マニラ観光 懲りない面々

マニラに来たスゴイ客シリーズ。これ好評なので、また書こうと思う。

今回は、凄ーーく器の小さい団体の話だ。聞くだけでも小さい男たち。おじさん三人組の話をしよう。

 

まぁ例によって人の紹介で、いわゆる何十回目かの観光同行をすることになった。

観光同行というのは、平たく言えば、ただ付いてまわるだけの世話役だ。アテンドとも言う。
今はどうか知らないが、昔はなにかあったときの保険として、雇う人はかなり多かった。

今回登場する おじさん3人組は、マニラに半年に一度来ているという話だった。
3人は同じ職場の同僚で、全員50代。ボーナスが出るとマニラに来るという、いわゆるピン中の人らだ。

空港で会ってみると、まぁ予想通り!というような会話の内容。
毎回そうだが、「この海外に到着したばかりのウキウキ感」というのは、わたしは嫌いではない。

マニラの渋滞にハマると「ここは毎回そうなんだよねェ~」
「アレっ?アソコにあった中華料理屋潰れた?」等と、私はマニラを知っています感がアリアリで、
これがまた、わたしにしてみると面白い。

 

適当に会話を合わせていると、ホテルに到着。
各自荷物を部屋に置くと、高橋さんの部屋、404に集合ね!と言われる。

ハイわかりましたと部屋に行くと・・・

全員、部屋でタバコを吸っているのである。

ゲゲゲ。これはマズイ。

「すいません。禁煙部屋でしてー・・・ペナルティがあるんで」

知ってるよ!

「そうですか、ん?え?知ってて吸ってんスか?」

そうだよ!!

なおペナルティは5000ペソである。(当時のレートで一万円ほど)

 

どういうことかというと、彼らは外に出てタバコを吸いに行くのがメンドクサイので、
ひとりの部屋をタバコ部屋として、ペナルティを払う前提で吸っていたのであった。
それも毎回やっている常習犯だという。

「そういうことですかー」と言って、その場は収めた。しかしこれ、トラブルになったら、
まさか俺が解決しろって言われるんじゃねぇだろうな….

 

そして、一服が終わると、楽しい楽しいKTVである。

当時、パサイ通りにあった一流のKTVに行くということだったので、当然同行することになった。
(そこは座るだけで3000ペソくらい取られる、他とは一線を画したところであった)

エルミタで宿を取るならマカティのKTVに行くなよ!と思ったのだが、それにはちゃんと理由があった。

おじさん三人組は、そのKTVに行くと、ボトルキープの酒を呑みだしたのである。
おお。さすがフィリピンに通うだけのことはあるな・・・と思っていたのだが、これまた様子がおかしい。

「ナニナニって名前ある?ナイ?じゃあナニナニって名前ある?」
というようにして、ボトルを注文しているのだ。

なんと。三人組は、他人のキープボトルを飲んでいたのである!!

なんというべきか。この小物臭。その年にもなって恥ずかしくないのかと。
出す店も店であるが…こういう高級店だと、ボトルが無ければ「じゃ、新しいの入れて」で済ませる金持ちが
多いので、マニラで何人かそういった知り合いがいれば、それで呑めてしまうのであった。

まったくこのロンリーチャップリン共は・・・

まさか女の子持ち帰りしたいっていうんじゃないだろうな?と要らぬ想像をしていると、移動だという。

まあ、どうせエドサコンプレックスだろうと思っていたら違った。ご指名の場所はエアフォースワンであった。

エアフォースワンというのは、簡単に言えば本番有りのハコヘルである。

なんでエアフォースワンなのか?確かに少し安いが…と聞いてみると、ホテルに女を入れるのは危ないからだという。

エッ?ソコ?そういう理由なの?

 

なんというか、この三人組。男として、すごく器が小さいのである。
初日からこんなんで、一体どうなってしまうのだろうか?

翌日はゴルフであった。夜になると、また他人のボトルで酒を呑む。
次の日は朝からエアフォースワン。夜はエルミタの居酒屋でクダを巻いて、あっという間に旅行は終わった。

さあ、チェックアウトである。

わたしは、煙草のペナルティの件が気になって仕方なかった。15000ペソ。払えない額ではないが…

すると、何と何も言われなかったのである!!

ええ?なんで?

わたしが不思議がっていると、おじさんらは自慢げに私に言ってのけた。もうマネージャーに払ったと。
金額は5000ペソ。

マネージャーに確認してみると、メッチャ笑顔で親指を立ててくる。

なるほど。タバコのペナルティといっても、それはマネージャーのポッケにナイナイされる訳であり、
彼にしてみれば吸って欲しいのだった!!!

だからペナルティのディスカウントなんかにも応じる。もしかすると最初から話がついていたのかも知れない。

ああ、そういうことだったんですねーと言うと、もう彼らは得意げである。
確かに三人の喫煙部屋を確保し、三泊して5000ペソのペナルティなら、ひとりあたり一日550ペソで済む計算となる。
だからといって、そんなことをする人はいない。

なんつうか、この『海外でやる小悪』というのは、どうしておじさんを興奮させるのだろうか。

きっとこの話は、帰国してからも繰り返し繰り返し、何度も思い出話として出るのだろう。

そして、またボーナスの時期になると、同じホテルにチェックインするのだろう。