フィリピンの名義貸しとタクシーの面白さについて

フィリピンの名義貸しというのはワリと闇深いんだけども、この名義貸しを知らないとフィリピンは読み解けない。

一般の人は知る必要がないけども、住んでいるひとなら多少の理解はしておいたほうがいい系記事を、また書いてみようと思う。

 

フィリピンの名義貸しについて

まず言っておくけど、名義貸しってのはフィリピンだけじゃない。日本でもよくある話である。

フィリピンの場合は、それがすごく分かりやすくって、持っている者と、持っていないものがピラミッドのようになっているだけのことだ。

以前書いたけども、ノータリーパブリック(公証人)資格なんかは、死んだひとの資格を引き継いでやっているヤツなんかもワンサカいる。
日本の公証人も、そうだったら面白いのにねw

ま、そのなかでも、特に分かりやすいのが名義貸しタクシーだろう。正規のライセンスを取った車両を、他のヤツに運転させてアガリを取る行為なわけだ。

 

タクシーの名義貸し

マニラで、タクシーの名義貸しはすぐにわかる。名義貸ししていないタクシーは、ガソリンがたっぷり入っているからだ。
逆に名義貸しタクシーは、ガソリンランプが付いているw

マニラの正規タクシーというのは、法人タクシーを除けば名義貸しタクシーがほとんど全部である。権利を持っている正規運転手が運転することはないといっていい。
わたしなんかは、ガソリン満タンのタクシーに乗ると、ナニ?どうしたの?フルタンクなの?これから仕事だろテメー?どっから来たのラグーナか?36時間か?なんつって、意気投合してしまうわけだ。

 

だって、車(※車と言うのは家と同じ程度とは言わないが、不動産といっていいくらい価値のある資産でもある)なのだ。
車を持っていると言うのはスゴイことである。どれだけ稼げば自分の車を持てるのか?まともな仕事をしている比人にとって、バイクは目標だが車は夢である。
(※『どんな状態』でも、マニラで車を転がすには25万ペソは必要です。それだけ贅沢だということです)

これほどマニラで車が溢れかえっているのに、一般人はまず車を持つというのは相当にツライ話なのだ。
どんなにぼろくても、車を持っているというのは完全にステータスである。自慢していい、見栄を張れるかっこいいことである!

 

じゃあ、タクシーを運転しているアンチャンが、どうして車を持てるのか?持てるハズがない。あれは所有者から借りているのである。
嘘だと思ったらマニラでカローラタクシーに乗って聞いてみればいい。この記事の話、そのままそっくり教えてくれるはずだから。

借りる相場と契約

マニラで。タクシーでカネを稼ぐには、まず合法のタクシー車両を借りて来なければならない。
レンタル料は、昔は1000/日であったが、今は1500も取るという。

ま、レンタルした側は、トッパライで1500を取る。残りのカネは全部運転手の取り分となっている。
だから、マニラのタクシーというのは、なんとか客からお金を取ろうと頑張るのだ。
あなたは外国人なんだから、そりゃあちょっとは運転手も期待するというものだ。だって一日1500稼がなければ持ち出しとなるからだ。

といっても、マニラで一日タクシーを転がせば、1500は余裕で稼げる。マニラは控え目にいっても1300万も人口がいる大都会であり、慢性的に人が路上に溢れている。
そんな中、マニラの初乗り料金というのは世界でも安いと言われる程安い。そしてガソリンは全額運転手負担である。

だから、マニラのタクシーは、乗せる客によって金額を変えるし、メンドクサイ客はメーターを押す。全てはやり取りによって決まるのだ。
(メーターを押したヤツはエライので、こちらとしてもちょっとは弾んでやらなければならない。こういうタクシーこそ残ってほしいのだ)

だから、あなたが空港で、ガソリンイチメモリしかない、貧乏くさいアンチャンが運転しているタクシーを捕まえたのならば、「ボッタクリだ!これが悪名高いマニラのタクシー!」なんて大騒ぎしないでほしい。彼らは名義を借りて搾取されている側で、あんた外人なんだからさ。ちょっとメーターに乗せて50ペソでも払ってやって欲しいんよね。白手袋して、どの道を通ったらいいですか?なんていう都内のタクシーじゃねぇんだから。

 

慣れてくれば分かるけど、タクシーの運転手より自分のほうが道を知ってるということがよくあるのがマニラなんよね。それほど名義貸しが激しいんよ。田舎から出てきた運転手は、マニラなんて走ったことも無いんだからビビってるんだけど、カネにだけは厳しい。だから道は全然知らないんで、あなたがアプリで道案内してあげるくらいの親切心が必要なんよね。

以前書いたけど、MTのギアの入れ方の分からないタクシーにイライラして、運転代わったことすらあるからね。そういうレベルだとおもって、お客さん感覚じゃなくって主体的に動いた方がだいたいうまくいきます。ボッタクリをビビるとか、もう想像外です。むしろタダで乗るにはどうしたらいいか?くらいの気持ちでいたほうが、海外では楽です。

 

 

マニラのタクシーはメチャクチャ面白い!

日本のタクシーに乗ったら、運転手の話が面白くって夢中になった経験はないだろうか。
本来、タクシーの運転手というのは、話の引き出しが多いし、会話も接客の一部という考えを持っているので、話が面白いことが多い。

マニラのタクシーの運転手は、話が面白いヤツが多いのだ。
わたしは、意気投合してマニラを二周したことが最高記録なんだけど、それほど面白いのだ。

話のきっかけは、まず子供の数だ。

「子供何人いるの?」「六人」はぁ?

さあ、ゴングがカーンと鳴ったのだ。たった六人ごときでドヤ顔ですか?

 

たった六人?奥さん愛してないの?チンポ無いの?なんていったら、さーあ面白い。
運転手は猛反論してくるわけだ。もう面白くって仕方ない。

で?「奥さん何人いるの?タラガンタラガ(マジのマジで)」(これは男同士でしか言えないけど)
なんて言ったらもう火がついて止まらないw

比人同士なら少しは警戒される会話でも、わたしは外人なんで、普段話せないことも思いっきり話せるわけである。

わたしは空港からタクシーに乗って、タクシーの運転手と深夜まで飲み明かしたことだって何度かあるくらいだ。(言うまでも無いが勿論車内のみである)

どんなニュースだって、マニラの空港タクシー運ちゃんの本音のほうが、よっぽど世相を反映している。
だからグラブのダンマリタクシーよりも、オレはマニラの白タクが好きだ。大好きだといっていい。

マニラのタクシーは危ないというけど、それはあなたが外人観光客丸出しで、ブッキングドットコムのプリントアウトした地図を指さして必死こいているからである。

そんなんただのカモではないか。もしも俺がタクシー運転手だったら、やっぱりちょっとカネ取るよ!

それをボッタクリというのはちょっと違うんじゃないかな?

 

マニラでボッタクリタクシーどうのうこうのとイキっている人がいるけど、その場合の対策方法を教えよう。
MMDAの本局に行先変更すればいいのである。

MMDAというのは、フィリピンの交通関係を取り仕切る総本山である。場所はマニラのど真ん中なので心配いらない。

ただし、マニラのタクシーの運転手というのは、本質的には気のイイ奴らでもある。バツを与えるのはいいけども、それはツミに見合っていないといけない。

彼らにバツを与えるというのは、もしかしたら運転手は死ぬくらいの想像力は合っていい。
たかが何百ペソでイキってボッタクリというyoutubeが散見されるけど、あまりにマニラを知らなさすぎるんじゃないかな。

ぼったくられてもそれがなに?お金を出したってことは同意したってことだろう。それはボッタクリじゃない。
ボッタクリというのは、請求された金額を突っぱねたヤツがいえる言葉なんだよ。払ったヤツは同意してんだから騒ぐなよ。じゃあ払うな。

こういう日常(少なくともマニラにいればタクシーに乗るのは日常なのだ)のことについて大騒ぎしている人の話は信じないで欲しい。
まだまだ書くことあるけども。

 

マニラのタクシーごときで「海外異文化体験!」なんつってるヤツは、ただのパスポート取り立てのガヤ情報であると思っていればいい。
本当に海外で勝負しようと思う人にとって、ほとんどノイズである。