フィリピンにある、個人がやっている商店。これをサリサリという。
このサリサリストアは、フィリピン中に何十万店舗もある。
市販の日用品、医薬品、ちょっとした食品等を売っている店だ。時々ファイブシックスでカネ貸しもしている。歩くのがメンドクサイフィリピン人にとって、サリサリはとても便利なお店である。
サリサリの商圏は狭く、おそらく1キロも無い。利用する人は、ほとんど近所の常連さん。だから売掛払いをすることができる。要はツケが利くということだ。これは古き良きフィリピンの文化である。ご近所同士の助け合いということだ。(別に恥ずかしくもなんともないので、利用できるなら利用しましょう)
(表題記事としての記事は以上です。以下は余談)
宵越しのカネは持たねぇのがフィリピン人
フィリピン人の特性として(これは仕方がない部分もあるのだが)どうしても!比人は受け取った給料は、何が何でも全力で使い切ってしまうという習性がある。
—ので、下手すると一週間、食べるものがない。飲む水がない!どうしよう!というご家庭は、フィリピンでは毎月毎月、何十万世帯も発生してしまう。比政府が、給与を『最低隔週払い』と決めているのは国民性を理解しているとしか言いようがない!(笑)フィリピン共和国が、他国同様 給料を月払にしてしまったら、一体どうなるんだろうか。想像してみると面白い。
毎月毎月(ではない。隔週隔週)良く飽きないと思うんだが。比人は給料が入ると全力でお金を使う以上。全部お金を使い切った10日後あたりから どうするかというと、とにかく米! アンド煮干しのようなもの(魚の干物)をサリサリのツケ払いで買って、それだけでなんとか凌ぎに凌ぎ!給料日に払えばいいんじゃね?ということになって、実際にそれを実行する。また、モンゴ(アフリカ旅行なんかで出てくる、あの忌々しい緑色のグリーンピースのようなアレだ!種なので栄養は確かに良い)に塩をかけて食う等の、究極の貧乏食で数日 耐え忍ぶのがフィリピン流である。最後の最後は、米にトヨ(醤油のようなもの)をぶっかけたり、パティス(魚醤)と米を交互に食ったりして凌ぐ。(これを朝昼晩毎日食った経験がないと、フィリピンで貧乏でしたとか、スラムに住んでました、等とは言えないと心得てほしい。パレスは贅沢(笑))
比で貧乏暮らしをした経験があると、特にパティスは当時の思い出が蘇って食えなくなる。
(↑パティスですらない、Patis flavorのDATU PUTI)フィリピン全土に溢れているこの調味料は、いろんな意味を持っている。よく言えばフィリピン伝統の調味料。(なお、単純に調味料として考えた場合、日本人にとっては いろいろ使える代物でもあるので、日常料理の隠し味として土産に持ち帰るのはオオアリである。魚醬チックな塩気調味料!これはフィリピンでしか買えない!)
あ。脱線した。サリサリの話だったっけな。話を戻そう。
サリサリを騙そうぜ
最近、新手が出てきたようだ。
フィリピンも交通が発展した結果、遠くのサリサリストアに行ってツケ払いをして踏み倒すという技が編み出された。なるほど賢い。近所に引っ越してきた~等と言って、いきなりツケ払いをするのはオカシイハズなんだが、この手口で割とイケてしまうらしい(笑)こんな単純な手口!騙される方がアホなんだが、意外とやってみたら通るようだ。なにしろサリサリというのは無数にある以上、どこかの店舗で成功すれば良いんだから、チャレンジするヤツが多くなってきたらしいのだ。
サリサリ側の対策も面白い
だから、最近では、サリサリもツケ払いについては「近所の人のみ!」と、与信を厳格にしているようだ。(当たり前だろとおもってはいけない)身分証明書を出せというサリサリも出てきた。そりゃそうである。いままで何もナシに!ツケ払いOKだったのがおかしいのだ。本来、その程度のことはあって良かったハズなのだが、サリサリというのはフィリピン文化そのものでもある。なかなか近所のひとに免許のコピー出せとは言えない。このあたりが難しいところだ。最近では「サリサリ詐欺」なんていうのも出てきたので、このツケ払い文化が失われつつあるんだな。
中には凄いサリサリも登場。
– バランガイクリアランス(地区証明書)
– 警察クリアランス
– NBIクリアランス(※フィリピン国家捜査局の証明書)
– 出生証明書
– 全身写真
– 結婚証明書または結婚契約書(既婚の場合)
– セノマーまたは未婚証明書(独身の場合)
– 家族写真
– 有効な政府発行のID3枚
– COEまたは雇用証明書
–髪の毛3本
おいおい。会社でも興すんですか?結婚でもするんですか?外国人の永住手続きですか?というくらいの書類と写真をリクエストするサリサリがフィリピンで話題だ。(面白そうだから、ここのサリサリでツケ払いしてみたいくらいだ)
はて。この「髪の毛3本」というのはなんだろう?これはフィリピン流の脅迫と読み解くのが正しい。
「ああー!髪の毛を差し入れるってことは、本人確認の為!!DNA検査までするぞと!そういうことですか!!(笑)」
———違います。どこの先進国の発想ですか?(笑)
この文脈で髪の毛3本というのは、お金を踏み倒した場合、呪術師に呪いをかけてもらう触媒にするという意味なのだ。
お化けや呪い等を、大人が大真面目に信じる精霊信仰が根付くフィリピンでは、この手の脅しはある程度の価値を持つ。
『ツケを踏み倒したら、あんたの家族を全員呪うぞ。必ず実行するぞ。あんたらソックリの人形を作って、心臓に針を刺してやるぞ』というのが正しい翻訳なのだ。この種の脅迫というのは、やはり不気味であるし、気分の良いものではない。
そうそう。フィリピンオンナから髪の毛を取られた経験のある人もいるかも知れないが、それってそういう嫉妬(愛情表現)だってことも、ついでに覚えておいたほうがいい。裏切ったら呪うっていうのがフィリピン流でもあるので、大袈裟に怖がってあげてください(笑)
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