比在住者から見た「ルフィ」事件(3)

(3)である。1.2にも書いたけど、今日に至るまで、まだマスコミはああだこうだとフィリピンを糾弾している。
昨日なんか、youtubeでフィリピンと検索したら、何ページにも渡って全部この事件絡みであった。これはもう検索汚染といっていい。

そして記事の内容!
相変わらず、犯人引き渡し条約がないとか、刑務所で豪遊だとか、
ビッグボスだとかトンチンカンな言っているので、今日も酒を呑みながら、グチグチ文句を書くことにしよう

ボスというのは一般表現

フィリピンで「ボス!」というのは、よく使う表現である。容疑者連中がボスだの、ビッグボスだの王様だのと言われているのは当然である。
看守からボスと言われている映像を何度か見たけど、言葉の端にからかい表現があるようにも聞こえる。

ボスというのは、フィリピンでは「男性が男性を呼ぶときに使うありきたりな表現」である。別にマフィアが使っている悪い言葉じゃない。
道を尋ねるときなんか、比人同士、よく「ボス!」と呼び合う。ちょっとした男性の尊称といったらいいだろうか。

あと、ボスというのは仲良くなると使わなくなっていく表現でもある。ボスと呼ばれ続けるというのは、一種からわかれている感じもあるものだ。

「ボス」という表現は、ヒトクチに言えないニュアンスが織り交ざっている言葉なのである。
看守が容疑者たちを尊敬の念を込めてボスといっているとはとても思えない。

男同士の力関係ピラミッドというのは、ほんの言葉の端端にでも出るものだ。彼らが呼ぶ「ボス」は、畏敬とは程遠い感じであった。

 

マニラの拘置所は改善されてアレなのである

これはわざわざわたしに電話かけてきた人がいるんだけど、あの拘置所というのはスペシャルVIP待遇である。
充分横になれるスペースがあるだけでも凄い。フィリピンの刑務所はもっともっと酷い。死刑宣告されているも同様である。

携帯や外出は特権じゃない

日本は携帯なんか絶対ダメ。外出も模範囚で、かなり特別な場合に限られるけども、海外ではワリとできる。
特に電話(外部交通)はそんなに厳しくない。フィリピンでは堂々と出来る場合も多い。

何故フィリピンの刑務所や拘置所に文句を言うのだろうか

今回の件は、フィリピン人と結婚しているとか、比国籍を持っている元日本人だとか、ハーフだとか、労働や投資VISA持ちだとか、
永住権もちだとか、そういう日本人ではない。比に住んでいる日本人社会と全然関係ないところで話が盛り上がっているのだ。

彼らは、単にフィリピンが逃げやすいと思って来比した日本人である。どうして日本がフィリピンに文句を言うのか分からない。

ルフィは拘置所でやりたい放題だと言っているけど、それこそ大きなお世話である。
比の役所が、日本人を虐待したのではなくて優遇したという話なんだから、これは「ありがとうございます」という話である。

日本は死刑制度があるけど、フィリピン人から「それは殺人だ!許されない!冤罪だったらどうするのか!」と言われたらどう思う?
俺らにしてみれば『日本には日本のやりかたがある。外人は黙ってろ。フィリピンはクチだすな。日本は俺たちの国だ。お前ら関係ない』となるっしょ?
死刑制度について、日本人は散々議論してきた中で「あったほうがいい」ということで存続しているわけで、これは俺たちみんなで決めたことだからだ。

それとまったく一緒。比の拘置所の待遇がああだこうだと言ったとしても、フィリピン共和国の問題で、日本は関係ない。
そこに汚職があったとしても、日本人が守られたという事実を見れば、私たちにとって良いことである。
糾弾どころかお礼を言っていいくらいの話だ。収賄というのは両罰規定なのである。

買収されてくれてありがとう。おかげで日本国民が死なずに済みました、という話だ。
海外。特に途上国の刑務所系施設というのは過酷を極める。しかも外国の自治権については完全に治外法権となるのだから、
フィリピンの現状は良いことでもある。わたしだって比の刑務所に入ったら、迷わず買収でもなんでもして、わが身を守る。

それに比で捕まっている日本人は冤罪の人も多いという事実を忘れてはならない。
彼らは日本国民である。
他の国の奴らはどうでもいいけど日本人はちゃんと人権を守ってくれよというのが、私たちの正しいリクエストなのだ。
だから彼らが生き永らえていたのは良いことである。比の刑務所に入れていたら今頃死んでる。

 

カネがモノを言ってないじゃん?

カネがモノを言うのがフィリピンというけども、そもそも、彼らはカネの使い方が下手である。

まず、どうして比国籍を買わなかったんだろうか?という当然すぎる疑問がある。
比ではフィリピン人になることができる。これはお金さえあれば可能なんだけど、よほど汚職系の公務員でも、加担しない人もいる。
というのは、さすがにこの行為は売国奴そのものなので、良心が咎めるし、バレる可能性も高いからだ。
(ひとりではできない。何十人も関わって行うのである)そういうトークをできなかった。

日本人にだけはクチがうまかったんだろうけど、比人にそれを出来なかったんだからカネがモノを言っていたわけじゃない。

レイトレジストリー(出生届をさかのぼって提出できるフィリピン独特の仕組み)を悪用する方法だってある。やりようはあったのだ。

次に、パスポートを買うという手がある。比人にパスポート書類を全部集めさせて、申請時のみ自分が出頭するというやりかただ。
これもやらなかった。(これは語学力が必要なので努力も必要だけど)話せないならその分お金もかかる。

この方法であれば、第三国に出国することはできる。また比人としてそのままマニラに残って生活することもできる。
彼らは何千万円、何億円かあったのに、こういった、根本的な解決が出来なかったのは、単純に協力者がいなかったからだ。

拘置所の待遇や、食べ物の改善にはお金を使ったようだけど、それ以上のことは出来ていない。

つまり比人の味方はいなかったわけだ。細かいところでは買収できたんだろうけど、大きなところでは出来てない。
信頼関係なんて作れてないから、リクエストだけが果てしなく大きくなったんだろう。双方が馬鹿にしていたけど、カネだけで結びついていたわけだ。

こうなると、比の公務員は、クビになってもいいから絞るだけ絞る。生涯年収より多いなら受け取る価値があるからだ。
それをコネと勘違いしたんだろう。比での本当のコネとは無償のことが多いのも知らなかったわけだ。

(略)

マニラ日本人社会は被害者の立場の人がメチャクチャ多い

フィリピンで捕まる日本人というのは、被害者なのに何故か逮捕されたというパターンが多い。
このように「本当に悪そうなひと」が捕まるということは少ない。なぜならフィリピン慣れしている悪い人は、そもそも捕まりにくいからである。

今回の件というのは、マニラ日本人社会にとっては珍しいケースで、迷惑そのものだ。