フィリピンで動物に咬まれたらどうなるか(1)
やっちまったんである…ついにやってしまったのである…フィリピンで…
先週。つい酔っぱらって(←毎日だろ)猫をイジっていたら、本気で咬まれた。牙の根本まで、しっかり俺の腕に刺さってしまった。
日本だったらいいけども、狂犬病アリの国で、それをやられてしまったんである。
動物側、人間側、双方予防接種をしていたって、死ぬときは死ぬ。
ああ。動物に咬まれるというのは普通に死ぬかも知れないのが常識の国だって、知っていたハズなのに…
そん時は、なにしろ泥酔していたので、水で流してベッドで爆睡したんだが。起きた瞬間….
痛ッたいんゴォォォォォ!
あれ?痛い。痛いんですけど。それも本能レベルでシャレにならないレベルで痛いんですけど。
やばい。本当にやばい。咬まれたのは左手首なんだけど、肘から下全部の感覚が無く、ほんの少しでもモノに触れると激痛が走る。
これはただ事じゃない。仕事どころじゃない。命を守る行動をせねばならない状態なのであった。
まず思い浮かんだのは「ABC(アニマルバイトセンター)」。つまり動物に咬まれた際の駆け込み寺みたいな施設だ。
都合の良いことに、つい最近ウチの近所に新規オープンしたので歩いていける。フィリピンでは、このABCというのが沢山あって、24時間365日受け付けているのだ。いやー近所。徒歩圏にABCがあるのマジ心強いわーこういう時頼りになるわーこんなん一択やん。ひとまずABCに行こう。
もう考える余地もなく、とにかくすぐにABCに行った。ら、ダンボールのきれっぱしに「食事に出ていますから1PMに来てね♡」と書いてある。(本当に「♡」も入っていた事実も併せてお伝えしておきたい)
—お前サァ、まだ10時やぞ。しかも手書きのネコのイラスト付で…(クソバカため息) 13時まで待つのがどれほど長かったか…
それでも13時になったのですっ飛んで行ったら、今度は なんと他の客と、延々とバカ話。談笑中。俺は痛すぎて、もう受付の椅子でクチから魂が出ていたんだが、それでもようやく順番が回ってきた。
ほんで、ナースは、俺の腕をチラッと見て一言目「病院に行け」だってよ。おい。ここ動物に咬まれたら来る場所なんちゃうんか?「アニマルバイトセンター」やぞ?
—ほしたら、ABCのねーちゃんが言うには、どうやら重症いらしく、ABCでは対処できないらしい。
わかった。じゃあどこの病院に行けばいいのか教えてくれといったら、どこでもいいから早くいけと。幹線道路沿いのどっかにあるだろと言われてドアを閉じられた。どこでもいいって…もう少しなんかアドバイスあるだろ?
【教訓】病院に行ったほうが早かった
わかったじゃあ病院いくぞ
ABCの対応の悪さを言っても仕方ない。時間は返ってこない。俺は焦っているのだ。
覆水盆に返らず(日本の諺)こぼれたミルクを嘆いても無駄だ(イギリスの諺)
はい。じゃあ病院行こう。
それにしてもどこにあるんだろう?グーグルマップで探したいんだが、無事な右手一本では、ロクにスマホを弄ることもできなかった。
仕方ないので適当にバスに乗り、本当に幹線道路沿いの、直感でココだ!という病院を探すことにしたら、良さげなところがあった。よしここにしよう。
『スペイン統治時代からあると言われても、俺は信じるね』と言いたいほどボロッボロの病院。これいいわ。うん。ここはいい。偶然見つけたが、よしよしである。ここは良さそうだ。経験上、こういう病院は安くて腕の良い場合が多い。ここにしよう。第一痛すぎて選ぶ余地なんかない。(後ほど解説記事を書きます)
受付に「動物に咬まれたからすぐ診察してほしいビリサンモォォ!!」と言った。ら、まず「マスク持ってますか」だと。ハァ
持ってないなら10ペソで売ります、だってよ!ほんで、マスク売り場はまた別にあって、そこまで行かないとまず病院に入れないらしい。
俺は紳士なので、おとなしく従い、動物に咬まれてタラガンヤバインゴ、と丁寧に伝えた。
ら、なんと。エマージェンシーということになった。おお!そうだろうそうだろう!!
緊急扱いとなったのだ。やったぜ。おお。ホッとした。順番全スキップの権利を得たのだ。ありがとうボロボロ病院。やはり病院はボロッボロに限る!
—じゃ、まず体重計ってください。
—仕事は何ですか?
—どの神様を信仰していますか?
等々、まずは緊急対応に相応しい質問責めからはじまった。
俺は令和イケメンなので「いいから早くしろ!」等、昭和老害沈没クレーマーのごとき対応をせず。
全て丁寧に質問に答えていったが、さすがに途中から馬鹿らしくなった。答える必要を認めない質問が増えてきたところで打ち切った。
そもそも腕が痛い以上字も書けないので、免許を見せて「これを写してください…(蚊の鳴くような声)」と言ったらそれで通った。じゃあはじめっからID見せろって言えばいいじゃん?!(あ、そっかー!みたいな感じで盛り上がっていた。いやいや、何年仕事やってんだよ…これだからボロボロ病院は…)
もっとも、国民皆保険の日本のほうが珍しいのであって、病院は、まずこういう質問をしてくるのは分かっていたから腹も立たない。
次の質問は「カネあるか?」だった。うむ。来たかこの質問が。待ってました。フフフ
“マジな話…今日だけで一万ペソ以上かかるが….??支払い…大丈夫か?"
ある!俺は断言した。
—アレ?
3000ペソしかないwwww(本当に大爆笑になりました)
いやー…スタッフ一同に笑われる結果にww(恥)アレ?なんでなんだぜ?!これは俺も、現地でさすがに苦笑い。
当然入っていると思っていたんだけど補充してなかった。痛すぎてカネのことなんて、全く頭に入ってなかったのであった。いやーしくじったね。でもある意味、ま、日本人だし大丈夫だろみたいな空気になってくれた。この笑いで和んでしまって、愛されキャラ的な位置取りになってしまった。いやそんなことより早く治療してくれよ。
GCASHならあるぞ、と言ったらドクターに聞いてくるとのこと。結果はOK。いやー。GCASHの残高あってよかった。前回帰国の際、読者様からGCASHと円を両替したんだけど、まさかの、ここで生きた。こんなブログでもやっておくもんだ。まさか救急病院代に使うとは思わなかった。読者様ありがとう。あんとき両替したGCASHは、救急病院代に使った。助かったよ。
***
さて話を進めよう。
俺はエマージェンシー対応だったが、先客の乳児がいて、ソッチでバタバタしていたので、俺はその次であった。
乳児の顔が土気色になっている。母親は泣いてるわ父親はグルグル回っているわ、という状態だったんで、さすがにソッチ先にしてもらっていいよと言ったんだがコッチも痛い。そしたらスタッフが、親切にベットをあてがってくれた。(そんときのベットの写真をSNSに上げました)
もう、この頃は左腕が丸太みたいになっていたので、ベッドで寝るだけで大分楽であった。
注射天国はじまる(ここから参考になる記事なので読んでください)
本当は注射地獄と書くべきなんだろうが、俺の命を守るための注射なんだから、地獄ではなく天国だろう。今日までに19本打ったので、ここに書いておく。ようやく皆さんの役に立つ情報を書いていくので、ここからはちゃんと読めば参考になると思います
狂犬病注射(緊急)x3
比では、動物に咬まれた=狂犬病ワクチンの緊急投与となるようだ。それはそうだ。動物側がワクチン打ってるというのは無関係。人間側がワクチンを打っていなければ、動物ワクチンに関係なく、即、緊急投与という対処になったんよね(全く正しい措置です)
今回わたしは当日中に3本打たれました。いわゆるEQUIRAB(クソ高い)です。
ワクチンを急速投与することで狂犬病発症を抑えるに必要な措置ですね。病院で打ったもんだから、これがクソ高くって7500P
でも、病院側としても打たない選択肢はないでしょうから仕方ありません。狂犬病発症防止の緊急投与で、まず3本。
次に破傷風ワクチンを一発。なんと180Pという激安価格。日本人会。そういうとこやぞ。
次にケトロラック。これは日本未承認薬なんですが、重度疼痛患部に打ちまくって痛みを止める注射です。簡単にいうと、咬まれた患部の「歯形」に、ひとつひとつ直接打って痛みを止める注射でした。私の場合歯形クッキリ♡だったので、なんと1アンプルまるまる使いました(笑)
それでも全部でなんとお値段175P!数えきれないほど打ったので注射回数が増えたわけです。あとで調べたら劇薬なんだそうですが、容赦なく乱れ撃ちされました。患部に直接注射だから、すごく効いたとおもう。おかげで楽になりました、ありがとうボロボロ病院のドクター。
他に色々調べて分からなかったんですが、いわゆる解毒注射というのを二回行いました。コレなんの薬か明細が分からないんですが二発。250P。その他アレルギーテストで二発。なんやかんやで、当日17本注射を打ちました。ケトロラックは擦過創にも打ってたんで、とにかく乱れ撃ちされた感があります。注射しすぎて、最後はケツに打たれた注射がなんなのか分からないw
あとは、俺がもっとも欲しかった、待望の抗生物質処方箋。これ650P。
比では、処方箋さえあれば抗生物質は自力で手に入るので、別に医者の指示なんて要らないんスがw
ま、今回は素直に病院にいき、医師の処方を受けた都合で(裏技無しに)正規ルートで入手しました。それを大人しくのんでます。皆さんに「お大事に」って言われてるかんね。医者の言う通りにしています。(まぁこの話はまた今度。在住者の人はみんな知ってると思うけど)
で、でも。もお高いんでしょう?
で。気になるお値段のほうは!ざっくり13000Pでした。
—とどのつまり、まぁ相当安く済みました。ゆうたら3万円弱くらいです。ありがとうボロボロ病院。
(なお医師はちゃんとしていたのも付記しておきます。治療行為に不満はありませんでした。満足です)
・ボロッボロ病院だったので、マカティの外人病院みたいなナメた請求がなかった。っていうかゼロだった
・動物に咬まれたエマージェンシーだったので、ドクターに払うカネも何故かタダだった
・で、エマージェンシーだったので、当日の日帰り病室代も無料だった
あと。俺は”破傷風ワクチンなんかもそのうち打って貰わないといけないなー”なんて思いつつ、後伸ばし後伸ばしにしていた、典型的フィリピン在住者だったんで、今回バカバカワクチンを打たれたのはむしろ良かった。災い転じて~とか言うつもりはないけど、結果的に予防接種できた。
本記事は色々余談があるので(1)としました。回復したら2を書きたいと思います
読者の方には、ご心配をおかけしました。ありがとうございます。