ポリスパレードとは何か?

読者の方からの反応って、結構バラツキがある。
わたしが想定している読者層は、海外在住5年目くらいの人なんだけど、なかには未満の人も大勢いる。
だから今後、こういった解説記事もチョイチョイ書いていこうかなと思う。さっそく第一弾として今日はポリスパレードを取り上げてみたい。

ポリスパレードとは何か?

マニラにいると、まれに白バイが車を先導して『道開けろゴラァ!』という蛮行に出くわすことがある。
白バイは決まって2台。2台が1台の乗用車を遊弋しながら進んでいくことが多い。アレは偽物じゃなくて本物の白バイがやっている。
だから、面倒に巻き込まれたくないので、みんな道を開けることが了解となっている。

「あの」行為を、マニラ在住者は、羨望と嘲笑を込めて『ポリスパレード』と呼んでいるのだ。

やりかた

ポリスパレードの手配は簡単である。やってくれる白バイ隊員と知り合いになればいい。距離にもよるが、だいたい5000ペソも渡せば充分やってくれる。
「友情」が深まれば2000ペソくらいだ。
(もちろん日本人の仲介を挟めば、料金はナン倍にも跳ね上がるが、その日本人の取り分もあるんだから当然である)

利便

実は今月!『今から空港でポリスパレードなんだよね』という人がいたので、私はオオッ!となった。
時間を計ってくれくれと頼んだのである。

ポリスパレードって、実際どのくらい時間の節約になるのか?!

アプリで計測してもらったところ、到着時刻は約半分であった。つまり1時間かかるところが30分で着くわけだ。
マニラ市内の渋滞を強行突破できるんだから、あれ?ワリと便利である(笑)
一万円で、あの渋滞を回避できるというなら、払うひとはいるだろう。いや日常的に使う人がいてもおかしくない。

本当の使い方

ポリスパレードの本当の使い方というのは、もちろん、なんにも知らない人に「俺はマニラで警察にコネがあるんだぞ」と見せびらかすことである。
なにしろ空港から白バイ先導というのは物凄いインパクトがある。カラクリを知っていたとしても、やっぱりオオッ!となってしまうものだ。

知っている人でさえ騙されそうになるんだから、日本から来た海外ビジネスナンチャラとか言っているひとは、まず一発で信じてしまう。
ただでさえ不安な海外。一般人は、海外に来ることなんて年単位である。しかもマニラである。アブナイアブナイと呪文のように聞かされた人が来るところである。

そのマニラで、警察が言いなりになって、あなたをホテルまで先導してくれるのだ。
第一印象で「このヒト凄ぇ!マジでマニラにコネがある!」と思っても当然だろう。

このブログを読んだ人でさえも、いざマニラに来て、警察からVIP待遇を受けたら考えが変わる。それほど快感なのだ。
また、ポリスパレードは車間を縫うように走るので、運転はちょっと荒い。ドキドキしてしまうだろう。これがまた吊橋効果になるのだ。

運転手付の高級車、白バイ先導で一流ホテル。こういった舞台を、10万円かからないで準備できてしまうのがマニラなのだ。

 

典型的詐欺の話

ポリスパレードを利用した典型的な詐欺の話をしよう。到着後パレードでホテルに着く。
翌日、もう一度パレードを行って、今度は地方の市役所に行くのだ。

そこで市長室(ただの空いてる会議室)等といってVIPが出てくる。
そして「無税の誘致話」「カジノ利権」「仮想通貨」「値上がりの土地」なんていう話をしてくる。
これはタダの仕込みなのであるが、面白いように引っかかる。引っかからない人はいないんじゃないかという位ひっかかる。

商談が終わったら夜の街に繰り出して、オンナ抱かせておしまいだ。帰国するころには、もう夢見心地になっていて、
国に戻ったら現金をかき集めることになる。

非常に古典的やり方なんだけど、やられたほうは100%信じてしまう。ひとは自分が体験したことを否定できないからだ。
ほとんどの場合マニラに来る前に罠が張ってあって逃げられないようになっている。

話の筋書きは決まっていて(セットアップ)あとはベルトコンベアのようにお金が回収されていく。
(この手の話は日本の警察はまず動かない)

 

99%の1%

上記のようなことを書くと、ポリスパレードをやる日本人は詐欺師のように受け止められるかもしれないけど、それは違う。
1%というのは確実に存在している。つまり富裕層の一部である。

え?イチマンペソ?ハァ?たった一万でいいの?もうポリス呼んで!っていうか?オレがマニラに来るときはずっと呼んで!今日から5日間付けて!

という人々が存在する。お金を持っている人々は、わりと使い道がないので、こういう利便性にカネを出す人は一定数いる。
ポリスパレードというのは、富裕層の満足感を確実に満たしてくれるものがある。実際便利である。物凄く便利である。
ドライバーの免許も傷つかないし、マニラにおいて日本と変わらない移動時間で動けるんだから、そこにお金を出すひとは一定数存在する。
だからポリスパレードをやる人=詐欺師 という考えは間違いである。あなたの人を見抜く眼力に期待するということである。

本当のポリスパレード

最後に、本物のポリスパレードについて書こう。

本物のポリスパレードの一番スゴイのは大統領のパレードである。これは通る道に警察官が配置される。10キロ通るなら10キロ配置される。毎日である!
そして同一車種が複数台用意される。(大統領がどこに乗っているか隠す為である)
白バイ2台どころじゃない。そもそも道を封鎖するので、一般車は落ち着くまで通れない。
アメリカ大統領が日本にくるときの車列が動画であがっているけど、アレに似ている。

そして、一番ネタとなるのが、道に並ばされる警察官だ。
マニラ市内でVIPが通る際の警備なんだけど、ほとんど、いや、全員警備もせずにスマホをいじっている。
通る瞬間だけ並ぶw

動員かけられているのがアリアリって感じだ。まぁ私が警察官でも、そんなことで毎回道路で整列させられたらモティベーションも無いだろう。
市長、大臣、知事・・・VIPが道を通るなんて、よくある話だからだ。

 

 

※追記

先日BBMのポリスパレードを見たんですが、DUと違って警察官配置ナシ、封鎖もナシでしたので追記致します

 

 

 

 

 

 

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