フィリピンで会計する無意味(愚痴)
今日は珍しく、俺のプライベートな仕事の話でもしよう。
なりゆきで、こっちで経理をすることになってしまった。ほとんど全く無駄である。BIR(税務署)は交渉制なんだから、厳密に計算する意味がひとつもない。—んだけども、お金の流れを把握するということについて言えば、経理というのは必要である。どうしたって絶対必要だ。なんの生産性もないけども。
わたしはこういう後ろ向きの仕事は好きじゃない。どちらかというと、営業ガンガン系が好きなんだけども、他にやれるヤツがひとりもいないので、一番詳しそうな俺に、お鉢が回ってきてしまった。ハァー(クソバカため息)
仕方ないので、一日30分だけやることにした。断っておくが、私は割と忙しい。(私が全く無駄にリソースを割くのは、プライベートの飲み会とゲームのみである。こと仕事となれば全く別である。読者の皆さんも同じ気持ちだと思うけど、大人に仕事を依頼するというのはそういうことだ。商売でやっていることなんだから)
で。
話としてはこうだ。こっちで、そこそこ大きくお金が動いてきて、それなりに儲かるようになってきたので、ちゃんと帳簿を付けたいということだ(分かる)で。俺はこの話に初期からかかわっているから最適だろうということである。
いやいや。
冗談じゃない。仕事の流れの経緯と関係ない。会計や経理を甘く考えすぎている。
細かい立替払や貸付金、なんとなーくショッピーで買った消耗品等の明細も、昔の分までさかのぼって全員分全部出せ!という話になってくる。(例えば送料と品代は別処理である。クーポンで割引だったらそれも別に仕分ける。買い物してもらったポイントはテメーの役得じゃなくて会社の資産である。1ペソであっても、それを差し引かなければ会計じゃない!経理というのはそういうものである。それが正しい精算であり、正確なお金の動きを知ることになるのだ)
これだけでもとてつもなく面倒な話だ。それをさかのぼって月次処理しなきゃいけない。
仕事がイヤになって、ナントカ島に帰った臨時バイトが、一回建て替えた通販の買い物の送料の仕分けを類推計上という話にまでなってくる。そうでもしなきゃいけないのだ。何故ってそれが会計だから。
つまり例えば、退職した社員のショッピーアカウントの送料まで、キッチリ計算しなければ遂行できない。当然!それも細かく仕分けするんだから、膨大な作業よコレ。つまり無理な話である。ちなみにわたしは会計や原価計算についてはキッチリ派である。いつも適当なブログしか書いてないけどな。
もう面倒くさいし。いいじゃん。
俺以外が担当してくれたらいいのに、なんで俺なのか。
これ、キッチリ正確に数字を出しても利益にならないんだからね。小さい仕事というのはそういうことである。帳簿が整っていて倒産してもしょうがないんだ。経理なんてメチャクチャでも、利益というエンジンが動いているのが、良いビジネスである。小さいビジネスにとって大事なことは勢いだ。経理や税金なんて、払わなくっていい、青色申告なんて取り消されたっていい。無申告加算税?それ以上に稼ぐことが一番大事なことだ、というのが俺の考えである。ペナルティ以上に稼ぐエンジンを作ることが一番肝心なのだ。小規模のビジネスで一番大事なことは勢いだ。会議費を誰かが出した精算なんて、どうでもいいのだ。
少し極端だけども、ビジネスの勢いとは、そうあるべきだと思っている。(日本では違うんだろうけど)
—だから、単にカネの流れを把握したいのであれば、単式簿記で良い。(簡単にいえば家計簿だ)
ところが、今回は。普段大雑把な癖に、「お金のことは、やっぱり、きちんとやりましょう」とか言い出しているので面倒くさいことになった。
きちんとするなら複式簿記になる。(結局それしかない)借方貸方を分け、消耗品か固定資産か判別し、手出しで出した分は貸付金として、1ペソであっても処理し、仕分けを元に総勘定元帳を付け、元帳と貸借対照表は、1円の誤差もなくぴったりと一致させなければならない。会計というのはそういうものだ。そうでなければならない。—そうありたいものだw…いやそういうものでしょう?会計なんだから。
それを伝えたら「フクシキ簿記…?」「貸借対照表…??」みたいなノリになっている。
いやお前らがちゃんとしろというから提案したんだけど?(俺はちゃんとしなくていいと初めから言っている)
なんかまるで俺が、小難しいことを振りかざしているエリート様ハイハイ頭イイネみたいな空気になっているんだけども、どうも納得がいかない。じゃあどうすりゃいいのよ。日付がない。そして帳票がない。日付も月があればまだいいが、月もない。これじゃなんともならんよ。
商業科出て新卒採用の女の子にだって、こんな自己申告は蹴られるだろう。それが基本だからだ。『日付、金額、帳票』新卒の一か月目で習うことである。会計の世界でいえば、これは神に歯向かう行為である。
それが、
『そういう難しいこといいから!』みたいなノリになってるのって、いやどうなのよという….
まぁこれが「フィリピン界隈のレベル」なのかと思えば、それも寂しいんだけど。
帳簿を付けるのはいい。当然だ。誰かがつけなきゃいけない。
でも、なんで俺がそんなことしなきゃいけないのか。
誰もやれる人がいないからである。
やれるかも知れないという人さえいない。
つまりROEがどうのこうの、売り上げに対する人件費がどうのこうのと、帳簿を付けた結果として得る情報を分析できないということだ。
だったら帳簿なんて要らないじゃん。誰がいくら出したからエライ。そんな話なら、最初の資本金の額で済むのだ。最初にカネを出したヤツはエライというのは、我が資本主義の真理である。
私は仕訳帳なんて不要で、スモールビジネスなら総勘定元帳一本で良い!という考えを持っているんだけど、そもそも総勘定元帳を知らない人にしてみたら、貸借対照表なんて作る意味が全くない。それこそ昭和のどんぶり勘定でも、比では充分通じるんだから。
つまり、ある程度の経理は必要としても、あとは時間の無駄である。
それにしても、経理ちゃんとやりましょう!からの、貸借対照表ってなんですか?というコンボ。
これは海外に住んでいるのと関係なく、一応社長とかの名刺配ってキャバで持てたい人であっても、これは最低限の話なので、いまからでも覚えておいた方がいいと思います。はっきりいって恥をかきます。なんでかっていうと、一般的に日本の法人なら、税理士が月次で説明にくるので、ある程度の規模だったら知らないわけがないんです。
実のところ、会計を知らない人は経営者でも多いのです。会計は奥が深いので、専門資格も多数あるくらいです。
フィリピンでは、税務は交渉ですから(比のTAXはナン%とか書いているブログは全く参考になりません)会計するより胆力のほうが必要なので、ますます経理や税務、会計に興味を無くすかも知れません。
しかし、貸借対照表は、どんなにフォロワーのいるイケメン経営者であっても、その逆であっても、正直に経営手腕の一端を見せてくれるものです。訓練を受けたひとなら、書類を見て数十秒で会社の実態を、ある程度把握できてしまいます。そのくらいの書類です。
こっちで自営している人は、是非!一度は、本当の貸借対照表をつけてみてください。