フィリピンでバイクに乗る(全)

コロナ明けしてから、移住相談も増えてきた。良いことである。
移住すれば、必ず必要なのが衣食住。それに交通である。足がないと何もできない。会社でドライバーを雇っているなんていう人もいるだろうが、それはそれなのである。

マニラの一部地域では、足がなくても生活はできる。実際わたしも足があったり無かったりという生活を送っている。

移住にあたって、あれば便利な交通手段として、真っ先に思いつくのはバイクだ。ある程度距離も走れるし、渋滞知らず。バイクを検討する人は多い。
だいたいにおいて買い物に便利すぎるのである。

というわけで、今日はフィリピンのバイク事情について。

免許は要らない

バイクに乗るには建前上免許がいる。しかし、正直言って、田舎なら要らない。フィリピンの田舎に住んでいれば、おそらく一度も警官に免許を見せるシーンは無い。
「そんなこと言って捕まったらどうすんの!」と思うかも知れないが、実際捕まったらお金を払えばオシマイである。
フィリピンの田舎は、無保険、無免許、3人乗り、違法改造、整備不良、ノーヘルのバイクばかりである。(マトモなバイクのほうが少ない)
だからといって無免許運転を勧めるわけではないけども、実際何も起こらないだろう。不安なら取れば良い。

基本は日中の晴れ

フィリピンでバイクに乗れる日というのは、日中の晴れのみである。夜や、雨の日は乗れない。乗ると死ぬからである。基本乗ってはいけない。
住めば分かるけど、フィリピンでは夜23時を過ぎると、交通がバタっと減る。喧騒が無くなり、皆おやすみモードとなる。

深夜になると、バイクは飛ばし放題となる。すっごく気持ちいい。ヒャッホーなのである。
これで死ぬことがメチャクチャ多い。

何故かというと、まずフィリピンというのは、道路に穴がボコボコ開いている。あんなところに、時速60キロ以上で突っ込んだら、運が良くても骨折である。
次に、ガラスの破片がたくさん落ちている。何故かというと、事故が起こった後、誰も割れたガラスを片付けないからだ。
そしてなにより、フィリピン名物コンクリートブロック。道のど真ん中に置いてあることも多い、このコンクリートブロックは、まさに事故の元。車でも危ないのにバイクで突っ込んだら死ぬ。—これに雨という悪条件が重なればどうなるだろうか?119番しても救急車が来ないかもしれないという国で、そんなに急いでどこへ行く?なのである。

書類はしっかり自分名義で作ろう

さきほど「田舎では捕まらない」と書いたけど、逆にいえば都会では捕まりやすい。マニラ近郊だと、検問をしていることもある。
フィリピンの検問というのは、バイクばっかり止める。

何故なら、
1.バイクに乗っているヤツはお偉いさんではない
2.いきなり銃が出てこない
3.録画されている可能性が少ない
4.車を止めすぎると渋滞が発生する

オッ検問してるな!と思っても、車はスルーでバイクばかり狙い撃ちにしているシーンは良く見かける。
ここで見られるのは書類だけだ。日本と違って免許を見せるだけではない。OR,CR,免許等、書類は全部チェックされる。それが全て合っていれば放免だ。
だから日本人同士でも、できればバイクの貸し借りの際には書類を一枚作っておいた方が良い。(即、盗難車として取り扱われるからだ)
帰国している人のバイクを借りて乗るのはトラブルになる場合もあるということだ。
不思議なもので、検問に引っかかっても整備不良やナンバープレートのことについては言われないことが多い。

 

バイクの免許について

バイクの免許についてもいろいろ情報があるけども、最近免許制度が大幅に変わったので、なるべく最新の情報を集めたほうがいい。
日本の原付免許を持っている場合、外免切替でフィリピンのバイク免許に出来る。私はこの制度を利用して取得した。学生時代、2日3日で取った原付免許が、まさかフィリピンで役に立つとは思わなかった。わたしが堂々とバイク免許を持てているのは、原付免許のおかげである。
(ただし、日本で普通免許を取る前に原付免許を取らないといけないので注意。俺らの国では、普通免許を取ってから原付免許を取ることはできないのである)

日本の原付免許は、なんとフィリピンの限定解除免許に化けるのである。これをもう一度日本で外免切替すればどうなるか!
日本で労せずバイク免許を貰える免許ロンダリングが(理論上)出来るのである!オオー!!

この免許ロンダリング。私は日本の良民として、お上に恐れながらと願い出たのであるが(一度目の)結果は却下であったw
懲りずにもう一度やってみるつもりである。やるだけならタダだかんね。別に厚かましいことでもない。日比の国際条約で相互互換が認められている以上、申請自体はアリ(法的不備がない)なのである。

フィリピン自動車免許を持っている場合

フィリピンで車の免許を持っている場合、新たにバイクの免許を取る必要はない。
何故?と言われてもそういう制度なんだからしょうがない。1270ペソの手数料を払えば、「制限変更」というよくわっかんない手続きでバイク免許を付けたしてもらえることになっている。
ただし、この制度を実際にやってみた経験者が私の回りに居ないので、あくまでも制度上の話である。(体験談募集)

ところで今回の改正で、バイク免許取得の際、英語とフィリピノ語両方(昔はどちらか一つであった)の言語を話せなければならないという条件が付け加えられたが、そんなものにビビることはない。なにか試験があるわけではない。(LTO本局に限って口頭試問がある場合があるけど、雑談できればパスできる)
また、わたしの周囲でも、車の免許でバイクに乗っているという人は案外多い。警察も、なんか免許持ってればいいくらいの反応なので、無免許じゃなければ、もう乗っちゃっているという人もいる。まったくけしらかん。

 

買うバイクの排気量は検討を要する

足代わり。ゲタ車。チョイ乗り。買い物用だったらスクーターで気楽にフィリピンライフを満喫したらいいだろう。
しかしルソン島に住んでいる人ならば、排気量は検討を要する。全ての高速道路には排気量制限があるからだ。これは400cc below となっている。
バイク好きの人に言わせれば、排気量が少なくてもバイク乗りに国境はない。制限はない。自分が好きなバイクに乗ればいいというのだけども、ルソンでは高速に乗れるか乗れないかというのは、遠出においては重要である。

中古バイクを狙え!!

フィリピンで車を買う際は「新車以外一切買うな」というのは、江戸時代から語り継がれている在留邦人の引継ぎ事項である。しかしバイクにはそれが無い。中古でいいのである。
フィリピンの中古バイク市場というのは、出物がありすぎるからだ。目移りするほど出物がある。
日本製のバイクがタフなのは皆さんご承知の通り。となれば、しっかりエンジンがかかる、ヤマハやホンダの純正に近いバイクを中古で買うのはアリである。

なんでこれほど出物があるのか。フィリピンのバイク屋というのは、貧乏層相手にしているので、一か月1000ペソ以下のローンを組ませて買わせることが多い。
そして、それを払えないという貧困層がメチャクチャ多いのである。それも、買って一か月目。最初の1000ペソを払えないヤツが多いのだ!

哀れバイクは一か月で没収される訳だが、そういった中古バイクを買うのはアリだろう。(100%改造されているけど)

うーん。なぜ、1000ペソのローンを払えずに、改造費にカネをかけているのか?考えてはいけない。考えてはいけないのである。
肝心なのは、低走行のバイクが安値で手に入るということだけだ。この手のバイクは中国車が多いけど、もちろん日本車もある。
もっとも多いパターンは、バイクを買ってウッキウキになって改造したらローンのお金の請求払えませんでした、という単純なブツだ。買って半年以内のバイクである。

フィリピンの場合、このようなローンは「買い手に代わって私が支払います」という契約になることが多いんだけど、書類はそれほど難しくは無い。
メンドクサイなら新車を買えばいい話だ。なお新車のスクーターは12万円(ヤマハ)くらいからある。
12万円というのは、大人が出せない金額ではない。日本人なら「ちょっとした出費」程度の額だろう。無駄遣いではない。
それにバイクは売れるのだから、まるまる12万円の出費ではない。将来受け取れる価値もある。

結論

私個人としては、フィリピンでバイクはアリだけどオススメはしない。日常生活を送っている中でも危ないなと思うことが多い。
バイク事故で、道路に寝そべっているヤツを見るのは、日本より回数がずっと多い。どれほど痛いだろうかと想像してしまう。(野次馬が見てるだけで誰も通報しない)あなたもそのひとりになるかも知れないのだ。発展途上国でバイクに乗るというのは、アスファルトと救急車完備の国とでは全く違う。危険だということだ。

バイク事故は自分のダメージが大きいので、その国の医療水準と自分の命が直結するからだ。車の安全基準ならアリだけど、バイクはナシだと思っていい。

—でも事故さえ起こさなければ、万年渋滞のフィリピン(マニラ)では物凄く便利である。車とバイクの移動距離は、一時間あたり20分違うのが実感だ。
夜、雨は運転しないという鉄則を守り(バイクを買ってしまうと守れない人が多いが、徹底して守らないといけないのがこの二点である。免許無くてもこの二点は守るべきである)
うまく他の移動手段と併用するのは大いにアリだと思う。駐在のドライバー付の人だって、一度マニラでバイクに乗ったら、快適さにひっくり返るであろう。

私たちは、日本という便利な国以外の冒険を求めて海外にやってきたという「そもそも論」がある。

冒険心のままにマニラの風を感じて、EDSAマガリャネスの坂道を、両足広げて下っちゃうバカくらいやってもいいよな?