ガチ投資話?金持ちフィリピン警察官がドツボにはまっている話(4)

ヤバイことになったのだ。取り上げていたATMカードに給料が入ってこないんだから、この最強ビジネスモデルは、コロナで全てダメになってしまったのだ。しかも上官は話の分からないヤツで、コロナ検問所に行けというのだ。

そりゃそうだ。実はコイツ、国家警察ではあるのだが、階級は下から二番目。日本でいうと巡査長といったところか。下っ端なのであった。
(比では、階級の低い国家警察官は逮捕状すら書けません)ここも債務者にナメられる原因となった。

—-ああ!はやく!債務者の家にいって脅迫したいのに!

—-ああ!あんなヤツ、ちょっと言えばカネ集めて払うのに!ああ!もう!

フィリピンのコロナ下、国家警察官はことごとく検問所だ。バランガイポリスは一等軽くみられる以上、重要配置の検問所はPNPの巡査でもひとりいれば違うのである。そして、その検問所というのはアホほど設置されていたので、人手が足りないという話じゃなかった。いないと回らない重要検問所だけでも何百か所、何千か所という話で、PNPの現職警察官はフル動員。それでも全く足りない。(マニラだけで一千万都市である。人々の検問を毎日やっていたんだから、本当に気が狂う話で、それを市区ではなく「町内単位の検問」をやっていたのだ。人が足りるわけがない。)

彼はむなしく検問をしていた。債務者は失職したので当然散り散りになる。

時間=カネなのだが、ただただ検問するしかなかった。だって警察クビになるわけにいかないんだから。

 

でも、こんなことをしているあいだに、上官、同僚、外国人は小切手をもって銀行に行く。地獄だろこれもう。

 

—とにかく一人でも、銃をカチャつかせ、国家警察の制服で、一件でも債務者の家にいかないといけない。いますぐに。

でも、ああ無情。一日10時間も、ただただ検問所にいるだけだ。だって上官が新任なんだからどうしようもない。

最初のうちは、ヤバイカネについては埋めていたけど、金主を募って人に貸していたというパターンだと、返済が滞れば結局は無理になる。
それでもなんとかやり繰りできたのは、彼の才能によるものだろう。

—-コロナの封鎖なんて2,3ケ月だろう。その間凌げばいい。なんならカネを借りて当てればいい。
この「国家警察+給与ATMカード取上スキーム」自体に間違いはない。あとで問題が起こっても、なんとかカネで解決してしまおう。

全くその通りである。

外国人にはカネで済む。マスコミだけ勘弁してもらえばいい。金利上乗せの代わりに沈黙という条件だ。
同僚、上官のカネだけ先に詰めてしまおう。彼らが敵になったら終わってしまう。
ああ!とにかくもう回収だ。回収が全てに優先する。時間が。時間が惜しい!どうして俺は検問所に突っ立ってるだけなのか。俺の写真はSNSに出回っていて、債務者は日々油断して逃げている。俺の金づるが地元に帰ってしまっている!月500ペソを払うヤツがひとりひとり減っていく!

おそろしいことになってしまった。何万ペソを貸した、普段ならチョロイ奴らが反旗を翻し逃亡。つまり貸倒れなのだが、それがほぼ全員である。貸金業としての悪夢。いや、悪夢さえ生ぬるい地獄である。

国家警察という威光を存分に使ったまでは良かったが、彼は自分で逮捕状も発行できないのだから、同僚のカネを先に詰めること程度しかやることがない。

しかも債務者は「コロナだったからしょうがない」という、言い訳すらも出来てしまった。
カネの貸し借りにおいて、相手を説得するには言い訳が必要なのだが、働きたくても働けないというロックダウンの前には、ATMカード取り上げなんて、なんの意味も無くなってしまったのだ。

まだまだ続く

 

 

 

 

 

 

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