(下ネタ)スポタコとはなにか

今日はクリスマスということで、過去記事の中から油っこい記事。それも下ネタを加筆再掲載したいと思います。

スポタコとは包茎のことなんだけど、フィリピン男子は基本包茎はいない。なぜなら「手術」するからである。
私の調査では、ビサヤ、イロカノ、タガログでは、やはりちょっとづつスポタコ手術については差があり、儀式内容も違う。

 

共通していることは、ことスポタコ手術については、なにごとについても全く計画のない比人が、用意周到に計画を練り、カンペキにしたててもスキがないように仕上げるということだ。
異常なほどにカンペキに、全員一致して差配するのである。このへんを紹介していこう。

スポタコオペは成人の儀式に近い

この企て。このタクラミに参加しなけりゃ、フィリピンに住んでましたというのは嘘だ。それほどエキサイティングで楽しいのだ。長期滞在のひとは是非やってみてほしい。

バランガイ、ニノンニナンもみんなグルになって、壮大に騙すのがスポタコ手術の醍醐味だ。このタクラミに参加するのは最高に楽しい。
外様であった日本人でも、このタクラミに参加すればバランガイでは譜代になれる。秘密を共有しあった仲間だからだ。

フィリピンの男の子(ガキ)は、スポタコの儀式を終えたらガキじゃない。青年になり、大人扱いとなり、男衆の末端に加えてもらえるようになる。

しかしそれには、壮絶なスポタコの儀式が必要なのだ。

スポタコ手術については、普段信用していた、いや、信用しきっていた家族やバランガイ、仲間らも全員グルになって男の子を騙す。騙すというか、演劇のような感じだ。

もちろんあとでネタバラシがあるのだが、それが繰り返し繰り返し、酒の話題になっていく。ひいてはこれがバランガイの絆となっていくわけだ。

 

こういう会話に入っていけるようなら、もう国籍関係なく、あなたはバランガイの男衆として認められるわけだ。
(ただしマニラはフィリピンの中で都会すぎるので、こういうことはあまりない)

 

記事ではここまで書いていたんだけど、ここから(2)を書いていませんでしたので、加筆したいと思います。

 

スポタコ手術前日まで

スポタコ手術とは、周到に準備される。もうこの段階から企みは開始されているからだ。
まず手術日が決められる。多くの場合、子供が長期休暇を貰う月の第一週の土曜日が選ばれる。
次に、手術する人員が決められる。男性6名である。割り振りは以下の通りである。

1.実際にチンポのカワを切り取る主治医(?)
2.頭を押さえて話しかける人(多くの場合父親)
3.4.5.6. 男性一名につき片腕、片足を体重をかけて押さえつける係。身内かニノン(宗教上の父親)が選ばれる。

スポタコ手術に立ち会った者は、生涯その男の恥を共有する絆となるので、人選は協議の上決定される。上記の決定事項は女性には一切伝えられることは無い。また漏れることはない。
情報は男同士の鉄の約束によって維持される。この4名は国籍によらないので、日本人であっても男性であれば参加はできる。ただしお客さんとしてではなく、一名の男性としての役割分担があるので気軽に引き受けてはならない。引き受けるなら責任をもって、手術から完治まで立ち会うこと。出来ないなら(帰国の予定がある等)引き受けるべきではない。

スポタコ手術に参加したいなら、一般的な日本人の場合、ニノン(宗教上の父親)になるのがもっとも参加確率が高い。ただしニノンになるには、男の子の洗礼に立ち会って、両親の許諾を得る必要がある。(ニノンになればスポタコ手術を見ること自体は間違いなく許可される)

 

マニラまで映画を見に行くという恐るべき隠語

前日、その家にいる女性らは、思いがけないボーナスを得ることができる。マニラまで映画を見にいって良いという許しと、多めのお小遣い(月収の半分くらいの場合もある)を全員に配られる。スポタコ手術は女人禁制であるので、まず女性は全員、家から出す必要があるからだ。
(なお母親にだけは、この時点で告げることが通例となっている。母親も帰宅までは話してはいけない)

何も知らぬのは的(ターゲット)だけ・・・連れて行ってもらえない的は、どうしてボクも一緒にいけないの?と父親にすがるわけであるが、オヤジは当然同行を認めるわけがない。
息子よ。お前は明日から大人になるのだ。

なお、この時点でカンのいい女性に気づかれることがあるが、その場合でも必ず追い払われる。バレそうな場合は男性がマニラの映画館まで一緒にいくという「見届役」もいるし、UVやジプニーを貸し切りで出して協力させることも多々ある。これらは多くの場合、バランガイの男衆が無報酬で行う。「スポタコ」についての頼み事というのは断れないことになっている。というよりも、事情を知った比人男性は、目をキラキラさせて、喜んで協力してくれる。スポタコに関係するということは、ひとりの男子を男性にするという意味合いが強い。ただでさえ地域の絆が強いのがフィリピン。こんな頼み事を断る男はいない。

フィリピンにおいて、スポタコオペレーションというのは、ニヤリを笑って男が一致団結してやり遂げるものである。

 

スポタコ手術当日

手術は、土曜日の午前中、父親の友達が来訪するところからはじまる。友達とはつまり、チンポのカワを切る主治医?だ。
この人は別に医者でもなんでもない。単にスポタコ手術をやったことがあるという、医学についてはド素人だ。多くの場合、バランガイの呪術師やベテランスポタコ手術者が行う。
(※もしもバランガイ内に男性の医者や看護士がいればラッキーであるが、その望みはほとんどない)

父親と友人は、しばし歓談する。残り4名は、さりげなく的をリビングの中央に座るように移動させるのが役割だ。

 

恐怖!突然起こるスポタコ手術!

合図と共に、四名の男性が、的に向かって一斉に飛び掛かり、床に「大の字」にさせる。男性四人が両手両足を完全に押さえる。押さえるというよりも乗る感じだ。そして、的をまず暴れさせる。充分に抵抗してもらって、体力を奪うのだ。つまり疲れ切るまで押さえつけされる。これには理由がある。やらないと手術の間に動いてしまうからだ。なお後述するが、暴れれば暴れるほど男らしいとされ、株があがる。

疲れ切ったところで父親が頭に枕を入れ、お前は今日包茎手術を受けるのだと息子に宣言する。

意識があるところで手術を行うだけではない。チンポというのは一応性器だし、お年頃の子供である。周囲を信頼できる男性だけで固める理由は、恥にならない配慮であるのだ。
だから絶対に女性は見ることができない。母親は息子のチンポなんて飽きるほど見ているだろうがそれでもダメだ。
なお術後は見ても構わない。母親が世話をしても全く問題ない。ただしスポタコ儀式中はダメということになっている。息子可愛さに絶叫したり、止めさせたりするとかえって危ないからだ。

どんな手術なのか

医療の素人が、不潔な環境で、麻酔もなく、チンポのカワを切るんだから恐ろしいの一言である。今はもう無いらしいが、昔はガラスの破片で手術していたという話もあるくらいで、想像を絶するものである。知らないほうがいい。

父親が頭を押さえつけるのは、息子に絶えず語り掛けて安心させること。ゲロを吐いた場合素早く横にして窒息させないことなどの役割がある。
コツとしては、執刀はなるべくスポタコのベテランにお願いしたほうがいい。それも複数名いてもらったほうがいい。医療従事者にやってもらえれば最高である。スポタコ手術を控えた息子がいるのなら、バランガイの集まりに顔を出して、このへんの根回しをするのは時間の無駄ではない。

終わったらどうなるのか

手術が終わったら、傷口がふさがるまで外出禁止である。またトイレであっても同行がつけられ、チンポを弄らないように、ほぼ24時間監視される。(これは押さえつけ係の4名が担当する)
これはバテバテ(自慰)防止の為でもある。完全に傷口が塞がると、晴れて割礼済の男性となる。

 

スポタコ手術後、男の子の取り扱いは劇的に変わる

スポタコ手術が完全に終わると、バランガイの中では男性とみなされる。飲酒、タバコ等は完全に許される。
また、父親の銃を触ること(銃を譲られることもある)バランガイの簡単な仕事に従事すること(野良犬や蛇を捕まえる動員など)も認められる。
いままで「子供だから危ない」といわれていた全ての行為について、危ないから下がっていろと言える立場になる。(これは手術前の同級生であっても適用される)
恋愛や結婚もある程度許されるし、自分の意志で生活することも認められるようになる。大人扱いとなるわけだ。フィリピンの男は、スポタコ手術を経て、少年から青年になるのだ。

学校では英雄となる

地獄のあとには天国が待っている。手術を終えた男の子は、クラスでヒーローとなる。また女子から一目も二目も置かれるようになる。周囲から大人扱いされるようになった青年というのは、魅力が二割増し、三割増しとなるわけだ。女子のほうだって、包茎男よりは手術後の男を選びたいわけだ。手術前のクラスメートは、それを黙ってみているしかない。クラスで一番最初にスポタコ試練を終えた男こそ英雄となる。いつまでもやらない子供は臆病者とみなされるし、終わった後でも冷やかしの対象となる。

 

スポタコ手術の問題点

あまりにも土人文化そのまんますぎることに尽きる。悪習であるといえる。実際、毎年死ぬ人もいるんだから、いつか無くなるだろうけど、今のところは存在しているのがスポだ。(略してスポといいます)

また、スポタコ手術で暴れない男性は、バクラと決めつけるのも問題だ。スポタコ手術時に暴れない男性はバクラであるという決めつけがある。(※確かにバクラは暴れない事実もある)
この障害を持っているひとは、チンポはションベン以外使わないので、ほとんど全く暴れないと言われている。この障害は気づきであることも多いんだけど、スポタコ手術の状況によっては、その後のイジメなどにより、バクラという生き方を選択する男性が毎年発生するというのは根深い。暴れないのは男じゃない!という決めつけで、人生が狂う場合もあるのだ。

 

嫁に浮気を疑われるトラブルも?

少し余談になるが、スポタコ手術数か月前は、男性は携帯を見せたがらなくなる場合がある。教えてもらっていた暗証番号が変わっている場合もあるだろう。
しかし女性は浮気を疑ってはならない。これは息子への愛と、男社会の結束を意味しているからである。(ネタバレ後は見せてもらえるだろう)
年頃の息子を持っている日本人女性はこのあたり留意しておいてもらいたい。母親(おんな)に心配されたら、この儀式は意味を失うどころか、男性は秘密を洩らしたものとして、男社会で相手にしてもらえなくなる。これは男にとって、あまりに残酷なことである。男性は、この手のことでクチが軽い、男同士の秘密を守れないと指刺されて笑われることは我慢できないほどツライものだ。ましてプライドの強い比人男性だということを、努々忘れてはならない。知ってしまって旦那を問い詰めるのは悪手である。家庭が壊れる可能性がある覚悟をしたほうがいい。

 

もしもあなたに比人国籍の息子がいたらどうしたらいいのか

心配はいらない。スポタコ手術の全権は、まず父親にある。父親の同意なしに、あなたの息子のチンポコが血みどろになることは絶対にない。
(過去もフィリピンの儀式を書いてきたけど)この手の儀式は外人免除がある。ヤラナイといえばそれまでだ。それに、バランガイと無関係な生活をしていると、そもそも話が出ないこともあるだろう。特にマニラ、セブで暮らしている日比ハーフだと、この話自体知らないことも多い。お父さんがバランガイ無関係の外国人となると、比人も遠慮してくるからだ。バランガイの取り決めや儀式というのは公式と非公式両方あるんだけども、外国人の場合公式の話しか知らないことが多い。スポタコはもちろん非公式なので、バランガイの飲み会に参加しないと話として降りてこない。田舎でも外国人の多いビレッジ等富裕層地域だと知らない人も多い。し!やらないバランガイの場合もある。

息子が年頃になったら、スポ自体はやったほうがいいだろう。日本で手術を受けさせて、別のバランガイでやったと濁してもいいだろう。それはバランガイの絆としてはあってはならないことではあるけど、感染症の危険もあるし、名誉よりも命が大事と思えばいい。

ただ、スポをしないということは、成人の儀式を済ませていないわけなので、同学年の同級生などの比の男社会においてはマイナスである。比社会に溶け込ませたいなら方法は問わずやったほうがいい。

男なら経験があると思うけど、日本でさえも男同士ならチンポコを見せあって爆笑するような青春の一コマがある。その際スポであるかどうかというのは大問題にもなり得る。バランガイの噂は千里を走る。せめて18歳までには、息子が恥ずかしい思いをしなくていいようにすべきだろう。

10代の比人が、唇をすぼめて「スポ」というと、周囲から大爆笑を貰える。アレは手術をしていない同級生をからかっている。あまり悪意はないんだけど、あれって「早く手術やってもらえるといいな」という前提でからかっているのだ。そういう意味合いがある。だからいつまでも外人割引適用というわけにもいかない。多感な青年時代、息子がスポタコのままというのは酷だ。
父親が拒否したということはチャンスを潰したということでもあるので、帰国の際手術させたほうがいい。同級生の手前もある。青春時代、オヤジの反対で「息子がカッコツケられないスポタコ野郎」というのは残酷でもある。比にスポタコ成人文化がある以上、息子が15歳くらいになったら考えてあげたほうがいいだろう。

あなたが母親で、比人の夫が同意してしまえば、避ける方法は話し合いしかない。それも直前ではなく、成長する前に!息子のチンポについて話し合っておくべきだろう。
旦那が田舎生まれの保守的思考で、息子にも伝統的スポタコ手術を受けさせるつもりならば、事前に夫婦で話しておけばいい。日本で手術させるというのはアリである。
放置しておけば、裏で手配されてスポタコ手術が完了することになる。ほとんどの場合成功するので問題はないとしても、心配は心配だろう。

スポタコ手術も過去の話

ここまで書いておいてナンナンだけど、実のところ、上記の情報も、令和の今ではだいぶ様変わりしている。
スポ自体はあったとしても、流石に今の時代「押さえつけてガラスの破片でチンポを切る」という土人儀式は減ってきていて、事前に教えて、清潔な環境で行うようにもなっているようだ。(女人禁制というのは伝統的に揺るがないようだが)医者や看護士の卵がアルバイト感覚で執刀する場合もあるようだ(安心感は段違いであるし合法だ)
いまや子供がSNSで情報を全世界に発信する社会である。スポタコ手術はプライバシーそのものに加えて、男性社会の隠し事と絆の確認という性格がある以上、なかなか表に出てこないけども、状況は劇的に改善されている話が多い。バランガイの中ではやらないところも増えているようだ。コンドミニアムが聳え立つマニラ首都圏で、そんな原始的な話はほとんど無くなっている。

 

伝統的な方法でも、事故はあまり無い

フィリピンは若い人が多い国だ。スポタコ手術といっても、現実的に考えると、手術するチンポの数は年間何百万本にも達する。物凄い数のチンポの皮が毎年切り取られているわけである。
事故はあるだろうけど、スポタコ手術に特化したベテランに任せてしまえば、ほぼほぼ大丈夫であろう。スポ失敗ケースは報道されることがあるくらいレアである。(隠蔽も多いだろうが)
誰が執刀するのか?というのはしっかり情報を得て、ヨシとなれば任せてしまうのもいいだろう。案ずるより切るが安しかも知れない。

 

スポタコ手術とは、町内の男同士が死ぬまで持つ絆

今日はクリスマスだけど、酔って話す内容なんてのは決まっている。思い出話や町内の噂等だ。その中での鉄板話はスポタコ手術の話だ。
そのときの状況や、暴れっぷりの真似なんかは、聞き飽きるまで繰り返し話される思い出話となって、いつまでもいつまでも、エンペラドールの回し飲みと共に、男同士の楽しい思い出の一ページになっていく。スポタコ手術の慌てっぷりの物真似は、バランガイで100%爆笑を勝ち取れる。それは立会人だけの特権だ。酔いが充分に回って、女性がいなくなったときのバランガイ飲み会こそ至高なのだ。バランガイの粗末なテントで、ヤギの肉を食べて喜んでいるうちはまだまだ「浅い」。ディープな話はここではとても書けるものではないが、銃の話なんて、話のとっかかり程度のことだ。殺し、クスリ、マフィアの話までポンポン出てきても、スポタコバナシには叶わない。涙がでるほど大爆笑できるのは、スポタコ手術の物真似ネタである。もちろん他人には話せないけど、身内にだけは話せる夜会は飽きないものだ。

こういう人間関係というものは、日本人社会の『警官を知ってる、政治家を知ってる』なんていう話の100万倍も強い。心の底から信頼を勝ち得るというのはパーティーや賄賂では買えない。
わたしは、比社会で助けられたことが何度もあるけど、最後はこういう絆で助けられたことが多い。

スポタコ手術というのは、基本的に話題として出すのもタブーに近い。だからネットでもほとんど情報がない。日本語での解説は、私の記事がおそらく初だと思う。
なぜなら、ほとんど成功する以上、受けた男性は最終的に感謝するし、その伝統を引き継ぐし、秘密であるべきだという文化空気感があるからだ。
そもそも、そのまんまチンポの話だから、気安く話題にもできない(けど重要なことである)

スポタコが無事終われば、次はマフィア勧誘(または大学サークル)のファニッシュメントをどう乗り切るかということに関心は移る。

—全くフィリピン男性の10代後半の心配事は尽きない。親ならば、それをどうクリアするか悩むことにもなるだろう。
しかしそれも含めての海外生活。右往左往するのも経験なんではないだろうか。

男性としてのプライドの塊である包茎手術を、地域の儀式として行うのがフィリピンだ。年々薄れているとはいえ、この問題にぶつかる場合もあるだろう。
一応記事にヒントは書いておいたけど、結局のところ親として判断するシーンになったら決断を強いられることになるだろう。外人割引を適用するのもいいし、日本で手術するのもいい。任せてやってもらうのもいい。なにをしても自由である。そもそも(本来は)本人の意思も大事だろう。

このあたり上手に切り抜けた、先輩日本人の経験談も聞いてみたい。

なにしろ酒のつまみの話として、スポタコバナシというのは絶対盛り上がれる鉄板ネタなんだから!
(了)

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※この記事は2020年12月に別媒体で執筆したものを加筆、再掲載したものです
※この記事はフィリピンの一部地域の実体験を元に構成/執筆されたものです。場合によっては全く異なる場合もあります。比は民族文化自体が100以上分かれている国ですので、知識のひとつとしてお読みください