フィリピン人は何故洗濯が長いのか(比での洗濯事情について)

今日は生活の話。それも洗濯の話をしよう。フィリピンは洗濯機(←あればの話だが)の稼働がやたら長い件について、一度は書かねばなるまいと思っていたので書こう。今日も青島ビール飲みながら書いてます。

いつまで洗濯してんの!

比人は、いつまでも洗濯機をまわしていると気付いたことはないだろうか。これは本当である。下手すると一日5時間くらい普通に回している。

「よしよし。俺の服ちゃんと洗ってんな」じゃねーんである。いくらなんでも長すぎるだろってほど、永遠と洗濯しているのだ。

一般家庭の比人の洗濯ルーティンを、まず解説しよう

分かりやすく、まず二層式洗濯機の場合。(ティンバ洗についてはまたその内書くね)

1.洗濯粉を入れて洗う

誰もが一度はツッコミを入れたことがあるだろうが。粉入れすぎなんである。おおよそ日本の倍(洗濯層一杯につきスリキリ2杯は入れる。3杯以上いれることもある。なんで贅沢なんでしょうw)

何故かと聞いてみて欲しい。返答は粉を入れれば入れるほど汚れが落ちるに決まってんじゃん理論に基づいている。なるほどー
フィリピン人に洗濯を任せると、洗剤量はおおよそ二倍づつ使うと考えて、まず間違いない。

なお粉についてはピュアゴールドの0.5キロ/27ペソ粉がぶっちぎり一番安いことも付記しておこう。青い粒入りの32ペソ/0.5㌔粉は甘えである。
そんなもん売ってんの?フィリピンに住んでて聞いたことがないという人も多いだろうが、田舎のピュアゴールドには必ず売っている(笑)

この理論は、日本では30年以上も前に否定されている。一定量以上の洗濯粉を投入しても、汚れはその分落ちるわけではなく、全く変わらない。
少な目の洗濯粉でも8割汚れは落ちるのだ。それを倍入れても、汚れが倍落ちる結果にはならない。これは昭和時代に証明された事実である。

あの粉は適量入れたらそれでいいということは、それこそ世界中で実験されている。完全に証明されている話だ。でもフィリピン人は、洗濯槽から泡が溢れるほど粉を入れるのが贅沢なことだとおもっているようだ。まぁ、いいんですけどね…どうぞ入れてください…w

というわけで、まず思いっきり汚れを落とす。15分間ヘビーモードで洗う。(以下全て15分ヘビーモードです)

2.すすぎ

1が終わったらすすぎである。これは真水で行う。うん。分かる。次は干すんだよな。サンパイなんだよな。

3.柔軟剤

2で終わればいいものを、次にもう一度、柔軟剤を入れてすすぐのである。比では柔軟剤を入れて洗うのが当然の常識、やらないヤツは貧乏人みたいな風潮があるので、みなこれを行う。

4.仕上げのすすぎ

またすすぐのかよ!
一回15分なので、これで丁度1時間かかる計算だ。実際には一時間半くらいかかる。
(※これは洗濯一回の時間である。二回分あれば3時間かけるという話な)

どうしてこうなるのか

実はこれ。ある意味正しいやり方でもあるのだ。それに比の文化が重なっているのである。

比は、まず水道代がタダみたいに安い。そしてメイドはクッソヒマである。でも仕事をしていないと怒られる可能性がある。
そんな中、洗濯しているというのは仕事をしている風なので、特に洗濯には時間をかける。なるほど仕事してるようにしか見えないよな。

次に、通常の段取りだけの場合、比では手抜きとも捉えられるからだ。

通常の段取りとは、日本でいう、

1.洗濯
2.すすぎ

の、2回の手間のことを言う。これは比では手抜きと見做される。どうしてかというと、白い衣類が黒くなるからである。
よくバスタオルがうっすら黒くなっている人。これは通常の洗濯をしているからである。

実は、あの「4回洗濯法」には理由があるのだ

洗濯粉と柔軟剤というのは相性が悪い。汚れを落とす役割の洗濯粉と、香りや柔軟成分を吸着させる柔軟剤は、まさに水と油の関係にある。
だから、アホほど洗濯粉を入れたあとは、一度すすいで洗濯粉成分を落としてから柔軟剤を入れないと、白い衣類は黒ずむわけだ。
これがマニラ三大七不思議。ちゃんと洗っているのにバスタオルが妙に黒い原因である。
(特に、比で売っている家庭用全自動洗濯機なんかは、この段取りをかなり省略しているので、二層式洗濯機と比べると割と酷いことになる)

比では4回洗濯がデフォなのだ。それをマニラだと、4回も洗濯を回すのはコスパが悪い。というより時間が無いので、通常の二回で済ませるからだ。我々は洗濯にそれほど時間をかけて生きてない。

だから、まだ汚れ(?)の残っている状態で柔軟剤を投入する関係上、うっすらと黒ずみが染み込む。というわけなのだ。
比人は、柔軟剤はおおよそ適量の二倍入れるのが普通である。(サリサリで小売している柔軟剤は二回分と書いてあるが、アレを半分残して投入しているシーンみたことない)

 

比の衣類は色落ちしやすい

控え目な表現を使ってみた。フィリピンに住んでいる人は知っているだろうが、比の衣類は色落ちするとかしないとかそういう話ではない。
試しに安いバスタオルを買って、そのまま洗濯機に入れてみて欲しい。

たった一枚のバスタオルを洗っただけで、底が見えないほど色落ちするのである。一度洗ったくらいじゃダメだ。比に慣れているひとなら、バスタオルは白しか買わないw

これはジーパンでもそうで、比の安いジーパンなんかは買って何十回洗ったとしても、洗濯槽は真っ黒になるほどである。

このように、色落ちしやすい服ばかりに囲まれているフィリピン人は、

まず、とにかくなんでもいいから汚れ(←色落ち)を落とす!それをすすぐ!そして柔軟剤を入れて洗ってもう一度すすぐ!
最低これをしてからサンパイ(干すこと)するのが当然であると思っているのだ。

このルーティン。大家族なら洗濯モノも溜まるので、本当に比の洗濯機はフル稼働しっぱなしなのだ。

マニラでの事情

日本人のマニラ洗濯事情は、おおよそクリーニング屋に出す人が多い。
これは洗濯1回の後柔軟剤すすぎ兼乾燥1回で終わり。たたんでくれるのがありがたい。おおよそ7キロ120ペソ程度である。

一応商売だけあって、清潔に洗って乾燥してたたんで返してくれるので、重宝している人も多いと思う。日本にも、こういう緩い洗濯サービスあったらいいのに。

しかし。

上記に書いたように、比の衣類は4回洗わないと満足した仕上がりにはならない。マニラに住んでいるとそれを知らないので、
「あれ?ワイのバスタオル、黒ずみすぎ?」となってしまうのだ。

でも、洗濯してーすすぎしてー乾燥してーという、日本でいえば全く普通のルーティンである。自分の目で見ることも出来る。嘘誤魔化しは一切ない。清潔にはなってるんだよね…?!(なっている)

—でもなんか汚れが落ちてないと思うのがマニラ住日本人2年目くらいの人である(笑)
それはどうしてかというと、比で買った衣類を一枚でも混入して洗ったからなのだ。そりゃそうなるんだよなw清潔にはなっているので安心してほしい。マニラといっても業務用の乾燥機だ。強力だ。自分も見て分かると思う。菌はちゃんと死滅している。

何故この手法が取り入れられるようになったのか

ここからは俺の推察なんだが。比でよく見る「四回洗い」これはオムツにルーツがあるんじゃないかなと思っている。
というのは、日本でも昭和時代なんかは、いわゆる『布おむつ』だった。いまのような紙オムツなんてのは、歴史上でいうとつい最近の話で、人は長い間布おむつを使っていたわけだ。考えてみると、布おむつはかなり合理的である。

オムツというのは、息子娘の、まだ弱いチンコマンコに直接触れるものである以上、親は清潔を旨としたに違いない。これは全人類共通だろう。
そしてオムツというのは、古今東西、白と決まっている。

ここまで書いたら分かるだろう。つまり2回洗いだと、フィリピンの場合、オムツにかなりハッキリと、黒い粒粒が残るのである。
清潔にしたつもりとはいえ、これは親にとって気分が悪い。

この粒粒を落とすにはどうしたらええのか?と、考えたに違いない。
その帰結として、おそらく4回洗いという「フィリピンルーティン」が生まれたのではないだろうか。(了)

 

俺はどうしてるか

一応俺はどうしているかについても書く。俺は2回洗いである。清潔でありさえすればよい、という考えなので、洗剤は使うが柔軟剤なんて、使いかたすら知らなかった。汚れを落とし、日光で乾かしてまた着る。単純にコレでいいんじゃねぇの。

男というのは、3日くらい同じ服を着ていることがあるが、それは俺にとっては論外である。いちいち洗う。細かい洗い方はしないし、柔軟剤なんか買わない。

この記事を書いたきっかけは、年度末の貰いモノで、柔軟剤をボトルでたくさん貰ったからである。

うん。タダで貰った以上は使うよw

というわけで、今日からしばらくは、ワイの服はフワフワいい香りなんだろう。でも2回目に投入すっかんな!