ついに(5)である!最初から読む
中国の雪花(勇闘天涯)とかいうビールを吞みながら書いております。
(以下続き)
一応、ハマちゃんにバイクを託したものの、正直いって、そのままドロンになるかも知れないな、と思っていた。ツレも似たようなことをクチにしていた。
俺たちは白紙委任状を渡していたので、誰かに売ってしまえばそれでオシマイだ。しかし、さすがにそんなことをするだろうか?
「まあ。そんときは、邦人を助けたと思いましょう」と、ツレは言う。この男。グローブをプレゼントしたりして、一応ハマちゃんを応援していたのだ。(←なんだかんだ言って優しい……)
クルマのほうは、強気で攻めたのが功を奏し、本当に買った値段で売れた。運よく、着任したばかりの駐在員がいたのだ。
ちょーーど、すぐにでもクルマが欲しい! ということで、日本円一括払! 手続きのほうも会社にお任せということで、本当にうまく行った。
ツレは感動して「売れてから」クルマのメンテナンスに、スゴイお金をかけてから引き渡していた。気持ち良い取引だったので、タイヤのバランスや細かいオイルまで新品にして渡したいと言っていた。
話がそれた。
で、バイクの話なんだが……案の定。それから連絡は、パタッと来なくなった。やっぱりな。想定内でした。
◇
当時は何かと忙しく、バイクにばかり構っていられなかったのでバタバタしていたんだが。ハマちゃんから40000ペソの入金があった。
売れたのだと言う。相手が分割を希望しているとかで、手付として4貰い、残りは来月ということだった。おお。
あ、一応動いていてくれたのね。(疑ってゴメン)分割といっても2回という話だったので、残りは47000ペソである。
87000ペソというのは、今日のレートでいうと21万円弱となる。マニラで働く比人の給料でいうと、約5ケ月分という大金だ。少し分ける程度のことは別によい。
というか、そんな話だったら立て替えてくれたらいいのに……これは日本人の感覚すぎるだろうか。
ハマちゃんも少し抜いたのだろうが、まあひとまずは安心した。
そして時は経ち— バイクの代金は、40000ペソから止まってしまったのであった。
パッタリ連絡が無くなった。
ついにツレの本帰国一週間前となってしまった
俺たちは、最近マニラに出来たという「酔っ手羽」で酒を呑んでいたんだが、「バイクどうなりました?」とツレが訊く。
———その通りだ。このまま4万Pで済ませてはならぬ。時間も無くなってきた。勢いでハマちゃんに電話した。
ハマちゃんは電話に出た。バイクが売れたことを喋っている。いやそうじゃなくってお金はどうなったかって訊いてんの。
「あと3万ペソですよね」とハマちゃんは連発していた。違う……何故値切るのか(笑) 何故そこで すっ呆けるのか? 書類にバッチリ書いてあるではないか!
……何度も言ったじゃないですか……87000ペソ。公証に書いてありますよね? 乗せて売る分にはいくら乗せても構いませんが……
俺も少し酔っていたので、「もう~……47000ペソ(約11万円ちょい)くらいなんですから。今、送ってもらえませんか?!」と、ガツンと言った。
だって。一般常識的に考えて、その程度のお金は持っているだろうと思ったからだ。俺は普段こういうことを言わないけども……ツレも本帰国直前である。スッキリ終わりたいではないか。
そしたらハマちゃん。カネを送ってきたのである。なんだよ! ハラハラさせた割に、言えば送ってきたのであった。
これでバイクの件は一件落着。実に3ケ月かかったのであった。まあ時間はかかったものの、カネを受け取ったので文句はない。
誰に売ったんですか?と聞いたら、『ケソンの大金持ちの警察官の嫁なんですよ!!』と言っていた。
オイ! じゃあなんで分割って話になるんだよ!(笑) どうもハマちゃん。すぐに「設定」を忘れてしまうようだ。それにしても、なにかにつけて警察とか役所とか出てくるな……
なお。俺がハマちゃんと喋ったのは、これが最後であった。あちらから連絡がアレコレあるかと思ったが、これを境に、ピッタリ無くなった。「騙せない人判定」をされたのだろうか……
俺自身は騙せないけども、俺はハマちゃん本人は非常に興味があったので、今後もなにかとお付き合い出来ればよいと思っていたのだが……だってこんな人、なかなかいないもん。良い意味でも。
銀行口座サスペンド!
このようにして、ツレは日本に帰っていった。俺たちは、もうハマちゃんのことすら忘れていたんだが。その後、ツレからとんでもない連絡が来たのである。
「なんか……俺の口座、凍結されたんですけど……」
なぬ? どゆこと?
オマエ、比の口座持ってたっけ? 支店長決済の観光口座だろ。ソレ、とりまコッチに来ないとどうにもならんよ!?
と俺が言ったら、いや違うんです。日本の口座なんです、という。
———訳が分からない。日本の法律で、まともな日本人が持っている、日本の口座である。凍結される訳がないではないか。
ツレは、日本の銀行から届いたメールを俺にスクショして送ってきた。
……
……え。マジで言ってんの? 日本の口座が? なんで? オマエ、なんかやったのか?
まったく心当たりが無いという。
……そう……心当たりがあるとすれば……もしかして。あんときの両替なのでは……
俺たちは、あの調子の良すぎる日本人。濵井大輔を思い出したのであった。
だってそれしか考えられないではないか。クルマのほうは、身元のしっかりした日本人。万に一つもない。
あんときの不動産屋の店長の口座が汚れていたとしか、考えられないではないか。
どーする。俺はマニラのソイツの会社に行って、「どーなってんだよテメー」と言うことも出来る。
しかし、彼もハマちゃんに利用されただけかも知れない。それに、この件について深入りはしたくない。
それにしても、日本の口座凍結というのは俺も経験がない。どうなるのかと詳しく聞いてみると、完全凍結ではないようだった。
口座は閉鎖。ウチの銀行での口座開設も今後はお断り。でも預金は引き出して良いよ、という話。完全に凍ってはいなかった。いわば、チルド口座である(笑)
そりゃそうだ。なにもやってねーんだからな! 完全に被害者じゃん。
幸い、日本には銀行が星の数ほどあるので、ひとつくらいBANされたところでどうということもないのだが、気分は最悪である。ツレの履歴にも、余計な記録が付いたってことになる。
どうしてくれんだよコレ。濵井大輔さん! ……と言いたいところなんだが、ツレのほうは完全に諦めモードであり、他の銀行は問題なく生きているというので、ケジメは付けないことになった。
(ツレは許したかも知れないけど俺は覚えているぞ! 俺の周囲に迷惑かけたってことだかんね!)
本件については、このような事情なんであって、もしも濵井関係のカネの流れで、ツレに迷惑がかかるようであれば、俺は証人として、ちゃんと事情を話すつもりだ。
どうなってんだよ! と言う前に?
俺は、ツレの口座がチルドに凍結された件については、割とマジで怒っていたんだが、「マニラ界隈の情報通」の方は、『気持ちは分かるが、それも含めて全部飲み込んで、もう一切関わらない方がいい』という話であった。
こういうヒトたちが、俺にサジェストしてくるということは、おそらく何らかの形で情報を得ていることを意味する。
——ので、俺も動かないでおいた。俺だってそんなにヒマじゃないし、いつまでもハマちゃんに構っていられない。連絡も無いし、ツレは「もういい」と言っているし。
本件はもう終わり—と思っていたら、大激震のニュースが飛び込んできたのである。
ハマちゃん。逮捕されるっていうシーンで、ダッシュで逃げたというのである!
(つづく)
