三億ペソを抱いて寝る男(2)

何とかしろって言ったって、玉城さん…いやタマちゃん…これはもう、いつにも増して、質問攻めさせてもらいますよ?

「毎日30万ペソづつ増えていくんですわ!」聞いてます?

「もうコレどうしようかなって!毎日隣で寝てるんですわ!」聞いてます?

—どうも、話が好きなひとらしいので、こちらから質問することも無いようだ。あ、コレ1質問すれば10返ってくるタイプの人だ。

クソ長い話を限りなく省略すると、まず前半部分はこうであった。

日本では、東工大卒業後、誰でも知ってる大手接着剤メーカーに就職。当然幹部候補のバリバリであった。ところが会社のカネを、たかが800万程度横領したという疑惑を着せられたのだが(それは事実らしいw)当時の上司とは一蓮托生だったので、海外支店勤務に栄転という形になった。それがフィリピンであった。フィリピンではゲンポーの人事部長という、何もしなくてもいい役職を与えられたので、毎日ゴルフと女とKTV。

夕方起きたら、まずコンプレックスにいって鐘を鳴らし、チンポが枯れるまでやりまくって爆睡。するとちょうど早朝に目覚めるので、そこから駐在連中とゴルフ。ほとんど全く出社していないので、どうしてクビにならないのか不思議で仕方なかったという。

「私、理系でしょ?で(顔を指差して)こんなんでしょ?酒もオンナも一切覚えないまま青春時代終わっちゃったんですわ。それに会社ではもう出世の見込みもないしねぇ…」

まぁ、よくある話?ではある。

「そんでね?当時、客がカジノを見に行きたいっていうんで、カジノにいったんです」

はい

「それが、人生の転機でした」

はい

「その日からもう三日は眠れなかったです。いや一週間は寝込んでいたかも…」

そりゃまぁ、カジノってのは刺激たっぷりですからねぇ…

「そうじゃないんですよ」

そうじゃないんですか

「そうじゃないんですよ…あのね。そんとき、田舎のカジノにいったんですが、そこで初めてシックボー(大小)を見たんですよ。これがもう衝撃というか。電流というか。いやいやそんなもんじゃない。なんといいますか。雷に打たれた。ビッシャーっと。全身に。うん。そんな感じでした」

え、どうしてですか?

「だって…分かりますよね?コレでカネ賭けて増えるの?って。え。コレ成立するの?現実のお金がコレで増えちゃうの?って思いました」

成立しますよ…カジノってのは、絶対に…それこそ絶対に賭ける側が最終的に無一文になるように設計されているんですから…

—–ええ?!

…….—–まさか。

 

「ハイ」

 

まさか、このお金….

 

「ハイそうです」

このお金は、カジノで必勝法を見つけたところから増え始めたんです。