ほぼ無料で日本の携帯番号を持てる方法(SIMのみ)

海外に住んでいると、日本の電話番号維持費用が馬鹿らしくなる。
番号が維持できるとはいえ、本来、全く意味のないお金だからだ。

最近では基本利用料が500円程度の格安SIMも出てきたのだが、それでもお金はかかる。そもそもどうやって受け取ったらいいのか。

以前には、海外在住者の福音として楽天モバイルがあったのだが、基本料無料が終わってしまった。

今日は『一体どうやったら、とにかく安く日本の番号を維持できるのか?』という件について書こう。

 

hanacellを使えばよい

なんのことはない。昔からあるアメリカ在住向けのSIM屋なのだが、現在この会社、サービス拡大したようで、フィリピンも対象となっている。

このハナセル。周囲で使っているひとが誰もいないので申し込んでみることにした。なんでもチャレンジなのである。

申し込み方法は「海外住所受け取り」と、「日本空港」の二種類。日比で使う空港は全部カバーしているので安心していい。

『フィリピンで住所受け取り』等は間違っても選びたくないので、ここは素直に日本の空港受け取りとした。
(なお、海外住所受け取り送料はハナセル負担なので無料である)

 

料金

当たり前だが、完全にタダではない。契約料は今日のレートで2183ペソ(39USD)。一年目はタダ。二年目から447ペソ(月額37ペソ/8USD)かかる。つまり2年契約して、かかるお金は月額100ペソ程度ということだ。正確には、円でいうと月額289円。

最初こそ、ややカネがかかるものの、他社と比較しても悪くない選択だ。

3年目からは8USDだけなので、円でいうと、99円/月ということなる。ギリギリ100円を切っている。

これはもう、圧倒的安さといっていいだろう。他社もさんざん比べてみたが、どう考えたって月100円はここしかない。日本番号維持の最安値といっていい。(他にあれば教えてください)

 

支払い

支払いはGCASHデビットであっさり完了。オーソリは弱いようだ。おそらくそのへんの海外デビットでも通ると思われる。なんでもいいので、自分のサブ支払いクレカ的ななにか、で通るっぽい。空港現金払があればもっといいのだが、通信会社なのでサブスク払いになるのは仕方ない(というより当たり前だろう。携帯なんだから、年払いの支払口座指定はアッチだって当然の要求である)むしろデビットカードで通ることを褒めるべきだろう。

 

受け取り

私は日本の空港での受け取りを選択して安心していたが、午後7時までしかカウンターが開いていない都合で、空港に二度行くハメになった。深夜早朝便の人は当日受け取れないので注意。

 

そして受け取りなのだが、なんとパスポートを渡すだけ!
海外住かどうかのチェックは無かった!

ACR(「現地の」外国人登録)なりなんなりの提出があると思ったのだが、パスポートをチラ見して終わり!ものの数分でSIMを受け取れてしまった。近日乗ってきた国際線飛行機の半券を見せろとかいう確認もナシ。海外在住じゃなくても全然受け取れる代物だった。

これは・・・非常に危ないと思うのですが・・・

 

なんとSOFTBANKの正規SIM!

SIMを受け取って驚いた。ソフトバンクのSIMなのだ。現物は写真の通り。

いやもう、そのまんま、softbankで契約したものと同一SIMであった。110番もフリーダイヤルも出来る。これは…ありがたい!!

中身はどんなもんか知らんが、受け取った印象としては極上である。訳の分からない、真っ白なSIMでも渡されると思っていたので、これはうれしい誤算であった。

番号は080-で始まる、ごく普通の、一般の日本人が持っていると変わらない番号割り当てだった。おお。いいじゃん。

ついに「日中のご連絡先」とかいう欄に悩まされることが無くなったのだ。

 

使用感

受け取ったその後、日本全国を回ったのだが、これはもう本当にソフトバンクSIMだなと確信できた。トンネルや地下鉄でも電波はしっかりと入る。

そして、同時並行で使っていた楽天SIMはひどいものだった。

使用料金

データ通信は楽天。電話はハナセルという状態で、10日間、ごく普通にネットを使ったら5G使っていた。
動画は見ていないが、ニュースや細々としたやり取りで、おおよそ5G使ったわけだ。

今回ハナセルのデータ通信は使っていないが、もし使った場合、データ通信料は、約5000円かかることになる。
これは高い!日本に一か月いたら、15000円になってしまう。ドル建なのでしょうがないとしても、ハナセルは通話着信のみが正解のようだ。

楽天モバイル

今回は楽天モバイルも併用してつかったんだけど、山間部や空港で電波が入らないのは参った。一本ある、じゃなくて完全にゼロという地域が多く、とてもメインで使えたもんじゃないという印象。グローブやスマートより酷い有様だ。

とはいえ都市部ではそれなりに通信できたので、使い方によってはアリだろう。

総評

データ通信については、どうやら楽天モバイルでは不安なので、日本で最強の一時SIMを見つけるのは、まだ検討を要するようだ。

SMSや単純通話については、海外在住にとってハナセルはほぼ最強に近い印象があった。

ただのソフトバンクSIM—これは充分戦えるスペックである。日本のどこでもほぼ100%カバーしている。今時、ソフバンもauもドコモも、よほどのド田舎であっても、カバー率なんて大して変わらないのだ。

電話認証云々も諸々試したが、全く問題ない。日本の生IPで、ソフトバンクの電話番号で認証しているんだから当たり前なのだが、海外で知恵を絞っていたことが、あっさりと解決していくのは小気味良い。

 

日本にいて携帯番号があるもんだから、つい発信もしてしまったのだが、まだ請求がきていない。おそらく数百円は使った。

しかし1000円以内程度であれば、自分が使った対価なんだから、それくらいはいいだろう。ハナセルだって、どこかで儲けないといけないんだから。

スカイプフォン等との違い

海外在住であっても、SIM式の固定電話サービスだの、IP電話割り当てだのといった「海外が行っている日本で使えるサービス」は他にもある。
代表的なものとしてマイクロソフトのスカイプフォン等があるんだけども、このハナセルの前には完全沈黙だ。

三大キャリアのSIMを、ハイどうぞというのは本当に大きい。特に110番出来るのは、本当に本当に大きい。
一時帰国であっても110や119をする機会というのはある。海外の「日本の電話番号持てますサービス」にはそれがない。
警察消防を呼べるだけでも、このSIMには価値がある。「緊急通報はご利用いただけません」が無いのを軽く考えてはいけない。俺はホッとした。

 

ハナセルを使って一番気がかりだったこと

悪用されそうだ、というのが一番の印象。実質、パスポート見せるだけで受け取れてしまう。

海外の住所入力欄はあるが、それを確認してないんだから意味がない。連絡先など全部適当でも、おそらく問題なく受け取れる。
そもそも海外在住確認をしていないんだから、ちょっと観光にいった帰りに受け取ってしまえば、激安で日本の番号がもらえてしまう仕組みになっている。よくぞ今まで、総務省様の指導が入っていないのか不思議としかいいようがない。それとも実は、ちゃんとチェックしているのだろうか?

海外に住んでいる日本人は、ほとんどの場合、『現地の外国人登録証』をもっている。それを見せるだけでも悪用防止になると思うのだが、ハナセルはそれをしていないようだ。現状だと、韓国台湾に二泊三日旅行した帰りでも、このSIMはおそらく受け取れてしまうだろう。(知らんけど)厳密にとは言わないが、日本でちゃんとしたSIMを、大した確認もなく受け取れてしまうのは、こちらはありがたいが大丈夫なのかな?という印象は相当にあった。海外在住の日本人向けサービスとしては本当にありがたい、是非続けて欲しいんだけども、スキがありすぎて「これ日本にいる奴らも普通に貰えんじゃね?」である。だって断られてもアッソウで終わるわけだし、受け取られたらラッキーでSIMを欲しがる人たちって、相当の人数(おそらく何十万人単位)でいるだろうからね。

 

 

 

おそらく全く認知されていない通信会社

わたし、日本のかなりの大都市空港で受け取ったんですけど、手続き中に、書類がチラッとみえてしまった。わたしは40番目くらいの受取人であった。成田羽田名古屋関空福岡。全部合わせてどのくらいなのか。

てことはだよ?全国で計算しても、月に申し込んでいるのは300人程度ということだ。通信会社で、この程度しか申し込みがないなんてのは、ほとんど息していないようなもんだ。うーん。ちょっと応援してやりたくなったのである。

 

というわけで、ハナセルに関しては以上。