アリス・グオちゃんはなんでフィリピン人になれたのか?

最近、アリス・グオという中国人がフィリピン人になりすまし、中国利権のPOGOの為に、なんと市長にまで上り詰めていたことが発覚したことは、フィリピンのみならず日本でも、かなり報道されたので知っている人も多いだろう。

本件について報じている産経新聞の記事はコチラ

アリス・グオちゃんは何故フィリピン人になれたのか?これは背乗りという、中韓国人が(日本でも)よくやる伝統的な方法なんだけども、今回どうも、単純な背乗りではないようだ。やはりレイトレジストリーを利用した比人成りをしていたからである。

レイトレジストリーを使えば、日本以上にフィリピン人に簡単になれてしまうのだ。

あっ。世界最強のスナイパーである、あのゴルゴさんもフィリピン人である。

 

この手の記事は以前何度か書いたことがあると思うが、また書くことにしよう。

フィリピンには出生届を出していないひとが多い

フィリピンでは、親が出生届を出していないことが多い。だから幽霊フィリピン人も沢山いるのだ。田舎だと、そのまま何の問題もなく過ごしているひとも大変多い。

でも、子供は大人になってから困ることが多い。赤ちゃんだって大人になるんだから。当たり前だけどそうなんよな。

だから、元赤ちゃんは「遅延出生証明」(レイト・レジストリーと言います)というのを提出するんだけど、これは市役所の書類審査なのである。なにか試問を受けたりすることは無い。

・生まれた場所(自己申告)産婆の署名(そのへんの産婆にサインしてもらってオシマイ)
・洗礼を受けた教会(貧乏教会に頼めば、昔の日付で出してもらえる)

ここまでは簡単。難しい(?)のが、小学校の在籍記録である。

フィリピンの小学校というのは、なにか厳密に書類を提出するわけではなく、同じバランガイのガキなら誰でもウェルカム!という(これは教育上正しいのだ。書類が無いからといって小学校に行けなければ、その人は教育を受ける権利を奪われることになってしまうのだ。子供時代は二度と戻らないのだ)仕組みなので、よっぽどのド貧乏家庭であっても、最初の二、三年くらいは小学校に行かせるものである。

フィリピン最底辺の、ドドドドド貧乏の。ジャングルの中のクボ住み、便所は海!最寄りの小学校まで10キロくらいあるような、離島の子供であっても、まったく小学校に行かない子供というのは、さすがにかなり考えづらい。フィリピンは子供が多い都合上、小学校はワリと田舎のジャングルにも存在しているものだ。(比で寄付やボランティア活動をやったひとはご存じだと思う)教育の質はともかく、ひとが住んでいる以上子供は必ず生まれるわけで、小学校は必ずある。大人が作らない訳がない。これはフィリピンでもまったく同じだ。

そして親がダメでも、比の場合、社会が子供を育てることもよくあるので、誰かの車やバイクに乗せてもらって通学したりすることなど、わたしの家の近所でさえも、よく見かける光景である。

というわけで、小学校に行った記録というのは、『周囲の記憶と写真』という、動かしがたい重要証拠となるのである。だから、小中高の卒業アルバムでもあれば、「わたしはフィリピン人です」という、なにより決定的な証拠となるのだ。

フィリピンの田舎なんて、スーパー超絶・村社会。バランガイ全員が同じ小学校卒である。
だから、出生証明書が取れなくても、大人になったら周りがみんな証明してくれるので、実は怖い手続きではない。また、この手の書類は地元政治家がナントカしてあげようとする大好物でもある。

(※なので、あなたの周囲の結婚相手や兄弟姉妹、大事な名義人等が比国籍を持っていなければ、書類揃えて取ってしまうことをお勧めします。ほとんどの場合、充分すぎるほどの証拠を揃えて提出できますので、審査という審査はありません)

 

何故、アリス・グオちゃんはアッサリバレたのか

アリス・グオちゃんは、おそらくタルラックの田舎小学校卒という書類を作って、レイトレジストリー(遅延出生証明)を突破したハズである。じゃあなんでバレたのかというと、

報道によると「病院での出生記録が無い!」としてバレたようなのだ。

バカが…w なんで病院で生まれたことにしてんだよ。

遅延出生証明の偽造において、具体的な病院名を書いていたのだ。これはフィクサーの腕が悪いとしかいいようがない。
こういうケースの場合、上記にも書いたが自宅出産とするのである。フィリピンでは自宅出産する女性はウジャウジャいる。誰か医療従事者がなんとか助けて出産するケースだったらもっと多い。

ところが比の病院で出産した場合、医者と看護師の書類がバッチリ残る。それどころか出生届も、手書きではなく印刷で(誤字脱字が無いように)両親に渡してくれて「しっかり確認せえよ!!」と無料で作ってくれる。やっぱり病院はある程度シッカリしているのだ。どんな田舎であっても医師や看護師らはある程度エリートであり、常識と良心に従って働いている。出生のトラブルが多いことを知っているからこそ、病院は赤ちゃんの二十年後を考えて、出生証明の単純申請を勧めているのだ。なんなら代行してくれる病院まである。それほど、この出生証明というのは、田舎では闇深いものなのだ。(※読者の方が比で出産する場合は病院をオススメします!ただし赤ちゃん誘拐に注意してね)

ところが、グオちゃんは、病院で出産したのに書類が無い。バカめ。そんなことはあり得ないのだ。これでまずオカシイぞ。となったところで、小学校の再調査が入ったのだろう。そうしたら今度は通学の記録が無いという。

これは田舎の小学校でも、ますますあり得ない。なにせ、例え公的記録がなくとも、同級生らは「皆勤賞」だの「学校一の正直者賞」だのといった、当時モンの偽造不可能な付属書類が、本来実家に沢山残っているはずだからだ。本当にフィリピンの学校を卒業していたのなら!
なによりガキのころの記憶なんてのは、良かれ悪しかれ一生忘れないものだ。俺だって、ガキの頃の同級生だったら、写真と名前見せられたら「こんなヤツいたわ」とか回答できるもん。公園とかで遊んでたヤツなら、ソイツの家の場所まで秒で答えられるもんな。ところがひとりの証人もいない!タルラックの田舎町で!!こりゃあオカシイということになったわけだ。

これでいよいよ疑惑の雲が厚くなったところで、指紋照合されて、オマー中国人じゃん。中国人パスポートで出入国してんじゃん。

と、ジ・エンドと相成ったわけだ。ハイ真っ黒でした。嘘でした。バレました。スパイでした。

2012年ということなので、ACRの裏(みなさん見て欲しいんだけど、裏に謎の白い空欄があるよね)この白い欄は、昔あった指紋欄なのだ。昔は自分の指紋がバッチリ複写されていたのである。だから当時の指紋記録と照合したらヒットしたんだな。

おお。フィリピン関係官庁は、ちゃんと仕事をしたのである。—-じゃねぇんだよ!なんで市長になりあがるまで見抜けなかった?

そもそも突破して何年もバレていなかったのが問題!

アリス・グオちゃんのケースだと、本人が調子こいて市長にまでなったのでバレたのだ。

フィリピンの遅延出生証明登録は、行うヒトの数も膨大な為(それこそ何百万人単位。今日も増え続けているわけだ)本当にフィリピン人であるかという審査が不十分であることが問題だ。この審査が通ってしまえば、どこぞの一流スナイパーの方であっても誰であっても、実際フィリピン人になれてしまう。パスポートだって取れるのだ。(偽造じゃない。ホンモノを、である)フィクションの世界にあっても、フィリピン人になりすますという使い古された手法は、いまでも通用する。

この方法を用いてフィリピン人になってしまうのは、裏技ではなく犯罪なのだが、やろうと思えばやれてしまう。もちろんひとりではやれないが。

今ではさすがに改善されてきているが、20年くらい前のフィリピン出生証明関係書類というのは、もう手の施しようがないほどメッチャクチャである。なにしろ手書き。なにしろ文字が潰れて読めない。それに追加追加で偽造書類だの追加書類だの出しまくっていて、それが紐づいていないので、記録をさかのぼるだけでも一苦労。登録されている人が、生きてんだか死んでんだかもわかんない。両親が提出した名前に、カワイイ名前を役人が勝手に書き加える(これは以前のブログにも書いたけど、とんでもない数がいます。特に女性)それに輪をかけて、フィリピンというのは基礎行政業務に関しては、当時世界屈指の無能力ぶりをいかんなく発揮していたので、1980年代くらいのフィリピン基本住民台帳みたいなものは…これはもうね。みずほ銀行の基幹系システムを、もう一度ひっくり返すレベルじゃねぇぞ?くらいの代物となっている。なにしろ当時、世界最後まで、パスポートの名前欄が手書きだった国がフィリピンである。

あまりの酷さに、これはもう無理ということになって(実は日本に泣きついて、俺ら(の税金)がかなりバックアップしたのだ)PSAも大分マシになってきているという経緯がある。あれ?途中から話それたな。あ、アリス・グオちゃんの話か。

海外逃亡→逮捕されたアリス・グオちゃんの近影である。これは冗談ではなく、ホンモノのツーショットである。あまりに不謹慎なので、大統領がコメントを出したほどだ。

 

ほんでアリス・グオちゃんどうなんの?

俺の予想では「ちょっといくらなんでもあり得ないだろ?」というくらいの厳罰になる可能性、極めて大だと思う。フィリピンの司法というのは、海外報道されたりすると、量刑マシマシになることが多い。多いというか絶対そうだ。次郎系でいえば全マシマシマシくらいの刑になるであろう。特にグオちゃんは政治色も強いので、同房の友達から、うっかりガラスの破片でお腹を失礼されて、半年も生き残んないんじゃないのかな?

それにしても、このひと。フィリピン人としての扱いを受けるのか。外人としての扱いなのか。(比で捕まった場合、冗談抜きに生死を分けるほどの違いがある)さてどっちなんでしょうね。

 

 

 

一応のお断り

この記事を読んだ、もしかしたら犯罪逃亡系のマニラ住の方にお知らせ致します。
上記の記事を真に受けて、一か八かやってみるというのは、よっぽどフィリピンを知っていて、文字通り根付いていないとまず無理です。数年住んだくらいではどうにもなりません。この記事を参考にして「マニラでなにやってるか分かんない日本人」に探りを入れ、『ああ、できますよ』と言われて信用した場合、まずカネだけ取られて終わります。(※この手のことを、誰か人に頼っている時点で、あなたには無理です)
面識がある日本人=信用できる みたいなものは、海外では一切通用しません。ましてマニラです。困窮邦人一歩手前みたいな人が、あなたの足元を見て、帰国できない弱みをネタに、よくこういう誘惑をしてくるものですが、実際手続きもしたことの無い連中です。まともな在留邦人なら、俺が身元保証人になってやるから一緒に大使館に行こうやという筈です。

 

写真出典:BBC
引用:さいとうたかをプロ

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