マニラで賃貸(6)引っ越し

マニラで家から家へ引っ越す場合について。

まず、引っ越し前に、あなたの住んでいるビレッジやコンドの管理事務所に、引っ越し許可を貰わなければならない。
なにをバカなと思うだろうが、ほとんど要求される。

バランガイの月会費、大家との退去契約を確認したうえで、なにを持ち出すかということを申請しないといけないのだ。
何故かというと、もしもあなたが家具付きの家を借りた場合、あなたが泥棒している可能性を否定できないからである。
大型家具は、リストアップして提出を求められるので、退去前に管理事務所と大家に聞いた方がいい。

引っ越し当日になって、トラックがゲートを超えられない場合があるのだと知っておこう。

また、引越し当日は、誰か日本人に声をかけ、日当を払ってでも来てもらったほうがいい。荷物が無くなる不安が解消される。
部屋にいる人、地上にいる人と、最低二人の監視役が必要なので、これはもう引っ越し費用の一部と思ってバイト募集してしまおう。
(おおよそ5000ペソ程度の謝礼で良いのではないだろうか)

 

引っ越し段ボールはDALIで確保する

マニラでは、段ボールが簡単に手に入らない。私も引っ越しごとに買っていたが、余計な出費である。
手頃な段ボールを無料で入手するには、DALIがもっとも良い。ここを数件回れば、充分な量の段ボールを確保できる。

 

トラックの手配

東南アジアでよく聞く引っ越し方法が、LALA-MOVEを利用してトラックを手配するというやり方だが、これはマニラでは当てはまらない。
何故かというと、登録しているトラックが、まるでいないからである。試しに手配してみればいいだろう。まず捕まらない。時間の無駄である。

ではどうしたらいいのだろうか?ほとんどの人は途方に暮れることになる。

友人の車を借りる、会社のトラックを借りる

もしもこの手が使えるのであれば使おう。貸してくれるひとがいたら、甘えたほうがいい。謝礼を払ってもいい。
親戚や友人に比陸軍の人がいたら、輸送車を貸してくれることもある。声をかけてみよう。

ジプニーをレンタルする

比人がよくやる引っ越し方法。ジプニーは人を乗せるだけではなく、モノも詰めることもできる。しかも相当量詰める。
屋根にマットレスを乗せ、冷蔵庫を寝かせ、周囲に段ボールを配置して運ぶ。
ジプニーのレンタル代は、ガソリン別、運転手込みで3000ペソほどかかる。高い割には一度で運びきれないこともある。あまり賢い方法とはいえない。

 

LALA-moveと宅配便の合わせ技

これはバカげたやり方だが、LALA-moveのワゴン車を手配すれば、冷蔵庫まではいけるので、やれないことはない。そこに段ボールを詰めるだけいれてしまい、あとは宅配便を駆使するやり方だ。新居まで数度往復しなければならないので手間がかかるが、トラックの手配に自信がない人は、これでもなんとかイケてしまう。コスト高になるが、一回あたりの荷物が少ないので疲労は少ない。ただし時間がかかりすぎるので、まったくオススメはしない。

 

比系引っ越し業者を手配する

ズバリ、これが一番いい。複数の引っ越し業者から見積もりを取り、条件交渉をして運んでもらうのだ。屋根付の箱型アルミトラックに来てもらい、荷物を全部積んで新居に向かう。いわば「単純引っ越し」だ。

トラックを手配した場合、あなたは助手席に乗り、旧居から新居へ移動することができる。日本のように小うるさいことは無い。荷物の監視にもなる。

 

ただ、マニラの引っ越し業者なんていうのは、悪いが英語は通じないことのほうがおおい。自信がない人は在住者の助けを借りてしまおう。

引っ越し業者は、ネットでいくらでも出てくるが、総じて割高である。マニラの引っ越しは、手配の腕次第でナンゼンペソも変わる。
高い業者の腕がいいわけでは無い!高い業者は、ただ高いだけであって、サービスが良いわけではない。見極めには眼力と経験が必要だろう。

交渉する話は決まっている。業者は基本料金+高速代で見積もりを出してくるはずだ。基本料金には作業員も含まれている。だいたい若い兄ちゃんが1.2人だ。この交渉で、絶対に外してはいけないポイントを教えよう。

それは、荷物を『新居の中まで運ぶ』ことを条件とすることだ。これは最重要ポイントである!
これを守ってくれるなら、兄ちゃん一人当たり500ペソのチップをオファーしてみよう。1000ペソでもいい。このお金を絶対にケチってはならない。
なお、兄ちゃんは2名はいたほうがいいので、1名と言われたら追加しよう。

どうしてこの条件が重要なのか?

ルソン島内での引っ越しの場合、トラックが来て、あなたの荷物を全部トラックに積み、(前述した書類を見せてゲートをくぐり)多くは高速道路を通って、あなたの新居に荷物を運ぶわけだ。

新居に到着する。一般的にコンドは、引っ越し作業を好まないし、引っ越し業者も早く帰ろうとする。あなたの都合など考えない。業者は、あなたの出した条件通りに仕事をしたのだから、それで契約はおしまいだ。「この住所からこの住所に運んだ」のだから、業者の言うことは最もだ。なにもおかしくない。そうだよね?

・・・どうなるか。もしも新居がコンドなら、引っ越し業者はコンドの入口に荷物を置いて帰ってしまうのだ。
荷物は運んだ。おろした。これで私たちの契約は済んだということになる。そして本当に帰ってしまうのだ。

あなたは、トラック一杯分の段ボールや大型家電を前に呆然とすることになる。
もしも家具運搬用のエレベーターが動いていなければ、それこそ階段で運べと言われる。『本気か?この荷物を16階まで階段で運べって?』と言ったら、答えはYES sirとなるかもしれない。エレベーターの無いアパートなら、それこそ無茶だ。金庫や冷蔵庫は、複数の男性の手助けが絶対に必要となる。

退去時でも相当疲労しているのに、自分の荷物が道路に置きっぱなしになったまま、雨でも降ればそれこそ悲惨だ。
あなたが荷物を運びこもうとすれば、誰かが持ち去ってしまうかも知れないので、運び入れることすらできない。

だから、それを避けるために、引っ越し業者とは、「家の中まで運び入れる」という、いわば特約を、事前に札束ビンタで取り付けておかなければならない。

もしも階段で運べと言われたら、そうするしかないのだ。いやエレベーターを使ったとしても、かなりの重労働である。これは男性の手を借りないと無理だ。立会人の日本人がひとりいたところで、どうにもならない。あなたがどんなに呪いの言葉をセキュリティに吐いたとしても、どうにもならない。彼らはルールを破らせたら首になるのだから、特例を許可するわけがない。こうなったら悲惨である!

 

引っ越しは荷物を新居まで運び入れて契約完了にすべし!

だから、マニラの引っ越しとは、トラック代などどうでもいいのだ。トラックは、州を跨いだとしても一万ペソもしない。高速代など知れている。
それよりも、若くてイキのいい兄ちゃん2.3名。日本人のバイト1,新旧の家の事前根回しに時間とお金を使うべきなのだ。

引っ越し業者は、家具に養生など一切しないので、荷物は積みっぱなし、移動中はぶつかりっぱなしなので、大事なものはそもそもトラックで運んではいけない。それらは別に車を手配し、自分で運ぶべきだ。

引っ越し業者のトラックがついた時点で、まずペソを見せる。現金を見せる。そして、新居の家の中まで運ぶということを念押しする。
(引っ越し先にも、エレベーターの使用の有無は事前に聞いておく)作業中は、水やジュースを差し入れる。トラックに乗せ終わったらメシを食わせるというように気を使い、段ボールを盗むよりも言うことを聞いた方が得だというオーラを出さなければならない。

そうすることで、もしも新居での運び入れ条件が過酷だったとしても、最悪さらに500を追加して保険とすることができる。彼らは事前に約束をしたからだ。ここまで念を押しておけば彼らは動く。男性3名で、追加チップ合計3000ペソ。オトコ三人いれば、冷蔵庫だって持ち上がる。安いものだ。

作業が終わったら、彼らが盗難していないことを簡単に確認する。コンドなら、セキュリティに声をかければ、あなたの代わりに身体検査、手荷物検査をしてくれる。そうして盗難が無いとなれば、現金で報酬を払ってあげよう。チップ3000ペソ?一万円未満である。絶望の荷物放置に比べたら、なんでもない額だ。

 

 

 

当日はホテルを取るのも良い

入退去というのは肉体的にも精神的にも疲れる。グッダグダになっていることもある。海外での初引っ越しともなれば、もう泥のように眠りたいだろう。新居でベッドを組み立てる気力など無い。

当日は、近くにホテルを取って、マッサージを呼ぶ手配をしておくのは賢い方法だ。マニラなら、これが2000ペソを切る価格で出来る。
電気はあっても電灯の取り付けもあるだろう。シャワーはまだ水だろう。床は作業員の靴跡で汚れているだろう。そんなことは明日に持ち越して、当日はホテルを取ってしまい、熱いシャワーとエアコンの部屋で、清潔なベッドで寝てしまおう。家族がいればなおさらである。