中村がフィリピンでバイクの免許を取るまでの話(4)

続きである。

(3)は酔っぱらいすぎて、書いたことすら覚えてなかった。(4)はあまり飲まないうちから書くことにしよう…(反省)

ま、そのようにして中村は試験に落ちた。カンニングして落第という偉業を成し遂げてしまった。

そして俺んとこに相談に来たのである。「どうしたらいいですか?」いやどうしたらいいですかと言ったって・・・
勉強したら?の一言である。

(以下余談)

フィリピンの運転免許試験というのは、引っ掛け問題がない。
全60問(よく日本人ブログで50問と書いてあるが間違い/古い情報である)の中で、いわゆる「ご褒美問題(誰でも分かる問題)が大体20問。
走行、緊急等の問題が20問。法律その他で20問くらいの構成だ。
この中で、勉強しないと当てられない問題は、大体20問くらいである。とは言え3択なので、運がよければ当たることを勘案すると、教則本(LTOから無料でPDFが出ています)をザッと読んで、傾向と対策をしておけば、まず何度も落ちることは無い。

まず、ご褒美問題というのは、「信号機の真ん中の色はなんでしょう?」答え:イエロー等という、冗談抜きで幼稚園児でも知っているような内容である。

次に緊急問題というのは、
「あなたは車を長時間運転しています。もう少しで家です。しかし疲れています。どうしたらいいですか?」
A 路肩によって休息をとる
B ハジに寄ってゆっくり走る
C スピードを出して早く家に着く
こんな感じである。(なお、比人の多くはCを選ぶので、実は「ひっかけ問題」である)

坂道問題は昔からかなり出る。昔は「車輪止めを置く」が正解だったのだが、今はハンドルを右に切る、が正解のようだ。この辺りも俺が取ったときとは時代とともに変わっていた。

法規系は勉強しないとダメだ。まともに試験突破するなら、ここだけ勉強しよう。交差点での駐車禁止メートルは?A:6m B:7m C:8m ←実際に出ていました知らないとカンで答えなければならなくなる。もちろんフィリピンの法律で、だ。
例えば、運転をする際所持しなければならないものは、免許とOR(LTOで貰った領収書)だ。馬鹿馬鹿しいことに、これは法律で決まっている。免許だけでは「不携帯」となる。また、ペナルティの期間問題も難しい。(例えば飲酒運転での免許停止期間等、日本とは全く異なる)
フィリピンの道路交通法は、イチから自力で勉強しなければならない。
ただ、この辺りで取りこぼしがあったとしても、合格ラインが8割なので48点取れば合格できる。出題される範囲と問題は大体決まっている。

無勉で合格しました!と言っている日本人もいるけど、その通り、結構無勉でもイケてしまう。一度落ちても次は受かるだろう。試験慣れしている一般の日本人なら、まぁチョロいとまでは言わないが、言葉の壁があるとしても、落ちまくることはないとおもう。

(余談終わり)

で。続きである。

英語が全く読めない中村は、カンだけで3択を当てまくるのは無理ということで、問題をスマホ撮影し、替え玉に回答してもらうという手段を使ったわけなのだが、替え玉の品質に若干の問題があったので、前回は見事に撃☆沈した。

なお、比の免許試験は、昔は一度落ちると一か月後しか受験できないという地獄ルールがあったのだが、それは今無くなったようだ。代わりに、3回までは受けられるが、3回連続で落ちると自動車学校からやり直しという、新たなルールが出来たようである。

ほんで、中村は今回落ちた。つまり1アウトである。3アウトで三振というわけだ。

じゃあ次どうすんの?

1.懲りずに替え玉を使って受験する
2.真面目に勉強して自力で突破する
3.フィクサーに賄賂を払ってカネで解決する

この三択である。俺は2を勧めた。別に真面目ぶっているわけじゃないけど、この機会に英語を勉強するのはいいことである。
確かに免許試験は、普段まったく使わない単語がたくさん出てくるので難しいことは難しいが、問題自体は簡単なのが大いに救いである。つまり読めれば合格できるのだ。LTOの免許更新オンライン試験だって、普通に解けば3回もやれば大体合格するわけだが、本免試験はアレよりずっと簡単なのだから。

3は勧めない。というより、あとはもう合格さえすれば免許を持てるのだから、ここまで来てフィクサーに頼むのはいかにも惜しい。

ど~したらいいですかねぇ?という中村の選択は、やっぱり1であった。

まぁそうであろう。「相談」というのは、ほとんどの場合自分で心がもう決まっている。

だったら早いほうがいい。

というのは、今日は、試験官が用事があっていなかったというラッキーデーだったわけだ。もしかしたら明日もいないんじゃね?ということである。英語が読めない以上、試験官が巡回している状態になれば、中村は打つ手が無くなってしまう。

俺は「1なら明日行け!」と回答をした。

で。翌日。彼はLTOで試験を受けた。試験官は・・・・ガッチリいたそうだ。

1手詰みである。

というか、それが当然である。いくらフィリピンっていったって、国家試験なんだから。そりゃいるだろ。常識的に考えて。

だから「勉強して突破しろといっただろ」と(俺は正論を振りかざしているわけじゃないかんね。俺が普通だから!)言いかけたのだが続きがあった。

—彼は持ち前の度胸で、試験官がいる前で、堂々全問スマホ撮影し、替え玉に送るという離れ業を行ったらしい。なにやら衝立の位置が絶妙だったらしいのだ。・・・これは凄いことである。

どうしてかというと、いまフィリピンのLTO試験は、受験生ひとりひとりに監視カメラが設置されており、自動で目線等を記録し、不正があると試験問題がリセットされる仕組みとなっている。だから逆に試験官はお飾りでひとりいるだけという状態となっているようなのだ。

彼はそれを逆手に取り、aiカメラも欺いて、昨日の経験もあり、まんまと全問を撮影。頼りにならない替え玉君に問題を再び送信するという離れ業をやってのけたのであった。

結果どうなったか。合格した。まぁ・・・おめでとう、は、おめでとうである。俺にはやれないけど。

なんつーか「お前凄いな」としか言えない話であった。良い子の読者は真似しないように。というか真似するヤツいないと思うけど。

今回は、英語をまったく読めないひとが、比の免許をはじめっから取るという、ちょっとあまり参考にならない記事だったかも知れないが、誰かの役には立つだろうということで、消さずに残しておくことにしよう。

 

お断り:こういう記事を書くと、決まって正義マンが湧くわけなんだけども、俺がカンニングして免許を取ったわけではありません。そもそもこのブログ自体フィクションです。いわゆる「フィリピン系ブログ」の筆者に日本の常識を持ってこられても困りますのでご承知おきください。