ケソンシティは危ないというブログに注意
フィリピンは治安が悪いと人は言う。それはそうだろう。
それは認めるんだけど、「フィリピン 治安」で日本語検索すると、必ず出てくるのがケソンシティである。
いやいやいや・・・いったいどうしてそんなことになるのか。ケソンを愛する私としては看過できないので、今日はケソンについて書こうと思う。
まず、ケソンが危ないと書いているブログの著者は、そもそもケソンに住んでいたことも、来たこともない人たちばかりのようだ。
酷いのになると、外務省の安全情報だの、PNPの犯罪率だのを引き合いに出して「どや!フィリピンでケソンの治安が悪いだろ!」と書いてある。
これはもう失笑というしかない。
フィリピンのここが危ない!というからには、せめてその土地に行ったことが無ければならないと思うんだけど、どうだろうか。
たかが1、2年ほど留学した程度のレベルで、一体どうしてフィリピン共和国全体の治安の良し悪しを語れるのか?私には理解できない。
そもそもマニラに来たことさえない人が、なんでケソンが危ないと言えるのだろう?
私が思う治安の悪さ
フィリピンに住んでいて思うのは、治安というのは相対的なものだ。
絶対に立ち入ってはいけないという地域(例えばトンド)だとしても、住民みんな顔見知りであれば、ある意味安全だとも言える。長く住んでいれば、フィリピンはどんな土地でも自然と住みやすくなり、安全になっていくものだ。心を開いて会話をし、住人らと溶け込んで仲良くなれば、裏話も聞けるし、危ない場所だって教えてもらえる。夜道も歩けるようになるし、どういう行動を取ればいいか自然と学習していける。「この土地は危ない!」と指さすブログは多いけど、よく読めば、フィリピンのことを何も分かっていない、うわべだけの内容であることが多い。
しかしこういうブログほど上位に表示されて、みな参考にしてしまう。
治安が悪いのではなく、あなたが治安を悪くしているのだ
まず覚えて欲しいのは、海外で外国人が危ない目にあうというのは、外国人が多い地域である。つまり観光客や留学生が多い地域が危ない。これは世界中鉄板と言っていい。
外国人の少ない地域は危ない目にあう可能性は少ない。何故なら、犯罪を犯す悪い奴だって、捕まりたくないからだ。つまり外国人慣れしている現地人ほど警戒する必要がある。
「日本人が強盗にあった!」というニュースがあったとしても、日本人が多く住んでいるのなら、確率としてそういうニュースになる場合は多いということだ。
もしも在住者と犯罪率を割ってみれば、フィリピンで一番犯罪率が高いのはマカティということになってしまうだろう。しかし実際のところ、マカティの治安は良いと言える。
試しに、まにら新聞の報道と、地域当たりの日本人在住者を割って計算してみればいい。おそらく数字の上では、マカティ、パッシグ、パサイの治安が悪いということになるはずだ。
つまり観光や留学目的の人たちが多く集まる地域には、自然と外国人狙いの犯行もあるので、インターネットで情報ばかり集めている人自身が治安を悪くさせているのである。
そもそもケソンに住む理由がない
どうして日本人留学生ブログは、ケソンが危ないと指さすのだろうか?犯罪が一番多いというのは的外れである。
ケソンシティとヒトクチに言うけど、QCは広大だ。人口だけでも名古屋圏に匹敵するほど多い。なにしろ1行政単位として世界最大の市なのだから、フィリピン全土で最も犯罪が多いのは当然だ。
次に、ケソンが危ないという理由がない。指摘する理由がないのだ。だってケソン(マニラ北部)に住む理由が無いからだ。
マニラに住む日本人は、ほとんど海側(空港寄り)に住む。一般的にはまずマカティに住むし、治安が心配ならBGCやパサイに住む。これで心配事は無くなる。不便な北側に住む理由がない。だからそもそも警告したところで意味がない。
ケソンの治安とは、おおよそラスピニャス、パラニャケくらい
ではいよいよ本題に入ろう。ケソンの治安とはどのくらいのものか?と言われたら、正直一段落ちるくらいはあるだろう。
しかし、マニラでも治安のよい場所と比べれば、の話であり、体感としてはNCR周辺とあまり変わらない。正直ケソンよりもパッシグあたりのほうが、危ない場所は多い。
ケソンは外人狙いの強盗なんか全然いない。悪い人たちはマカティやマラテまで、ちゃんと出稼ぎに行く。犯罪者も効率を考えて仕事する。
ケソンの地元外人よりも、知らないエルミタの外人のほうが御しやすい。だってあなたが犯罪者としよう。どうしてケソンに住んでいる海千山千のベテラン外国人を狙う??
マラテに出張したほうがいいではないか。
ケソンは観光資源がゼロに近いので、外国人はまず来ない。一体ドコ情報で、ケソンはフィリピンで危ない場所だと言うのだろうか。私の感覚では、NCR周辺地域と何も変わらない。
はっきりいって、フィリピンの中でケソンが危ないという情報は間違っている。ケソンには伝統的な語学学校も数多くあるし、外人も少なく住みやすい。
濃いマニラを体験できる場所とも言える。慣れればマニラ中心部までもほど近いし、穴場や隠れ家バー、小さい映画館や個人美術館なんかもある。わたしに言わせれば、ケソンも知らないでマニラを語ることなど出来ない。ケソン、サヌアンの雑多なマニラ北部には、芸術や本当の金持ちが息づいている。そもそもケソンこそがフィリピンの中心地であることも忘れてはならない。
ケソンの魅力
ケソンの魅力はいろいろあるが、実は風俗街がある。エルミタ、マラテは外人がいく場所だが、ケソンのティモッグこそ、フィリピン人が行く伝統的風俗街だ。
この近辺は、フィリピンを代表するマスコミが林立している都合もあり、いわば六本木のような場所だ。エルミタマラテのような客引きは一切いない。
だから日本人は情報がなく右往左往するのだけども、ティモッグこそがマニラでディープに遊べる地域である。
<※ティモッグで遊ぶというのは、車で来るのが大前提です。エルミタのように、親切に風俗街があるわけではありませんので念のため>
クバオは、アラネタドームを中心としたケソンの一大都市なんだけど、現在さらにノースエドサは輪をかけて大都会という形相になっている。(初めて行った人はかなりビビる)
そしてこの周辺地域に、こじゃれたバーやマーケットが点在している。
ルソン中の新鮮な食品が集まるとされるクバオファーマーズマーケットは、マカティ住の駐在日本人らが地団駄踏んで悔しがるほどの豪華さを誇る。
シャキシャキモヤシや、取れたてのマグロ、サーモンが、早朝便でジャンジャン入荷して、飛ぶように売れていくのだ。(もちろん刺身で食える)
ケソンっ子は、エビとは生きたまま買うものである。私も何度か紹介したけど、是非週末に行って欲しい。その日の夕食は帰国したかのような祭りとなる。
マニラの台所はケソンにあるのだ。
「で?治安がなんだって?」と、ケソン在住の日本人こそ、情報ツウの留学生を尻目にお刺身ライフを満喫しているのである。
地図を眺めてみれば分かるんだけど、ケソンというのは、広大なルソン島北部とマニラをつなぐ場所なのだ。アンヘレスを知っている人は分かると思うけど、のどかな田園風景から、いきなりビルが林立する大都会に入る。ああ、マニラに来たな、と実感できるのがケソンシティだ。
ケソンは、バス会社の土地でもある。ケソンからは、中距離、長距離のバスも出ている。ケソンからバスで、フィリピン全土に行けるのだ。(クバオ駅周辺にたくさんある)
フィリピンは島国?バスごと船に積んで、何日もかけて島の中心地まで行くのである!飛行機のチケットを買えない人たちは、ケソンのバスに乗るのである。
交通が発展する場所は人も集まり、活気がでるものだ。当然スリも物乞いもいるだろう。ケソンには、そういった人たち向けの大道芸人もいる。なかなかうまい。
ケソンは市井の普通のフィリピン人たちが息づいている場所だ。危ないかも知れないけど、じゃあそもそもあなたはなんでフィリピンに来たの?という話にもなる。
つまりケソンに住めば、フィリピンのどこにでも、格安で移動できる体験をすることができる。
どうだろうか。訳の分からない統計よりも、マニラ北部に住むほうが魅力が大きいことに、気づいてもらえただろうか。
この記事は、「フィリピン 治安」と検索してケソンシティと表示されるのが我慢ならずに書いた。
日本人がケソンに住む可能性は少ないと思うけど、もしもあなたがケソンに住むとなったとしても、あまり心配は要らない。(ノバリチェス等、郊外住となったらまた別だろうけど)
フィリピンの田舎の州に住むくらいの感覚でいい。マカティより治安は悪いかも知れないけど、あまり敏感になることはない。