フィリピンの選挙買収事情
GWも終わった。久々のフィリピンを満喫した方も多かったとおもう。小次郎で25000P取られた方は不運でしたね。在留者の為にも、被害届出してから帰国してほしかった。
さてそろそろ選挙も近いということで、フィリピンの選挙について書きたいとおもう。今日は趣向を変えてJIM-BEAM。バーボンウイスキーを飲みながら書いております。途中から訳わかんないことかいても勘弁な。いつものことなんで。
フィリピンといえば不正選挙!
「フィリピンといえば不正選挙。現職絶対有利なんでしょ?対立候補が殺されたりするじゃない」とヒトは言う。そう。その通り。
対立候補が死ねば当選確率は高まる。余計なことを言うジャーナリストは、何故か不慮の死を遂げるのがフィリピン流。フィリピンにおいて選挙の実弾とは、そのまんま銃弾なのであった(笑)
これをやりすぎて、こと選挙となるとヒトが死にまくる都合上、比の「政治的殺人」は世界的に見ても下から数えて何番目…である。それほど酷い。
でもまぁ、対立候補が死んだりすると、さすがに疑われるのは間違いなしなんで、この手も今やあまり使えない。最後の手段になってきた。
でも現職候補は「絶対に当選したいんだもーん!」というわけだ。じゃあどうするのかというとペソである。物凄いお金を使って買収しまくるのが、ちゃんとした政治家のやることなのであった。
買収の仕組み
じゃ、どういう方法を使って善良な市民から票を買うのかと言うと。今回のように大きい選挙の場合、選挙運動員を使って行われる。
選挙運動員の待遇は破格である。日当1000P+買収歩合給。それも、1票当たり500Pという、ちょっと俺もやってみたい位のカネを貰えるのだ。これはもちろん、口止め料コミということなんだろう。
では、令和版。フィリピンの一票。イクラするでしょう?これ、なかなかのお値段となっております。
今日のフィルスターの報道によれば、それとは別に(今一票の値段が上がっているらしく)なんとお値段、ひとり3000Pにまで暴騰しているのであった!(えええー)バランガイ選挙の500Pとは大違いである。
つまり、政治業者が払う1票は、マニラの場合、おおよそ3500P以上という計算になる。物凄い額である…
選挙運動員は大忙し
選挙運動員は「今日5票獲得してきましたー」といえば、政治業者は「オッすまねぇな」といって3000ペソくれる。
クッソおいしい。10票なら5000ペソである!
じゃあ、こんなもんナンボでも語れるんじゃないかと言われると、そうもいかない。
なんでかっつうと、ソイツがちゃんと、狙った政治家に投票したのかということを、運動員は選挙当日に監視しなければならないからだ。
何故こんなことが出来るのかというと。これ、実はフィリピン独特の投票制度があるからなのである。
フィリピン独特の投票制度とは?
日本の場合、そのへんの小学校に投票箱置いて、選挙管理委員会がテキトーに名簿持ってて、ハガキ見せて投票する感じだ。フィリピンも同じだが少し違う。
それは、フィリピンの場合、「学校の一区画」ではなくて、教室全部使うのだ。何故?!(笑)
簡単に書くと。
2年1組の教室では、北町1~5丁目
2年2組の教室では、中央町1~3丁目
なーんて具合になっていて、教室のそばの廊下に有権者名簿が貼られている。
教壇にはコンピュータとマークシート読み取り機が置いてある。(※比は識字率の都合で、投票はマークシートです)
有権者は任意の机に座ってマークシートを塗って、選挙管理者に提出する。それを目の前で読み取り機にかければ投票は完了だ。
ちょっと効率が悪いような気もするが(だってそんなことしたら、読み取り機だけでも、フィリピン全土で物凄い数が必要になるのだ)
ま、このやり方であっても民主主義は守られている。ように見えるじゃん?!
実はこのやり方こそ、買収後の投票行動を確認できる作業が出来る温床となっているのだ。
教室は出入り自由
なんでこんな記事が書けるのかというと、わたしは選挙の際、比人と一緒に学校に行っていたからである(笑)
俺は外国人丸出しなんだが、驚いたことに選挙中、教室になんか、ナンボでも出入りできた。
それで気づいたんだが、まずフィリピンで一級のIDと言われるボーティングカード。アレ、肝心の選挙の際は使わない(笑)
(※当然なんだが、有権者名簿に載っていれば、カードがなくとも投票できる)もっといえば、有権者はバランガイが出した名簿を基に作成してあるので、驚くべきことに、出生証明の無い人間であっても投票は認められている。(これは良いことである)バランガイが認めた比人というのは、これすなわち市民である。これは許されるべきなので、ちょっと比を見直した。(比には出生証明の無い比人がウン百万人もいるんだが、バランガイの名簿に載っていれば投票権を与えているのである!)
えー。じゃあ俺もバランガイの名簿に載ってるんですけどぉー?と、ふざけて何度か絡んだんだけども、結局俺は投票権を貰ったことは無い。
ふん。いいもんね。ふんふんふーん。いいんだもんね。
おまえら。俺は日本の内閣総理大臣にだってなれるんだってこと忘れんなよ(笑)ファストフードにウーロン茶を置く事を外圧かけたるかんね!
あ。脱線した。
さて。選挙管理といってもザルである。選挙管理人は、投票用紙を渡す際は本人確認をする(ことになっているが実際はしないこともある)
つまりエージェントが監視したり、なんなら自分で投票しちゃったりというようなことは、余裕で出来る環境にあるのだ。
どうしてかというと、教室で分かれているからである。つまり人目が少ない。ほっとんどの場合、選挙監視のおっさんと、有権者は1対1となる。そして学校にはカメラもない。つまりやりたい放題なのであった。
つまりこうだ。選挙運動員と有権者は同時に入室して、運動員の見ている前でマークシートを塗り潰すわけだ。1分もかからない。
そしたら選挙運動員は、次の買収者と一緒に、次の教室に行くのを繰り返す。この方法ならば、確実に一票入るというわけだ。
そうはいっても「こなし切れない」
選挙運動員は、当日は朝から晩まで動きっぱなしである。比の学校は階段だし、もうヘトヘトになる。有権者ってのは何千人どころじゃないかんね。
だから、本当に投票したのかどうかというのは監視しきれないので、マフィアやフラタニティや監視員に頼み込み、ソイツが本当に投票したのかどうかということを確認するわけだ。
カネを受け取った有権者のほうなんだが、実のところ、まず間違いなく言われた通りの候補者に投票するらしい。
ただ、大きい選挙になればなるほど、欲も動くし地位も動く。運動員の中には、公務員の地位をチラつかされたりもするので真剣だ。万が一、候補が落ちたらタダでは済まない。冗談抜きに、見せしめ逮捕されるかも知れないんだから。
今回の選挙
今回の選挙では、この手の手口で、5候補が買収疑惑を掛けられて選挙管理委員会に呼び出しを食らった。まぁ委員会側も「仕事してます」ということだわな。
フィリピンの不正選挙については(日本が一番うるさい)民主主義の国際社会からかなり圧力がかかっているので、アリバイ作りで多少は摘発しないといけないわけだ。
少しはマシになったフィリピン
わたしが初めてフィリピンに来た時はちょうど選挙後だった。その時ぶっ飛んだのは、市役所に「消防車」と「救急車」が、飾ってあったことだった。
『わたしは市民の為に、これらの車両を買いました!』というわけだ。車両には、その政治屋の顔がデカデカと印刷されていた。
2025年現在では、一応、市役所の前に救急車が展示されていることは無くなった。田舎ではあるかもしれないが、ルソンでは見なくなった。
『人間の行為の中で、なにが恥知らずか?』ということを語ったノイノイ・アキノ大統領は、こういった行為を厳しく糾弾したんだが、この考えはヒトの心を打った。
そりゃあそうだよなぁ。救急車展示するのはいいから、所轄に配属して出動しろよというね。誰でも分かる話なんで、ルソン島では、この展示は残念ながら見られなくなった。