結局若者は、俺の家に来た。
しょうがないからテーブルをどかし、リビングにマットレスを敷いて、彫る体勢を整えたんだが、不衛生だのなんだのと文句を言う。
「じゃあ来んなよ」と散々言ったんだが、この若者は、俺がなにをいっても文句しか言わない性格をしているので、もう諦めた。
「で、彫り師はいつくんの?」と聞いたらバイクで向かっているという。何故か嫁も一緒にくるという。
そして泊りがけで彫る都合上、今日から一週間ほど宿を手配して欲しいということであった。これにはふたりで仰天した。
だって、
「嫁と一緒に来るから、一週間宿を取ってね」なんてことを当日行ってきたからだ。
俺たち二人は、大慌てでホテルを探したんだが、急にそんなこと言われても無い。結局エアビーで1300ペソの一軒家をなんとか見つけた。
ほんでその日の夜。19時くらいに彫り師カップルは俺の家に来た。
驚いたことに、嫁は静岡に20年も住んでいた人で、日本語ペラペラ永住権持ち。一応通訳という形で来たようだ。
その日は背中の全体的なレイアウトの最終打ち合わせと、少しだけ筋彫り(輪郭を彫ること)を行って終わった。
若者は、俺の家の電圧が弱いんじゃないかだの、散々文句を言っていたんだが。
今のタトゥーはUSB給電で彫るマシーンなのである。昔のように電源コードではなかったことを知って驚いていた。
この時点で、ワイの家の中はメチャクチャである。
翌日
翌日。午前10時からスタートするという話だったんだが、彫り師が来たのは午後一時であった。
なんでも、手配したエアビーの家にムルト(お化け)が出るから(勝手に)退去したという話である。
なんじゃそりゃ。
で、近くのラブホに宿を取ることにしたので遅くなったそうだ。

フィリピンで入れ墨を彫るに当たって、非常に素晴らしいものがある。それが上記の写真だ。
これは麻酔クリームと言って、なんと!これを塗ると、彫っている際の痛みが軽減されるというチートアイテムなのであった。
(なお、一本100ペソである!)
若者は俺に、「これを使って入れ墨彫ったってバレたら、根性ナシに思われるんで、絶対ヒトに言わないでくださいよ!」と念を押してきた。
いや別に、言う相手もおらんけど。
コレ、日本では医療行為に当たるということで一応法的には禁止されているらしい。
入れ墨、麻酔クリームの使い方
ベットベトに塗っていた。かなり惜しみなく使う。背中半分で一本使う感じだ。
塗ってから効果が出てくるまで、約50分。麻酔効果は4時間ほどで切れてくるという。一日彫る場合だと3-4本使う計算となる。
このクリームの効果は絶大で、これだけでフィリピンで彫る価値アリという代物なのだそうだ。
いよいよ入れ墨開始!
というわけで、いよいよ彫っていく。下絵を元に彫っていくので、それほど難しそうではない。
また、タトゥーは一度入れれば、しっかり入るというものでもなく、同じところを何度も重ねて彫ることで色が付いていくようだ。
二日目は、結局夜中まで彫っていたのであった。
(つづく)

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