スゲェフィリピン車検場に行ってきた件

マニラ近郊に、スゲェ車検場があるという噂は聞いていた。とにかくスゲェというのである。行ってみる価値があるというのだ。興味はあったのだが、なかなか行くと決断できなかった。車検ねぇ・・・・車検?なんだっけそれ。シャケン—?

ナンバープレートのシモ一桁がどうのこうの?そんな話あったっけなぁー。誰かのブログで読んだ気がするが・・・

—ま。車検なんて、別に受けなくてもいいんじゃね?w

あんなの、ただの飾りですよ。警察に、何回捕まって車検証見せても、一度だって指摘されたことがない。見せる意味あんの?くらいの代物だ。だって外国人捕まえたら、MMDAは目がペソマークになるので、書類なんてロクスッポ見ないわけだし。実際本当にロクスッポみないし。検切書類で「明日行く」で充分通用するし。それでずっとずーーーーーっと外人割引で通用したし。俺の車、まだ新しいしどこも悪いとこないし。車両保険なんて、見せろと言われたことすらないし。ああ。一回ハイウェイパトロールに捕まって、車両没収寸前までいったことがあるけど、あんなのはレアなケースな訳で・・・

車検切れ、偽造ナンバーで、まったく堂々と走っていても、何も不都合がないので、ずっとそのまんまになっていたんだ。けど!!

ついに!!ついに!!

「スゲェから行け!」と言われている車検場にも興味が向いたので、わっざわざ半休を取って行ったのである。俺エライ。

ああ。俺も年を取って丸くなったのである。年貢の納め時なのである。長い物には巻かれろなのである。外国人たるもの、フィリピン共和国法を順守するのは当然のことである。検切運行なんて、なにもカッコイイことないのである。さっさとやってしまったほうがいいのである。秩序に従うのが当然である。

その、「さっさとやってしまう日」が今日だったのだ。

 

というわけで、そのスゲェ車検場の予約受付のねぇちゃんが言うには、午前7時に来いということでなのであった。

のだが、ここはフィリピン。

そんなの間に受けるヤツが馬鹿なので、俺は午前10時すぎに行った。(当然受け付けてもらえた)うむ。なにも問題ない。七時に車検に来いだ?行くヤツはアホである。

 

・・・それにしても。ここは本当に車検場なのか?

 

最新の設備ということであったが、どうも様子がおかしい。最新どころか、設備自体が無い。エッここが車検場なの?という感じだ。(車両を持ち上げる)リフトすらないのである。そもそも駐車場と事務所と、申し訳程度のエミッションテスト(排気ガスの計測)の、胡散臭いTHE中国製みたいな機械が置いてあるだけである。

まぁいい。やることやってくれたらいい。俺はLTOで説教受けたくないので、3年分の車検代とペナルティは払うから、万事うまくやってくれよという気持ちだった。ネーちゃんにOR/CR(←書類一式のことである)を渡して、あとはヨロシクと決め込んだ。

1分後。こんだけカネ払えと指し示されたレシートが、

6180ペソ(約16000円)

・・・・・ウッソだろ?安い!安すぎる!

(俺は、これまでの経験と情報からして、15000ペソを見積り、20000ペソほど持参してきたのである)

なにしろ最後に車検を受けたのが2021年だ。比では無車検ペナルティが1.5倍かかるはず。それに保険整備諸々も考えると、そのくらいかかるはずだが・・・え?保険800ペソ? 一か月70ペソ切ってる、鬼のように安い保険料を提示されてしまった。
(※この値段は圧倒的に安いというわけではなく、比法の理論限度上は定価程度である。ただし比の場合そうはならないし、こっちも気になる部分を整備してもらおうと思っていた見積の価格なのであしからず)

あまりの安さに「エッ!」と言って固まっていたら、受付のネーちゃん、「ヤレヤレ、まったくしょうがねぇなぁ?!」という憐みの表情で、なにを勘違いしたのか、6000ペソだけ受け取って、PAIDというハンコを押してくれた。

違う。そうじゃない。

いやー確かにすげぇ。こういうとこで割引ってあるんだ・・・てか一言も言ってないのに勝手に割引になったぞ・・・どういうとこなんだここ。

 

まぁいい。まぁいい。とにかく俺は全額前金を払った身分となった。

ほんで、いよいよ車検である。結局車検はするというのである!なぁんだ。やっぱりな。←当たり前

 

まぁ残念半分くらいだ。実は、検査で調子のおかしいところがあれば、自分の車なんだし指摘してくれたほうがいいな、とも思っていた。気になる箇所も数点あったからである。バッテリーの交換時期やブレーキの事など、検査中に軽ぐち叩きながら、専門の人の意見を聞いておきたいと思っていたのだ。

 

ともかく言われるがままに検査員のいるところに、車をバックで入れる。俺の車の回りには、三人ほどの整備士がいる。

エンジンをかけろ
「ハイ」エンジンをかける

エンジンがかかったら、その整備士が、一斉にイエーイ!!!ホゥーーワ!!ホゥゥーーーーワ!!!と超盛り上がってダンシンタイムである。音楽のボリュームもグッと上がってレイブである。一分後、三人大爆笑である。

—–???

いやなんなのマジで。

俺は、クラブでノレない壁の花よろしく、一緒に踊ることもノル事もできなかった。だって一応マジで車検受けに来たんだけど。

—え?車検の検査場で、エンジンがかかる音を合図に踊らない俺のノリ悪すぎ—??

奇声を上げて踊り狂う整備士。これちょっとさすがにメダパニ食らっていたんだけど、運転席から降りてハイおしまい。車検終了である。

この車検場は、エンジンがかかれば全部合格なのであった。・・・なるほど、スゲェ車検場というのはそういう意味か。確かにすげぇよ。

車検場についてから、10分経ってない。だって受付て、車庫入れしてエンジンかけただけなんだから。

 

激安価格を提示され、検査はエンジンがかかれば合格。そして車検証はLTO発行の真正。

うーん—-確かにすげぇ。(俺は偽造とかフィクサー系の書類は避けるようにしているが、通常手続きでホンモノを受け取る分には貰っておく派である)

ただし、この車検場。ペーパー車検はダメだそうで、ちゃんと車両を持ち込まないと受け付けてくれないようだ。そこは厳しいのであるw
もしかしたら写真かなんか取って提出しているんだろうか?多分そうなんだろう。知らんけど。

 

スゲェ車検場の帰り道。運転しながら考えた。ああ。だから、あの黒鉛をまき散らす車がフィリピンから無くならないんだなと。

エンジンがかかれば合格♡これ10年前の話じゃなくて今日の話である。

それにしても。ホント午前7時に行かなくてよかったよ。

 

(※この記事は2024年3月に書きました)