フィリピンで交通事故に遭ったらどうなるのか(4)

(4)である。

手術の連続

改めて書くと、今回の話は、シートベルトナシで豪快にグッチャリぶつかったという話。

頭部、豪快に打ち付け

内臓損傷

お膝粉砕骨折

両足骨折

意識不明

 

こういう状況である。日本だって真っ青になる話。

本来、まず脳が大事なのでCTを取った。CTも一発何千ペソというカネがかかる。
最初の病院でCTを取ったんだけど、マニラの病院でもCTを取りたいと言ってきた。

当然の話である。脳内出血関係は3日くらいは最低毎日経過を見なきゃいけない。
脳が腫れて、どこか別のところで出血している可能性大だからである。

しかしお金がないので、最初の病院で取ったCTだけで判断しろ!とゴネた。
結果、それは通った。

次に膝である。膝の皿が割れっぱなしなんだから。その分のお金は工面できたので手術できた。
以前の病院で内臓手術は行ったので、一応、意識不明なんだけどもやることはやった。

カネが無いなりに、手術代は全額かき集めることができたわけだ。
合計ナンジュウマンペソである。本当に返せんの?という感じだけども、命がかかっている。
どうにか集めるのは人情というものだろう。よくやったと褒めたいほどであった。

 

即退院

これだけの大手術。それにまだ意識不明。容体も急変するか分からないわけなんだけど、
ハイ二度目の脱走である。

手術が終われば用はないとばかりに、即退院するのがフィリピンの常識。
さすが、出産当日に退院するお国柄である。(出産の場合、乳児誘拐のリスクがあるというのもある)

病院に、一日いるだけでもお金はかかる。それも、とんでもないカネがかかる。

だったら即退院したほうがいいというのが常識だ。

いやいやいやいやちょっと待って欲しい。意識不明なんでしょ?
どうやって栄養補給するの?点滴?そのへんの薬局で売っているブドウ糖?
そもそも点滴できんの?

患者は絶対安静面会謝絶なのである。それを自宅に戻って介護するというのである。
ええー?マジで出来んの?

 

無理が通れば道理は引っ込むというのは、ビジネスやる気本だけの話である。
医学の分野においては、それを無謀というんじゃないだろうか。

あの、ため息色した凸凹道を、再度救急車でブッ飛ばして自宅に戻るというのだ。
いくらイエスキリストだって怒るだろ?と思うんだけども、こういうことを比人は普通にやってしまう。

 

案の定容態急変

はい。帰宅しました。

事故発生。開腹手術。病院脱走。マニラ爆走。両ひざ手術。病院脱走。

ここまでやって無事であるハズもなく・・・自宅で容態急変。だから安静にさせろっていいましたよね?

 

もちろん脱走した地元病院には行けず。

どうすんのコレ・・・という状態なんだけど、ここで神も哀れと思ったのか、容態急変後、
何故か意識を取り戻したらしい。

 

実はこの話。現在進行形なので、まだオチは書けない(オレも知らない)んだけども、
わたしはこの意識取り戻したというのはウソだと思っている。

どうしてそうなるのか。都合よすぎるだろ。

交通事故で、六時間以上意識が無い時点で、脳には必ずダメージが入っていること確定なんだけども、
どうしてここで都合よく意識が戻るのかわからない。しかもスマホで文字を打っているらしい。
ハイ嘘。

ここまで酷い事故の場合、意識戻ったというのは、指が一本動かすことができるとか、
そういう話のことを言うのであり、いきなりスマホで文字を打てるようには絶対にならない。

それにしても嘘が多い

それにしても疲れるのは、どうして比人というのは嘘をつくんだろう。
それも、すぐにバレる嘘を付く。

こうやって文字にして書いている以上に、実際には様々なドラマが生まれているわけなんだけど、
あらゆる事態が同時多発に起こるので、アドバイスというか、もうアドバイスしっぱなしである。

 

「止めろ」ということをやるのが日本人でもある。
こんな案件に関わっていたら、壊れた蛇口のようにお金が無くなることは目に見えている。

しかし、目のまえで苦しんでいるのを見捨てられない。この優しさもまた、私たち日本人特有の良さでもある。

わたしはこれまで、日比の生死にかかわる件を何度か体験したけども、
日本人なら帰国治療が一番いいと思う。死ぬにしても日本の土地で死ねたほうがいい。

 

それにしても本件。カネをかき集めたヤツが、嘘を付きまくっているんだけど、
素直に事故で大変だと、何故言えないのだろうか。

普段から嘘ばかりついて生きているから、脳内の「都合のいいストーリー」を垂れ流しているようにさえ感じる。

 

というわけで(4)おしまい。

(5)は、まだ現実に起こっていないので書くことはできない。読者の方は待ってもらうしかない。

わたしの予想では、半年以内に死ぬだろうと思っている。正直いって回復は無理だと思う。

フィリピンでは脳関係の病気や怪我というのは非常に多いんだけども、ほとんど全く専門医がいない。
(比人の死因は脳溢血関係がメチャクチャ多い。米と塩だけ食べているからだ)

また、見えない怪我については家族が治療したがらないので、ますます治療が後手後手になる。

今回は典型的な案件だ。頭から血が出ているなら止めるだろうけど、見た目なんともないなら
それでいいということになっている。

フィリピンといっても流石に医者は分かっていて、脳をしっかり調べたほうがいいと、再三アドバイスしたけど
お金と見た目で右往左往した結果、意識回復が遅れてしまっている。
意識回復するかどうかというのは、人間活動そのものなので、真っ先に優先することだ。
足なんて折れてもいいのである。意識さえあれば自力でリハビリテーションする道があるではないか。
なんなら切ってもいいではないか。

わたしは「切ってしまって予算を浮かせ、脳にカネをかけろ」と言ったんだけど、まぁ両足切断というのは
普通決断できるわけもないので、ひとこと言うだけにしておいた。

しかし、マニラにおいては、カネと医療は直結しすぎてるほど直結しているので、
予算が寂しいなら決断しないと、ズルズルと数万ペソの請求が続いて死なせることになりかねない。

フィリピンでの大事故においては、周囲の適格な判断力が、文字通り生死を分けることもある。

もしもあなたが、どれだけしっかりしていても、事故を起こして意識不明になれば、あなたの意思は
無関係に、周囲がワチャワチャやるハメになる。

この際、日本人の友達がいるかどうかというのは命に関わる問題にもなるのだ。

というわけで(5)は来月くらいになります。