日本:また海外失効免許の更新

コロナでフィリピンに封じ込められたこともあり、またまた日本免許を失効してしまった。なんかいっつも失効してんね俺。

免許の失効は一大事だけど、海外に住んでいるひとにとってはそうではない。日本国では「やむを得ない事情」がある場合、失効しても回復できるのだけども、海外にいればやむを得ない事情となるからだ。今回は二年間の失効ということで、余裕である。三年以上、五年以上というふたつのハードルにひっかかっていないのだ。免許センターにいって、まーた新しい免許を貰いにいったわけなのである。

わたしの順番が来た。
パスポート、書類、期限切れの免許を警察官に差し出すと、彼は黙って海外失効扱いの書類を準備しだした。かなりの量の書類だ。
「これ全部書いてもらうことになるから」と前置きすると、わたしの出国日、入国日、氏名等を確認していく。
そうして確認が終わると、もう一度私の入国日、出国日を確認していく。パスポートを一枚一枚めくり、なにか不正はないかと疑い、それが無いと分かると、もう一度私の入国日、出国日を確認する。都合4回!全ての書類を確認された。これだけで40分くらいかかった気がする。

穴が開くほど書類を点検された結果、私は合格であった。ぱちぱちぱち。

警察官は、問題ナシと分かると「旅券・渡航許可記載事項写」という書類を差し出してきた。

渡航目的:観光、留学、商用、研修とある。外国免許の交付状況等記載事項?こんな書類があるなんて、インターネットのどのブログにも書いてなかったので情報がない。わたしは海外に居たためとして提出した。

そうしたら、警察官が「コロナで入国できなかったため」と言って、(カッコ)の欄をトントン指さした。
そう書けという指示だろうと思ってそう書いたら、書いたあとで『あ、これは貴方が任意で記入したものだからね』と言われた。なんだそりゃ。
それで受け付けてくれるなら、もうそれで良い。警察にいちいち逆らう必要など無い。それに、それは事実でもある。

次は、日本出入国状況申告書。これまたネットになにも情報がなかった。
何年何月何日から何年何月何日まで外国にいたのかを、全部記載する一覧表で、過去50渡航までさかのぼって記載できる、地獄のような書類だった。
めんどくさいので直近の渡航だけ書いて提出しておいた。それでOKだった。書かせるだけのようだ。

全ての受付が終わると、視力検査を先に受けるように言われ、ドコドコの窓口でカネを払えとグルグル回った。
海外単純失効は800円だとネットに書いてあったけど、4100円取られた。

そして、写真とパスポートの写しをゼロックスするように言われた。おおーフィリピンみたいである!
こんなアナログなことを、令和の免許センターも求めるのである!なんとなく嬉しくなった。

で。

全部が終わったら、警察官が
「あんたね、今日から免許を受けるわけなんだけど、初心者マークをつけてもらうことになるから」と言われた。bakit?
なにかの間違いだろう。

「あー。お巡りさん。私の免許の裏みてください」
「ハイ」
「公安委員会・初心者標章免除となっていますよね」
「ハイ」
「私は初心者マーク免除ということで、前回、公安委員会から許可受けてますので」
「いやーダメなんだよね」
「なぜ???」

訳が分からない。「お巡りさん。私、今回免許の更新ですよ?
「うーんとね。あなたが真実に海外で暮らしていた証明がないから」
は?それと運転技術となんの関係があるのか?

フィリピンのお上に逆らってはいけないが、日本のお上には逆らってもいい。私には言い分がある。
これまでは若葉マーク免除と公安からお墨付きを与えられていたのに、どうして更新したら初心者に戻るのだ?理屈に合わない。

納得できないと言ったら、じゃあ今日、失効した日付から今月までの、海外に住んでいた証拠として、あなた名義の海外居住地の水道光熱費の原本を公安委員会に提出してくださいという。(本当にこう言われた)

—いや、どうして、今回初心者になるのか知りたいんですとお願いしたけど、ちょうど昼休みの時間で、午後に来てくださいと言われた。

腑に落ちないまま、わたしは免許センターの食堂にいった。まあいいや。免許貰って帰ろ。

午後、指定時刻に、指定された部屋に行ったら、講習があるという。—講習?
なんでも、『特定失効者講習』なるものがあるそうなのだ。道路交通法第108条2、1項第11号に書かれているんだって。あっそう。

そんなレアな講習、受けるのは俺しかいないだろ。さぁ面白くなってまいりました!と思ったら、ただの違反者講習であった。いやなんで??
何の落ち度もなく、日本で数年間ハンドルも握っていない私なのに・・・

入室すると名前を呼ばれ、なんと最前列に座れとご指名を受けた。だからなんで?!わたし無罪なんですけど。
特定失効者は最前列に座るルールがあるのだという。

そうしてわたしは、交通事故で息子を亡くした母のビデオメッセージだとか、各種法令の変更点だとか、普通免許と中型免許の違いだとかいう講習を、最前列で2時間受けた。

講習が終わると、おねーちゃんが入ってきて、じゃあ皆さまお疲れ様でした、名前を呼ばれた人は免許を~という。やれやれ。やっと終わったか。

『特定失効者の方は聴聞がありますので~』ハ?

まだあんの?

つまりこれから取調べをするというのだ。わたしは2番であった。隣に座っていた男性も、私と同じく特定失効者だったことを知った。仲間がいた。

 

もうどうにでもなれと聴聞室に行くと、まず顔写真の撮影をされた。

そうして、ちょっとエライ人の取調べであるが、わたしは機先を制して、「なんで俺が初心者になるのか」と食い下がった。
理屈を知りたいのである。

 

彼の回答はこうであった。

「ここでわたしが間違ったことを言ってしまうと、あなたは警察官がこういった!と言うでしょう?」
そりゃそうだ。
「わたしは法律の専門家ではないので、あなたに下手なことは言えない」
??
「もしもわたしが間違ったことを言ってしまうと、問題になるでしょう?」
いや、あなたはそれを説明する官職じゃないんですか・・・?
「だから、私からお答えすることはできませんので」
「初心者標章は千円もしませんので」

私が初心者扱に戻るという理屈は、結局分からなかった。
本来、この聴聞というのは、海外にいた理由や住所の確認等らしいのだが、わたしの質問攻めだけで時間が過ぎてしまった。

そうして免許を受け取ると、うん。ただの免許である。青である。初心者であるという表示もない。見た目はただの一般的な日本の免許そのものだ。前回は初心者標章は免除で、今回は裏設定で初心者になっているというのだ・・。訳が分からない。

点数はゼロ点なのに違反者講習?割高な費用を払った上に、海外の光熱費がどうのこうの?説明を求めてもはっきりしない。
しかし免許は受け取れた。受け取れたのだから良しとしよう。

 

言いたいことはある。
けど、厳しい日本の免許が無事更新できて、警察官に手渡されると、やはり安堵のほうが大きい。粘ったところで、答えは一緒なのだ。
法令の運用上、こういう扱いになるのだろう。珍しいケースでもないようだ。

”わたしは無違反で、前回公安委員会自身が免除した事実がある上、やむを得ない事情で更新したに過ぎず、初心者に戻る理由がない”
不服申立・・こんな感じだろうか。どうだろう。通りそうな気がするんだけど。(書類を揃えろと警官も言っていたので、たぶん頑張れば通るんだろう)

もちろん、そんなことはしない。面倒な上に、さほどの権利を獲得できる話ではない。ただ不満なだけだ。

うん。次回こそは、海外にいても帰国して、単純更新しよう。これ次回海外失効したら、またおかしな取扱いになるかも知れない。