まにら新聞前社長空港拘束の件

衝撃のニュースが飛び込んできた。フィリピン在住者ならだれでも知っている、一度は手に取ったことのある「まにら新聞」前トップの空港拘束劇だ。一時トレンドに入ったようなので、大きなニュースになっているようだ。もう私が書いても影響も無いだろうから書くことにする。

本件については、昨年より「なんかキナくさい話」として、わたしも在留邦人何人かと連絡を取り合っていたんだけど、自分にとって関係のない話なのでほっておいた。そんな中、年が明けて今日、事態が急展開したというわけだ。

 

さて、今回の事件であるが、ずいぶん複雑な案件であることが分かった。
単純に、BGCあたりで「絶対もうかる話」をばらまいていたという話じゃない。

(出典:net-IB-news)

どうも国内投資家にフィリピン社債を売っていたという話のようだ。これがバレて、

(出典:金融庁)無登録で金融商品取引業を行う者の名称 

こちらにバッチリ乗っちゃったようだ。もちろん現在は容疑段階なのだが。(なお代表者と池田氏とは別である)

 

この件について、まにら新聞は、さっそく以下のようなコメントを出している。

まにら新聞(STEP JP PRINTING SERVICE INC.)の前社長がフィリピン入国管理局に拘束された件につきまして、購読者様や広告主の皆様に多大なご迷惑とご心配をお掛けしてまことに申し訳ありません。当人はすでに社長職を辞しており、また在任時におきましても容疑の対象になっている別会社の事業に、まにら新聞は当初からいっさい関わっておりません。

(出典:まにら新聞)しかし、これはちょっと無理筋だ。

だって、この前社長がやっていた会社(カグファテック)と、まにら新聞の住所が一緒だからだ。

(一枚目:今回拘束された前社長の別会社のHP 二枚目:カグファテックが池田前社長の会社であることを書いた投資家向け文章)
一枚目出典:カグファテック公式ページ 二枚目出典:net-IB-news
当初から一切関わっていないなら、同じ住所ということは考えにくい。(一応フロアは違うようだが)
まにら新聞としては、このようなコメントを出さざるを得ないんだろうけども、れっきとした新聞社なんだから、本当のところはどうだったのか教えてほしい。

 

ま、このように、1時間ほどザッと調べただけでも、相当「掘れる」案件だ。この分だと、「被害者」のひとも出てくることだろう。今後、マニラ日本人社会の、ちょっとした話題になるかもしれない。『いったい、俺たちのまにら新聞は何しちゃったんだ?』ということである。

 

—さて。

 

そろそろ難しい話はヨソに任せる(笑)

大きな案件のようだし、これから続報もあるだろう。(まにら新聞は、マスコミの良心として、このニュースは「お知らせ」だけで終わりにしないでほしい。読者はそれを望んでいる!)

ここからは私流に書いていくことにしよう。

 

まにら新聞がんばれ!

一番に言いたいことを書こう。まにら新聞、がんばれ!である。
フィリピンに住んでいる人にとって、まにら新聞は大切だ。在住者の中には(わたしも含め)語学の得意でない人も多い。比の全国紙や共同のニュース、地域の話題や危険情報、日本大使館からのお知らせや日系広告、日本人学校の話題まで網羅している新聞は、唯一まにら新聞のみである。我々にとって親しみのある日本語で、活字も大きく読みやすく、なんとなく目を通しておくマスコミ媒体として、この新聞社を失ってはならないのである。

今、日本でも新聞社の売り上げは崖から落ちるごとく下降しているそうだが、そうであれば、マニラ近郊とセブの一部しか地盤の無いまにら新聞は、おそらく苦しい経営だったのかもしれない。正直記事のクオリティについては、俺が言うのもなんだが、時々苦笑いをすることもあったけども。

でも、もしもまにら新聞が無くなったら?

フィリピンに住む私たちは、明日から何を読んで生きていけばいいのか!笑 とまではいかないが、ひとつの時代の終わり、とも言えるだろう。無いと困るとは思えないが寂しい。

確かに、まにら新聞にムカついたことは、一度や二度ではない。
フィリピン従軍慰安婦が日本大使館でデモをやった!などという、『リラ・フィリピーナ』の機関誌みたいな極左記事も平気で連続で書いていたし、コロナの時は「セブを戦車が走って市民を威嚇」なんて記事を書いていた。(実際はただの兵員輸送車。比は最大火力でも軽戦車しかない。つまりただのソフトスキンである。嘘でもないが大げさである)

しかしそれでも、まにら新聞の記事を、読み手が「翻訳」することにより、一定のソースにはなっていた。

特に、比誌の翻訳「大衆紙の話題」コーナーは秀逸だとおもう。私が認める『フィリピンの東スポ』(←ほめ言葉)テンポ誌の邦語訳を時々日本人に周知してくれるというだけでも、まにら新聞の存在価値の85%くらいはある。リサールでこうだった、ラグーナでああだった、ネグロスでこんなことがあった、なんていう話は、個人ブログでいくら書いても周知されるもんじゃない。新聞が書いてこそ読み物として成り立つものだ。読み手としても、日本人以外の犯罪や日常の話題は、比を知る上で血となり肉となる話題ばかりだ。
(かつてのテンポ誌名物であるフィリピン共和国・島別!女性パンティ着用率調査 について、どうしてまにら新聞は触れないのかという疑問はあるが)

まだある。

まにら新聞は、日本人殺害関係においては、これはもう他紙の追随を許さないほど早い。私自身、面識のある人が殺されたことをまにら新聞で知ったことがあるんだけども、これは海外日本語マスコミとしての矜持を保っているといっていいだろう。まにら新聞が無くなれば、だれか殺されても報道で知ることすら難しくなるかもしれない。

とまあこのように(日本の人にとっても)唯一の日本語新聞であるまにら新聞の情報というのは、簡単に、ザッと現地のことを知るには最適の手段でもあった。なんだかんだいって、新聞の役割というのは大きいのである。

まにら新聞の中の人たちは、自分が入社した当時の気持ちに戻って、応援してくれるひともいるんだという気持ちをもって、張り切って頑張ってほしい。苦しいときほど胸を張れというが、その通りである。前の社長がやらかしたなんて、新聞社だったら絶好のネタではないか。部数のためなら前社長も浮かばれるだろう。今はお金もいるだろう。是非真実を書いてほしいものだ。

 

 

 

その今回拘束された前社長さん。なんと私をSNSでフォローしてもらっていた(ありがとうございます!)なんと弊ブログの読者様であった可能性大であるw

いま、BIのビクタンにいるのだろうから、自分の報道を読んでいるのだろうか。マスコミ人としては惜しいだろう。もっと早く捕まっていたら、あの「ルフィ一味」と独占インタビューし放題だったわけなんだから。

今回、池田さんはエスタファ(こういった詐欺のこと。比ではフラウド(fraud)というよりエスタファ(estafa)という表現がしっくり来る)でとりあえず出国禁止を打たれたようなんだけども、出国禁止といってもいろいろあるわけで、ここでは言及しない。ただし一度これを打たれると、解除するのは容易ではない。誰が打ったかにもよる。
わたしが思うに、比にいるという時点で神輿感があるけども、それに乗ってしまったのかなという気もする。

実は池田さんとは、お会いする直前までいったことがあるw
マニラ近郊の某居酒屋で飲んでいたときに、これから池田さんが来るよーという話があったんだけども、遅かったので私、中座して帰ってしまったのだ。

もしも。そのときに酔っぱらって、意気投合していたら、私もこの話、他人事じゃなかったかもしれない。
人生の歯車なんて、意外とそんなもんのような気もする。