フィリピン・中古車道(3)

(3)である。

さすがにCX3は身の程知らずであった。
正直60出すなら、もう少し乗っけて、トヨタの新車が見えてくるのである。

わたしが欲しいのは、いわゆるゲタ車。別に人に見せるわけでもない、街乗りの車なんだ。
というわけで、三菱ミラージュがいいんじゃないの、と考え直した。

探していたら、個人売買で、なかなか良きミラージュがあったので、ソイツのコンドまで
検問を突破して行くことにしたのである。

当時の実際の写真がコレ。

 

 

距離は四万キロといったところである。

オーナーはパッシグに住んでいる比人夫婦。

ワリと高いコンドであり、なんと子ナシ!

そんなことありえないんだけども、将来のために子供を作るのは控えて、共働きで
稼いで夢を実現したいという、非常に珍しい、意識高い系のフィリピン人であった。

そんなヤツいねぇだろ!と思うだろうがいたのである。

エンジンをかけてみるとゴキゲンだ。

モロ、買ってからイジってない、ドノーマルといった風である。売価は37万ペソ。
高いは高いが、かなり信用できる状態。夫は別の車を持っていて、このミラージュは
妻の買い物用だという。

日本でなら、さもありなんという説明だけど、本当にそうなのかも?
という実態があった。個人売買ならではの、売主の生活実態も見れるというヤツである。

わたしは、これは買いだなとおもった。

まずカネに困ってない比人夫婦というシチュエーションが非常に気に入った。
パッシグの手堅いコンドに二人暮らし。程度のよいミラージュ。嫁が使ってて、
旦那はもっといい車を持っている。五万キロ走らせる前に買い替えたい。
いまコロナコロナ騒いでいるから、少しでも現金を持っておきたい。

うん。説明として完璧である。そして日本人的な考えでもある。

おそらくこの夫婦、頭いいな。という直感があった。
こういう説明をできる比人というのは、残念ながら多くは無い。

「このミラージュは、二人が出会ったときに買った愛車なんだよ」

フーン

「本当に手放したくないんだ」

フーン

「売りたくないんだけど」

フーン。じゃあ持っておけば?

「でも本当愛車だから」

フーン

「オマエ、オレが愛車だっていうの信用してないだろ」

まあ。みんな言うよね

なんて、オレが軽ーく交わしていたら、旦那が怒ってしまった。

 

—-はぁ?

 

なんと。この人。

オレに売ろうとしているミラージュ
(写真ではボケているが、実際にはナンバープレートがはっきり読める)

の入れ墨を彫っていたのである。

オレの思い出の愛車なんだよ!

と、これを見せられたとき、本当に言葉を失った。

 

いやもう・・・参りました。

妻が先に、このミラージュを買って、カーセックチュとかで結ばれて、
(この程度のことは日常会話レベルでもあるので書く)
オレも頑張ってイイ車買ったんだよね!ということであったらしい。

これは降参。比人にとって車は不動産と同じ価値なのを思い知らされた。

30万、40万ペソというのは本当に重いもんね。

正直、オレは買う気でいたんだけど、流石に売主の手に実写の入れ墨が入っていたのには
参った。

他にも買い手がいるということで、譲ることにしたよ。ちょっと重かった。

 

まだまだ続く