三億ペソを抱いて寝る男(6)

え、どうやって見抜いたんですか?

「見抜いたわけじゃないのよ。いやぁホントね。ひとは資産よ!武田信玄よ!」

いいから…勿体ぶらないで教えてくださいよw

「うん。あのね。この話ね。この作業ね。何か月かやっててね。お金も沢山使ってね。軍団員もね。もう仲良くなってね。時間も使ってね。みんなで協力して頑張ってたわけよ。もう、みんな、俺がやりたいことは理解していたわけだからさ。フィリピンカジノのキズ!」

はい

「でね、出目に偏りがあったというのが本当だと。マジだと。ホンマもんのマジもんだと。そうなったわけだ。このネタ凄いぞと。凄い破壊力があったわけよ。だってみんな自分の目で見て調査してるんだから、信じるも信じないも無いよね。本当なんだから。夕方の、ある時間帯に、出目がメチャクチャ偏ることが分かったんだから。これでカネ持ちになれるぞとなったわけ。一生、カネに困らない情報を手に入れたぞ!と。もう、みんなメチャクチャ盛り上がってたわけなのよ」

はい

「で、もう若い人たちは一致団結していたのね。そんとき8人位いたけども」

はい

「でも、そっから先がわかんない」

はい

「発生条件が分からない訳だ」

ハイ

「ハイじゃないが」

ハイ

「うん。そんでね…そこからずっと何か月も悩んでた。いろんな色の服着てみたり、特定のブランドの帽子とか、なにか思わせぶりなハンドサインとか、ディーラーにウインクしたり、とにかく何でもやってみたんだけど、全部ダメ」

はい

「そんで、時間だけが過ぎていったわけ」

どのくらいやってたんですか?

「半年もやってなかったけど、すごく長く感じたね。お金ばっかり出ていくし。出入りしている軍団員には、怪しまれないように、少し賭けるように言ってたのもあるけど、ホントお金がどんどん減っていったよ」

悲惨ですね

「悲惨よ。あと一歩というところで、決定的な情報がなかったからね。もうとっくに退職金なんて無くって、このままじゃマズい!って思ってた矢先に、とんでもないことが起こったのよ」

え、なんです?

「軍団員が暴走しましたwww」

wwwえ?

「ある日ね。例のフィーバータイムが起こった時。監視してたのが、たまたま軍団員複数いたのよ」

はい

「ほんで。例の出目が出るじゃん」

はい

「ディーラーと客。それぞれに『お前ら分かってんだろ~な~』って声かけちゃいましたww

ええええええええええええええええええ!!!!!!それは…御法度じゃないですかw

「そうそうそうw これやったら、フィリピンで命無くなるかもしれないかんね」

ヤバイw

「そう、ヤバイのw でも軍団員も煮詰まっていたしね。軍団員は、なんかあっても帰国すればいいしね。まぁヤラカシっちゃあヤラカシなんだけども、アタマでダメならチカラね。俺が指示したわけじゃないけど。」

ど、どうなったんですか?!

「無視されたw」

wwwwwwwwwやっぱり!

「でも、出目はやっぱり『イカサマ』なの」

おお!!

「そう。そこは外さない。これもヒントになったの」

で?

「やっぱり何ゲームかやって…イカサマなの。軍団員も厚く張って、戻しもあって」

おおお

「もうそれだけでお金助かったよ」

おおおお

「でも、今回はね。クソ稼いでいる客とディーラーに声かけちゃったわけなのよ」

両方!!

「そう!客にだけ声をかけるとかじゃなくて両方に!『次も66!』とか言って暴走したのよ」

ヤバイww…で?結果は…?

「そらもう66よ」

おおおおお大盛りあがりですね!!でもかなりヤバくないですか?

「そう!思ったんだけど…それがあまりそうでもなくって」

なんでですか?

「バカラのテーブルでもあんじゃん。時々卓が盛り上がってて、宴会みたいになってること」

ああ…

「その程度だと、実はカジノでは『風景』なんだよね」

でも!ディーラーと客は、そうは思わないですよね

「そう!それでどうなるか…でも俺は嬉しかったね」

え。どうしてですか?

「だってさぁー。ずっと行き詰っていた分析から、物事が動いたわけじゃん」

あー

「だからもう、やった以上は。GOだと。この客とディーラー張るぞと。ここからはもう名探偵コナンだと!これはもう、暗黙の了解みたいな感じで、軍団員散らばった訳よ!!サーっと!持ち場分かってるみたいな!!任せてくださいみたいな!!!言われんでも動くみたいな!!」

おお!真実はいつもひとつ!!いい!それメッチャ面白そう!で、尾行ッスか!?マジでドラマみたいじゃないですか!うわー俺も参加したかった!で?で、どうなったんですか?

「そッれッがもーう。全ッ然ダ~メwww」

 

 

(7)へ まだまだ続く