SSRNってなに?:フィリピン外国人登録あれこれ

いつものことだけど、酔っぱらってへんな記事ばっかり書いてしまったので、今日は実用記事を書くことにしよう。
フィリピン入国管理。SSRNの話である。SSRNについて書いてある日本語記事が、なんとひとつもなかったので書いてみたいとおもう。

わたしの記事は独断と偏見に満ちているので、あまり参考にならないと思うけど、そのへんの判断は読み手に任せるとしよう。

SSRNってなに?

スペシャル・セキュリティ・レジストレーション・ナンバーのことであーる。スペッシャルなのである。

これはフィリピンに59日間以上滞在した人が持たなければいけない番号なのである。
「はぁ?そんなのあったっけ」「申請した覚えがない・・・」という人は、ACRを見てみると良い。
ちゃ~んとSSRNが、券面表面にデカデカと書いてあるはずである。オッこれか!あるひとはラッキーである。申請完了しているからだ。
エージェント等、代行業者を頼んでいると、親切にやってくれている場合がある。(実はやってはいけない)
なお、このSSRNは一度貰えば生涯有効となるので、何度も申請する必要は無い。

なんのためのものなの?

何のための物でもない!ただメンドクサイ登録番号が必要というだけだ!それ以外一切何の価値も無い番号である!これは断言しておこう。
ただ、貰っておかないと出国できないハメになりかねないので、さっさと貰ってしまえ!という制度である。
一体なんのためのものなのか、誰も知らないというシロモノだ。繰り返しておくが無意味な番号である。

そもそも、昔はSSRNなんていうものはなかった

SSRNが導入された当時のフィリピン入管というのは、器の小さい小役人が入管局長をやっていた時代であった。
あの、伝説のルール「入国管理局に入るためには、外国人はエリ付のシャツに靴を履いていなければならないもんね~!」
「外国人は、スリッパTシャツで入管に来ることはまかりならん!常に敬意を払って役所に出頭せよッ!!」という、
『自分の持っている権力をひけらかしたい人が、一国の出入国管理の全権を得たらこうなった』というべき惨事が、当時外国人に降り注いだ時代に
SSRNと外国人登録プログラムというのは出発したのである。

(※この服装規定は、当時「推奨」ではなくガチであり、本当に施行されたので入管本局の向かえに50ペソ貸衣装店が出来たほどであった)

この局長時代に出来たのが、スペッシャルセキュリティ・レジストレーション制度だ。
「外国人犯罪防止のためにも、常に外人は居場所を明らかにしなければならない!入管出頭して登録しろ!」ということであった。
ハハァー!入管様の仰せのままに!である。我々外国人は、なんの抗弁もできないんだから、登録しろと言われたらするしかない。でもなんのために?
VISAを持ってない外人を炙り出すために?いやいや、VISAナシの外人が、なんでSSRN欲しさに入管に出頭するの。するわけないじゃん!!

でも、果たして本当に本当に施行されたのであった。じゃあアニュアルレポートなんなのよ。
労働ビザも観光もみ~んな電話番号も住所も、当時は2x2の顔写真張り付けて、居場所申告してたわけだ。
なんでまた似たようなことやらなあかんの?ACRの裏に指紋登録もしたっしょ?

またやんの?意味あんの?

わたしは当時本局でやったんだけど、もう大混雑、大不評であった。
だってそうでしょう?マニラに外人何人いる?1000人?一万人?そんな数じゃねぇぞ?軽く見積もってもウン十万人いるわけだ。

みんな「なんでそんな登録しなきゃいけないの?」と思っていた。(のでブーブー言っていた)
だって!住所なんて、それこそ入国からずーっと申請しているんだし、永住権持ちだって労働ビザだって、必ず住所欄はある。
全外国人は住所を届け出ている。ウンザリするほど何回も。

なんでもう一回登録しなきゃいけないの??意味がないのである。意味が無さすぎる。

当時、私がSSRNを登録したときは、本局にオネーチャンが二人いて、片っ端から受け付けていた。
記入欄は全部すっとばして、パスポートの番号と名前、住所(ぜんぶ手書きである)が書いてあれば、SSRN番号を貰えた。
そうでもしないと回らないくらい外人が来たからである。

ただでさえクッソ混んでる本局は、もう野外テントまで作って野戦状態でSSRNを発行してたんだけど、なんせ係員が二人しかいない。
ダンボールのキレッパシに「SSRN」と書いてあるだけ。そこにマニラ中の外人が殺到したのである。なにしろ番号がないと出国させないってんだから。
中国人や韓国人が怒鳴り込んで割り込んだりして・・・もう控え目にいって地獄絵図。

住所もみんな適当。隣の外人がホテルの住所書いて、それを写して書いたヤツも、みんな正規のSSRN番号もらえていた。
手数料も無かった。(いまは500ペソかかるらしい)
そもそも申請書類自体がコピーのコピーのコピーの・・・ひ孫くらいで、なにが書いてあるのかも判然としない。
そこにゴム印でSSRN番号が割り振ってあって、「記入して提出しろ」というシロモノだった。

なお、SSRN提出後、住所証明のために申請した住所に郵便物が届くらしいのだが、届いたという人見たことない。

SSRNとパスポートとECCは紐づけられている

フィリピン入管によると、SSRNがあるおかげでECC発行が容易になっているらしいのだが、そんなバカなである。
だって、少なくてもわたしは、ずいぶん昔に貰ったSSRNの情報をまったくアップデートしていない。しかしそれを指摘されたことはない。
わたしだけではなく、周囲も一切SSRNについてのトラブルなんかない。あるのは唯一、番号を持ってない人だけである。

なにしろECC(出国許可証。フィリピン独特の書類)にはSSRNが必要「ということになっている」。
だから、真面目な人ほどエッ!そんな登録必要なの?わたし持ってないどうしよう!と青くなるのである。

SSRN発行要件の建前はヘンに厳しい。まずエージェント申請ができない(指紋登録があるので)し、ホテルでも郵便物の受け取りという難関もある。
しかしである。実際のところ、この運用は限りなくザルに近い状態のようだ。
だってSSRNナシでも、現実には空港でECCの緊急発行できてしまうんだから、じゃあSSRNってなんなのよ!ということである。
指紋?登録したっけ?記憶にないなぁ・・・というひともいるだろう。

でも、一応、SSRNとACRとパスポートは紐づけられていて、出入国の際に見られるし、身分照会には使われるし、ECCのときは必須で書かなきゃいけないし、
ACRにもデカデカと書かれる。「フィリピン生活で、発行されていないと困るもの」である。

一度発行さえしてもらえば、あとはずっと使えるのは有難い。(SSRNは番号さえもらえれば、内容については一切精査していないと思われる)
どこか緩そうな入管で、さっさと発行してもらうのが一番だろう。

それでも役所にゃ逆らえない

SSRN制度ができてから、もうずいぶん時間がたつ。本当に無駄な制度だ。(だってACRの裏にあるコントロールナンバーで全部済むんだから)
だってさぁ。そもそも住所や名前、連絡先の本人確認なんて、入国時に全部やったでしょという話だ。外人はしょっちゅう入管に出頭するわけだし。
外人に一意のコントロールナンバーを割り振るというのは良いアイディアだと思うけど、こっちはACR、ARP等々、散々登録しているんだから。
これってACRで全部済む話なのだ。

だからフィリピン入管も、SSRNは重視してない(と思う)登録さえしておけばいいんだろう。
でも法律として残っている以上、無いと「なんで無いのだ!!」と、役人の『アタリ』によっては難癖付けられることもあり得る。
わたしたちは黙って従うしかない。外国で暮らすというのはそういうことだ。

はじめてフィリピンで60日滞在をするひとは、一応SSRNについて、最寄りの入管に顔でも出して、半日潰してみることをお勧めする。
番号さえ貰えればよい。正規の番号さえもらえば、翌日引っ越したって問題ないだろう。(引っ越し自体は自由である。ホテルだったらなおさらだ)
さすがに今は、名前だけ書けば貰える運用にはなっていないだろうけど、『とにかくさっさと貰ってしまえ』というのがSSRNであることは間違いない。

ACR初回申請のタイミングでセットで提出するのがもっとも賢いだろう。申請は別なので、ウッカリ提出してないと、いざ帰国のときに焦ることにもなりかねない。
出国できるできないというのは死活問題なので、素直に書類やっちゃったほうがいい。「いつものこと」だ。
留学や労働のひとは、おそらく誰かが指摘してくれるだろうけど、観光や婚姻の場合指摘するひとがいないことがある。
SSRNという手続があるのだな、くらいのことは頭に置いておいた方がいいだろう。

 

※わたしは上記の通り、導入初期にSSRNをもらってしまったので、令和の今、どのように発行されているのか知りません。
この記事についての質問は詳しい人に聞いてください。無責任とさせてもらいます。