般の通訳と、法廷通訳は全く違う筈だ。法廷通訳は、言われたことを、単純に、正確に通訳するスキルを求められる。
その場で聞かれたことだけを、単純通訳しなければならないハズだ。これだから法廷通訳は難しいと言われる所以だ。

しかし今回の法廷通訳の方は、どう考えても日本人の味方をしてくれた感がある(笑)

ま、全体的にヤバイ訳をしていたわけではないし、十二分に職責を果たしてくれていたと思う。
しかしやはり、法廷通訳としての訓練や研修は受けていない感じはあった。
今回メチャクチャ有難いことを引き受けてくれた訳で、俺ごときがダメだしすることでもないんだが、やはり裁判というのは公正に進行されるべきなので。このあたりは今後に期待というところか。

言葉についてはどうか

今回は外国人だからなのか知らないけども、使われていた言葉は、全部英語であった。
留置所との会話はフィリピノ語だったので、英語率97%と言ったところか。英語が理解できれば、フィリピンでの刑事裁判は問題ないようだ。

ただし、英語といっても法廷用語が乱れ飛ぶ上に、忖度ナシでマシンガンのように喋ってくるので、聞き取るのが精一杯。よほど自信のある人でもない限り通訳を入れた方がいいだろう。

で? マジでいつ終わるのコレ

後半戦は、敵の弁護士からの質問なんだけども、「弁護する気ある?」というような内容の質問ばかり。

明らかに、時間を潰しているだけというか。なんの意味があるのか分からない質問しか無かった。

「あなたが盗まれた財布の領収書はどこにありますか?」とか。それを一点一点質問するのだ。ミスターウィットネス(←被害者。今回は証人という立場)に!

繰り返すけども。今回の事件は「準現行犯逮捕」で、「無罪主張」なんで。弁護士も、なにを質問していいか分からんのであろう。防犯カメラにバッチリ写っていた当日の服装が、逮捕時と一緒なのである。

どこをどうしたら無罪ということになるんだろうか?

とはいえ、相手側の弁護士としても、質問はしなきゃならない。それが仕事だからな。

無罪主張ということで、なにか強烈な材料でもあるのかと思っていたが、ゼロであった。

とりあえず「やってない」と言い張っているだけのチンピラであった(笑) さすがにそれは通らないだろ……

検事が提出した複数の防犯カメラ映像を崩す「大ネタ」があるのかと思ったんだが、「俺はやってない」と言っているだけ!

 

つまり反省も謝罪も弁済もしていないので、日本人側も「そりゃー通らないよね」ということになり、「司法取引」や、「許してやってもいいよ」という発言は出なかった。決裂である。

相手もゴメンナサイすればいいのに、「俺はやってない」とか言うもんだから、もうどうしようもない。

検事が提出した防犯カメラ映像は決定的なもので、これをどう覆すのか? 弁護しようがないんだが、弁護士としては一応反論するのが仕事だ。

というわけで長くなってきたので、続きは(7)で。次回完結編です。

おぢ
絶対に有罪という場面でも「やってない」と否定するのがラテン系のお約束なんですかねぇ…マラドーナもコカインの現行犯で捕まった時、同じでしたから…。
2026/08/29 22:44
被害者のおぢ
被害の弁済が為されたのなら司法取引に応じても良かったのですが、何も弁済されていないのに取引も何もないですよね…。
2026/08/30 19:08
記事を書いた人
お。本人降臨ありがとうございます。 一応言うだけ言ってみたって感じですかねw
2026/08/30 22:31

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