帰国初日の俺の最高の過ごし方の件

久々に日本に帰国することにしたのである。

毎回エッ!帰国するんですか?等という人がいるけど、俺だってたまには帰国する。今回は二年ぶり。早い方である。のんびりしてこようとおもう。

 

わたしは、帰国の際、あらかじめ予定は決めないことにしている。日本に戻るというのはわたしにとって至福の長期休暇なので、なにかに縛られたくないのだ。誰かに会いたいと言われればノコノコ行く(ただし、福岡、大阪、名古屋、東京といったポイント出没です)し、言われなければご当地温泉にでも浸かっている。基本的に暇しているし、日本の主要都市は行くので、気軽に声かけてくれよな。次何年後になるかわからないんで。

ま、安いビジネスホテルの、サラリーマンご用達の客寄せ大浴場に3回くらい入って「やっぱ日本はええわー」等とブツブツ言っているのが俺だ。(フィリピン帰りの日本人というのは、俺に限らず)日本の全てが素晴らしすぎるので、高いサービス全然要らないのだ。俺なんか、もはや友達の家でコンビニ弁当が出てきても、ウメェウメェとペロリする自信あるもんね。

わがままとしては、なるべく新幹線は使わずバス移動が好きだ。都市の主要駅にある「なんとかバスセンター」で、高い昼のチケットを買って、ひたすら日本の山とか地名とか看板とかを眺めたいのが俺なのだ。休みなんだから俺の勝手。俺の自由。新幹線という「効率」を、休みに味わいたくないという、妙な気持ちがあるのだ。
それにバスの旅だとPAによってご当地のお土産屋ものぞける。そんな小さいことでも日本を感じることができるので、わたしは新幹線の場合でも「こだま」を使うことが多い。だって一時間の短縮要らないもん。

前回の帰国時は名古屋からのんびり静岡、富士と北上したんだけども、マニラに比べれば韋駄天の速さなわけで、マジで新幹線要らないなと思った。
海外帰国はのんびり旅に限る!という説を提唱したい。福岡でも名古屋でも、適当な空港から目的地にノンビリ移動するのは、海外在住者にとって、まさに至福である。クソガキが寄ってくればキャンディばらまいて逃げる土地じゃないのである。もちろん仕事の都合もあるだろうが、プライベートあっての仕事である。やっぱり帰国したときくらいは仕事のことなんかすっかり忘れてしまったほうがいい。あとでどうなってもいいじゃないか。

(というわけで、月末から2月にかけては日本にいるので気軽にDMしてくだち)

 

 

 

というわけで前置きが長くなったけども。

私は、まず帰国したら忙しい。「空港まで迎えにいきますよ!」と、有難すぎる言葉をかけてもらえるのだが、残念ながら数日はソッとしておいてもらいたい。

なぜなら、

私は漫画喫茶に行かなければならないのだ!

 

私は漫画やアニメなんか一切興味等ない。ええ。ええ。いやマジで。あんな知性のないものは読めない——のだが、仕方ないのだ。しょうがないのだ。

例えば分かりやすく言うと、カイジの脱出編最新あたりはヒトとして抑えておかねばならないだろう。まあ、福本伸行のことだろうから二年程度では大して進んでない(アカギの「鷲巣編だけで単行本28巻」書いた人。詳細は読んでね)だろうが、それも含めて期待したい。ああやっぱり進んでないな、という確認だけはしておかなければなるまい。一応。

そうなると班長のほうも気になる。ついでに彼岸島の48日後も一気読みして、したらばに追いついておきたい。となると?あーそういえばアレも読まねばならぬし、コレは義務だし、ということで際限がなくなっていく。そして、気づくと「あぶさん」全巻を机に置いている。限りある日本での時間を、そこに費やしてどうするのかと。
でも思い直す。いや、それは仕方ない。予習も必要だが復習も必要だからだ。しかしそれでもちばてつや系という沼に触ってはならぬと、自分を戒めるくらいしかない。

いやマジで冗談抜きに、ジャンプ、マガジン、サンデー、ヤンジャン、ヤンマガ、ビッグコミック各紙あたりの連載は、当然数年分溜まっている。(今回は二年分たまっているが、前回時間が足りなかったので、下手すると六年くらいたまっている)主要誌だけでこの有様だ。もちろん言うまでもないが、「なかよし」や「りぼん」等も含まれる。これまた言うまでもない蛇足であるが、少女コミックを押さえていないと男性漫画を語ることは当然できない。常識以前の問題なので、これまた仕方のないことなのだ。どうしたって系譜上そうなるである。クランプ以後のね?

(略)

—それもこれもアテンドの際、日本の話題についていけずに「浦島太郎になりたくない」という、やむを得ない事情があるのだ。仕方がないのである。遊びじゃないのである。苦渋なのである。

ま、アテンドの仕事なんて最近全然やってないのだが、それでもせめて『近代麻雀』程度はザッと目を通しておかないと、生き馬の目を抜くマニラで暮らしていけなくなるかもしれない。その可能性はゼロではない。つまり常にアンテナを張っておかないといけないよね?ということだ。

そうなると他も気になる。私がウッカリ目を離しておいた隙に、日本の連載はドンドン進んでいる。押さえておく重要ポイントだけでも読んでおかなければならない。軽く、サンデーあたりなら月刊、いや増刊まで一通り一気に目を通しておかねばならない。特にサンデーは増刊の新人から読んでおかないと、系譜として何が何だかわからなくなるので、私のような海外在住者にとっては苦行そのものといっていいだろう。国立国会図書館で読み返そうと何度思ったか知れない。海外在住なんてカッコイイもんじゃない。雑誌ひとつも読めなくなるんだから。
で、なにしろ限られた時間で満喫一気読みするので、一コマ一コマの分析まで追いつかない。そもそも漫画喫茶にサンデー増刊はあまり置いてないのも問題だけどな。

 

『え、ネットで読めますよ?』とか言うヤツは、これはもうなんというか、「いちいち説明したくない」というレベルで分かってない。
漫画というのは、まず並んでいる雑誌で読むのが『最低限』だからだ。(もちろん私もネットで読んでいるが、それはあくまでも単行本の話である。雑誌と単行本は全く別モノである。完全に違うものであるといっていい)オンラインも全く違う。その週の、雑誌リアルタイムの実物を自分が手に取って読む以外の経験以上は一切あり得ない。オンラインPDFなんて論外である。

かの手塚治虫は、書き終わった作品は、ライオンが獲物を狩った後のものだと言っていたんだけど、本当にその通りだと思う。となると、わたしは、さしずめ死肉をしゃぶるハイエナといったところであろうか。

つまり恥知らずということなのだが、フィリピンではマガジンやジャンプをを週刊で売ってないので仕方ないのである….

 

連載の雑誌で読んだ漫画と、単行本で読んだ漫画は、はっきりいって全く別のものである。両方読むのがマナーであるというのは当然の土台であって、単行本一気読みした程度はニワカである。でも海外に住んでいる以上雑誌は読めない。苦しいのだが仕方ない。だからせめて満喫に籠るしか、わたしにとっての名誉回復が無いのだ。読んでないはナシなんで。

 

ということで、私は帰国したら、まず駅前の、マンボーだの、ナントカ空間だの、どこでもいいから漫画喫茶で、カウンター脇にある300円くらいの弁当を食いながら、無料とか書いてあるソフトクリームの元を取りつつ、アホほど単行本を机に置いて、区切りがついたら安ホテルに戻り、「最上階の温泉」なる客寄せ風呂に浸かり爆睡し、なぜかフロントに怒られ(日本のチェックアウトは時間通りに行われるのだ)また漫画喫茶に行き、を繰り返し、ま、だいたい読んだなというところにいって、はじめて旅程を立てることにしている。

だから、俺が帰国したときの日程を聞かれても結構返答に困るのだ。今回は冬の帰国だから必ず体調を崩すだろう。(100%保証していいほどだ)
会いたいですねーなんつっても、日程がズレてしまうことがある。そして、それが俺が満喫にいたからと言ったら、普通怒るか呆れるだろう

でも、帰国する前にエクスキューズしておきたい。俺にとっては何年ぶりの満喫なのだ。その時間は俺にとってかけがえのない時間で、次は何年後になるか分からないのだ。許してほしい。