マニラで断水したらどうなるのか

発表があったんだけど、今月マニラで大規模な計画断水があるようだ。(詳細はこちら
これまで断水の件について書いてなかったので、今日はその話をしよう。

停電よりキツイのが断水!

マニラに住んでいると、ネットは止まる、電気は切れるとロクなことがないのだが、断水は別格の不便さだ。
一番困るんは、電気ではなく断水である!

なぜなら、一般的に、停電慣れしているメラルコやインターネッツ各社よりも、水道会社のほうがノンビリしているからだ。
いわゆるフィリピンタイムがモロ直撃するのが断水だ。なので、シブ~く情報を収集しなければならない。

断水前の準備

当たり前だけど、家に水を溜めることだ。「ティンバ、タボ、バケツ」は言うに及ばず。できればビニール製の風呂がいい。
なにしろ水は重い。激重い。断水すると、周囲からの水の調達は不可能となるので、ひたすら水を溜めたほうがいい。
「いくらなんでもやりすぎだろ・・・」と思うほどでちょうどいい。

はっきりと長期断水する場合、コップにさえも水を溜めたほうが良かったと思えるくらいに苦労するのでやったほうがいい。
(わたしは断水対策も兼ねて、200リットルのビニール風呂を備えている)

有料の飲用水(六リットルとかいう馬鹿みたいにデカイペットボトル入りのものが、比では売っている)は、
断水情報があったら「ちょっと多いかな」と思うくらいに買っておいて良い。

何故なら、もしも断水が大したこと無かった場合。杞憂に終わった場合(多少割高であったしても)
自分の生活で、必ず使いきれるからだ。つまり損がほとんどない。だったら買っておくべきだろう。

それに、カラになった五リットル、六リットルのペットボトルに水道水を入れておけば、バケツの代用となる。
(断水になると、水があったとしても容器の確保が要るという側面も出てくるわけだ)
トイレや清掃、簡単な入浴程度の生活用水として有用である。この手間を惜しんではならない。

あのデカイボトルが5本あって、水道水がはいっているとする。
普段はただの邪魔なものなんだけど、断水のときは光り輝いて見えるものだ。
「備えていた俺エライ!」という気持ちになる。二日三日くらいは持たせることが出来るからだ。

あっさり断水が終われば、もちろんあなたのやったことは取りこし苦労となる。
大した事なかったな。ということになる。このブログを読んだことを、悪影響とすら思うかも知れない。
だって水が出ているなら、備えは全く無意味であり、時間を使った意味がないからだ。
なーんだ、脅かしやがってということになるだろう。

 

コンドミニアムの階数と断水

マニラでは、中堅コンドミニアムは低層階ほど人気があり、高層階ほど人気がない。
夜景なんてどうでもいいのがフィリピン流だ。

エレベーターが止まったら階段になる、火事になったら死ぬ、地震ならまず助からないという理由があるが、断水もそのひとつだ。

「南国プール付の良い暮らし」等と日本から、よくヒガミヤッカミを聞くのであるが、そのプールまでの距離が大事なのだ。
何故ならコンドミニアムのプールは、断水即貯水槽となるからである!

もしも水が切れたらどうなるか。プールからバケツで水を汲んで、自室までエンヤコラと運ばなければならないのだ。

それも断水が終わるまで毎日である。いや毎時間である。
そして、もし比人と同居しているなら、苦労して運んだ水も、あっさり使ってしまって、また「汲んできて」ということにも
なりかねない。こういうとき、メイドや運転手に運ばせるという手もあるが、どうにも大変である。

実際体験してみると分かるが、プールまで遠いほど「ああ、なんだって俺はこんなことしてるんだ」という気持ちになってくる。
そして、断水していない人から、まさに他人事のような意見をぶつけられてイラッとするわけだ。

そもそも節水といっても、入浴くらいしか節水はできない。便所の水はどうにもならない。
一回につき節水しても、バケツ半分は消費する。(比人なら絶対バケツ一杯使ってしまう。それを咎める気力もなくなる)
それが人数分必要なのである。結論をいうと、キリが無いのである。

人数分のウンコションベンの水を、外で稼いでクタクタになって帰ってきたらプールの水を汲んで来いと言われ、
何往復かしても足りない少ないと指さされたらどうだろうか。家庭不和にならないほうがどうかしている。

第一、不衛生な環境は、家族にも自分にも害がある。特に私たち日本人にとっては許しがたいことでもある。

水はまさに命をつなぐもので、電気やネットより大事なものだということを、つくづく思い知らされるのが断水なのだ。

南国の楽園でプール付の暮らし♡

というのは確かにその通りだけど、マニラ在住して五年もすれば『プールは貯水槽だから付いていたほうがいい』
という理由になってくるものだ。汲んでくる場所が無ければ詰むのである。

一軒屋、ビレッジ、タウンハウス

いわゆる一軒家、タウンハウスは断水になるとすぐに水が止まる。
コンドの場合、屋上にある貯水槽がカラになるまで水が出るんだけど、タウンハウスなんかだと500-1000リットルくらいの
小さい貯水槽しかないので、午前中持たない。

一軒家でもビレッジの共用プールがあれば、そこで水を汲むことができるんだけど、それが無い、いわゆる
「バランガイタウンハウス」に住んでいるひとは、断水は打つ手がほとんどゼロとなる。
つまり自宅に確保している水以外、水場が無くなるのだ。

外国人の多く住むビレッジでも、あなたが車が無いとなれば意味がない。水を運ぶ際は車が必要である。
無くてもバイクくらいはあったほうがいい。重くて人力では数往復が限度である。

トライシクルで運ぶなり手段もあるかもしれないけど、やはり自分ですぐに確保できたほうがいい。
断水というのは災害なのだ。途上国の災害というのは、富の多い者。力の強い者が勝つようにできている。
明日になったら復旧するだろ!と軽く考えてはいけない。10日も経ったら絶望に代わる。
断水は精神をやられるのだ。備えておかなかった自分を責めることも往々にしてある。
だって、一週間前までは湯水のように水道から水が出たんだから!

 

タウンハウスは最悪

フィリピンのタウンハウスは、安くて広くて生活も楽なんだけど、セキュリティと水だけはどうにもならない。
この2点が弱いのである。断水については一番弱い。

逆にいえば、タウンハウスのひとは断水したらすぐ避難と、頭を切り替えることができる、ともいえる。
無駄なアガキができないんだから。家の中で水ナシに、どうやって暮らしていけるのか?もって3日である。

断水は本当にツライ

一週間、二週間という断水は地獄である。砂漠でオアシスを求める放浪者のごとしである。
わたしは「空気中から水分を得れる」ということで、真面目に頑張ったことさえある。
(除湿器があれば、実際得ることが出来る。除湿器は無から水を作る機械でもある。断水のときは少しでも役に立つのだ)

不思議なことに水は売っている

なお、断水の場合でも水は売っている。デカイペットボトルは売り切れるんだけど、なぜか小さいボトルは売り切れずに
残っていることが多い。
なぜなら断水は、いつか回復するものだし、飲用水はなくてもジュース等で代用できるわけだ。
生命維持としての水分は、いくら断水したとしても市中に大量にある。コーラでもコブラでも飲めば済む。
断水は命に関わることは無いし、電気とネットがあれば仕事も維持できてしまう。

まとめ

1.今週頭、マニラ、マカティ、パサイ、パラニャケの一部で、57時間断水が発表されている。
じゃあ58時間経ったら水が出るんだな?と思ってはならない。70-100時間くらいは見込んでおいた方がいい
短かったらラッキーだけど、出なかったらどうすんの?どうにもならない。
わたしは3日で終わる断水で、二週間止まったことがある。ぐえー死んだンゴである。
短かったらそれでいい。今回は計画断水なので、まあ大丈夫だろう。メイビー。

2.自宅で水が出なくなったら、「さあ断水の始まりです」ゴングがカーンと鳴ったのだ。
行くならさっさと、ケソンのホテルにでも避難したほうがいい。
決断の遅いオトコはオンナにモテない。逆もまた然りである。
大変になってから避難したころに、手頃な部屋が満室だったらどうするのか。
海外生活の「カネの使いどころ」というのは、緊急帰国費用と断水のときである。
水が止まったらどうにもならない。電気とネットがあれば生活は動くんだけど、必ず数日で「アッ無理だコレ」となる。

出ない蛇口を睨んでみても、どうにもならないのだ。

ジャッキーチェンやラーメンマンの修行ですか?
夢のプール付コンドの水を、空しくバケツで運び続ける生活するなら、ホテル移動は大いにアリ。
異なった生活環境は刺激もあってプラスになる。

水の無い生活は耐えられるもんじゃない。

ネットや電気より水である。
人間のほとんどは水で出来ているという。つまりこれ本能ということだ。

(略)

 

 

 

 

 

 

※今回の断水については無責任です。あなたが備えた結果余裕だったとしても、わたしに責任はありません。
だったらはじめから備えなければいいのです。
この記事に影響されて、今月初旬。不安になって、いざ水を汲んで溜めてみたらなにも起こらなかったとしても、
それはあなたが勝手に盛り上がったことです。今回の渇水に限らずネットの情報というのはそういうものです。
断水というのは防犯や保険という性質があります。事態が起こらなければ全くの無駄という意味合いがあるからです。