流れ星銀と北欧について
今日は久々のアニメ回。フィリピンに関係ない記事を書こうと思う。ワイのブログには時々アニメ回があるのでご甘受願いたい(笑)
というのは、流れ星銀のことなんである。以前も流れ星銀の件について触れていたんだけども、これはもうひと記事書かないといけないので書くことにする。
流れ星銀というのは、元々日本の東北地方あたりで、犬と熊が戦いましたと。物凄くザックリ言うとそんな話なんだが、これが北欧の40代、50代男性にとってはもう、心のふるさとみたいなアニメになっているのだ。いやそれ以上のものがある。フィンランドあたりだと、知らない人100%いないとってもいい。それほどの絶大な影響力がある。
まず、以前ボルテスの件でも書いたが、日本のアニメは20年位前、世界中の男性の心をわしづかみにした。
そんな中で、何故か流れ星銀は、北欧の人々にとって、もう擦り切れるほど見返すのが当然。涙を流しながら見るのが当然というくらい、とてつもない影響力を誇っていたのである。
試しに、北欧の40代、50代の男性に「GIN NAGAREBOSHI」と言ってみよう。
「お前….オマエは今、俺の心の琴線に触れたぞ…」という対応を、誰もが見せるのである。どうしてこんなことになっているのかというのが今日のお題だ。DALIのビール飲みながら書いてます。
流れ星銀!
以前にも書いたが、80年代あたりのアニメというのは子供心に多大な影響がある。それがいま、社会を動かす大人になっている。
流れ星銀というのは、前述の通り日本の東北あたりの話なんで、森林と雪に囲まれた中でストーリーが展開していく。これつまり北欧の人にしてみると「俺らと同じじゃん、俺らの国が舞台じゃん」と、まず感情移入しやすい。(実際は城が出てきたりするんだがそれは仕方ない日本アニメなんだから)当時の話である。「雪と森林が舞台」(本当は北日本なんだけど)のアニメで、しかも犬の話だったので人種を問わない。北欧の人誰もが、自分たち向けのアニメだと受け止めたのも無理はないだろう。雪が出てくるアニメ自体が珍しかった。感情移入できたのも当然だ。
ほんで。
この主人公の敵というのは熊なのだ。
これは全く分かりやすい記号で、つまりロシアのことである。
森林と雪という、まるで自分らの国が舞台かのような内容。しかも、凶悪な大熊(ロシア)という強大で、とてもかなわない、太刀打ちできない圧倒的な力をもった敵が現れる。(流れ星銀に出てくる熊というのは、腕を一振りするだけで、何匹もの味方が天にすっ飛んで行く(死ぬ)ほど強いのだ。)犬側は全くダメージを与えられず、知恵を振り絞っても味方はなすすべなく死んでいく。腕を一振りして死んでいった犬らにも、親も兄弟もいるだろう。それが、圧倒的チカラの前に、みるみる殺されていくのだ。
でも、銀と仲間らは、知恵と勇気を振り絞って、大熊(つまりロシア!)に立ち向かっていく。こんなん。北欧男子に刺さらないわけがない。
しかも銀は「立ち向かえ 自分より大きなものに」と言っている。つまりロシアに立ち向かえと。勇気をもって抵抗しろと言っている。
こんなん奮い立つよな。
だから、北欧では、もしロシアが攻めてきても、妻や子供を守るために戦え—銀のように勇気をもって!というのが、すごく共感を得ることができるのだ。
北欧の親子。食事中流れてきた、流れ星銀を見ている。
「大熊」(=ロシアとベラルーシのことだ)
次々に殺される味方の犬たち。(なお北欧版では全カットされている。カットされすぎて、ストーリーの辻妻が全く分からなかったらしい。それでも何十回も見たというヒトがとても多い。そして大人になり、日本版を見て「オオ…やっぱり..」となって、大人になってからもう一度感動できるというのだ)
父親が息子に「もしもロシアが攻めてきたら、お前は銀になれるな?」と言うわけだ。
なれる!俺はこの国を守るため、勇気をもって戦う。お父さん。俺は逃げずに戦うよ!
こういう会話をしてきたのが北欧男子なわけだ。なにしろ北欧ってのはロシアが攻めてきたらどうしようっていう備えをガッチガチに教え込まれている国なんで、この流れ星銀というのは、偶然物凄い影響力となってしまったわけだ。流れ星銀に出てくる大熊は、圧倒的な力をもっており、犬がかなう相手ではない。でもチカラを合わせて撃退するストーリーなのだ。(もちろん多大な犠牲は出るが)
彼らにとって流れ星銀は人気なんかじゃない。人気以上の、なんというか、北欧の人々にとって、一種かけがえのないアニメになっているのだ。
ヨーロッパでは、当時暴力的表現が厳しかったので、流れ星銀の戦闘回のほとんど全部がカットされていたらしい。
北欧男子は、大人になってから日本版を見て、「銀たちは、こんな壮絶な闘いをしていたのか…」「日本版見て泣いた…」となっているのである。
これを見るだけで泣いてしまうと、北欧の人から何千も書いてあるのがその証左である(オリジナル版は引用動画ではありません。こっちはリマスター版ね)
ロシアは怖い。でも、銀のように勇気をもって戦う決意を示すアニメが、北欧の人々にとっての流れ星銀なのだ。
俺がもしフィンランド大使だったら、
BRAVE!
という看板を日本大使館にあげるね。それもデカデカと、これみよがしにロシア大使館の方角に。
ウクライナはウクライナ人のものだ。フィンランドはフィンランド人のもの。日本は日本人のもの。これはどんな国だって譲れないんだよ。
古い日本のアニメとバカにされるかも知れないが。
北欧の人にチカラと勇気を出してもらえるんだったら、日本大使館さんサァ。流れ星銀の看板を、ヨーロッパ中に出したらどうだ?
絶対、見た人はチカラになると思うんだけどな。