ボディーガードをつける日本人

ポリスパレードのことを書いたので、ついでにボディーガードのことも書こう。

日本人の中で、ボディーガードを付けているという人がいる。はぁ?と思うだろうけど、そういう人もいるのである。
「マニラにずっと住んでいるけど、そんなひと会った事ない」という人もいるだろう。それはあなたの付き合っている人種が良いからである。

しかし、ここはマニラである。やっぱりマニラなのである。

基本的に付き合ってはいけない

これはわたしの経験から書くけども、いくら同胞といっても付き合う人はある程度選ぶべきだ。
わたしはボディーガードを付けていると言う人とは、基本的に付き合わないようにしている。

なぜかというと、ホンモノのひとは、最初っから明らかにガードが付いているからである(笑)
それも人数が多いことがほとんどだ。

 

ボディーガードは人数を聞け!

もしもあなたに向かって「ボディーガードを付けている」という人がいたら、第一声で人数を聞くことである。
マニラで本当にセキュを付けている人というのは、ボディーガードは最低15名くらい雇っている。最低、である。
ひとりの人間を守るというのはそれだけカネがかかるのだ。

考えてみて欲しい。ボディーガードというのは24時間である。
周辺警備1名 近辺警備1名 重要箇所(ドア等)1名 これだけで3名いる。これを8時間交代で回せば、8時間x3名=24時間となる。
ボディーガードだって遅刻もするし休みも取るので、予備も含めて最低15名必要なのである。これが平時。
アブナイとなれば人はもっと増やす(住宅の場合最低6名x8時間x3となる)
銃社会において、人をひとりガードするというのは物凄く大変にお金のかかることなのだ。
そしてこれでも命を守れるかどうかとなると、マニラでは疑問である。

日本人がよく言うボディーガードとは?

在住日本人が、投資系ウキウキ日本人にボディーガードを見せびらかすことがある。その場合、例外なく一人しかいない。
ひどい場合は、ドライバーに銃持たせているだけという場合も多い。(ボディーガードでもなんでもない)

そもそも、ガードをつけるというのは狙われているということである。
マニラにおいては、本名を出さないとか、写真を撮らせない等というのはマナー違反ではないとしても、ボディーガードをつけているというのは流石におかしい。
車内所持許可のクリアランスを持っているドライバーを、銃持たせてKTVで「ボディーガードだ」というオッサンは危ない。
はっきりいって、ドライバーはオッサンの為に命を賭けて発砲することは絶対に無いんだから、まったくの無駄である。

若い人の中には、ホンモノの銃を携帯しているということで「スゲー」となると思うが(スゲーことはスゲー)是非このブログを思い出してほしい。
比人は書類をクリアすれば銃は合法だ。よく考えればあんまり凄くない。だからなんだって話である。
日本では触ることさえできない実銃なので、物珍しさもある。タマの入った銃を、気前よく「ホレ」と持たせられるのは、海外ならではの経験だろう。

でも待って欲しい。本当にその人信用できんの?銃に指紋を付けられたかもしれない、くらいまで考えたほうがいい。明日ひとが死んだらどうすんの?
いや、あなたが銃を奪おうとした、なんてストーリーまで準備してあるかも知れない。(「絵を描く」という)
よく知らない人から絵を描かれ、留置所で100万円はらえば釈放なんて言われたら、払ってオシマイにしてしまいたくなるだろう。

一人しかいないボディーガードを連れている日本人は危険なのだ。

無知の知

そうはいっても、決めつけてはいけない。
ボディーガードといっても、こっちで結婚している人の中には、嫁の弟タンバイにカネをやって銃を持たせ、小遣いを渡すというパターンもある。

わたしたち日本人は、タダでお金を渡すのは心理的に抵抗があるけど、「運転もして銃ももっている」となれば、嫁の弟やニノンに小遣いを渡せる理由づけ、としている人も、実際何人も見てきた。(地方に多い)なんとなしに保険でやっているパターンである。
小遣い銭を渡すにしても、今日はご苦労さんと言って渡す分には、気持ちよく渡せるわけだ。私たちは労働の対価で払うというのなら凄くスッキリするからである。

だからといって、アッ!一名だけのボディーガード=コイツはアブナイ日本人!!
等とステレオタイプに判断してしまうのは、私の読者にはなれない。無責任なわたしの書くことを、真正面に信じてもらっても困る。

どういうことか。

マニラに住んでいるのなら、様々な状況を判断してジャッジする能力を備えて欲しい。これこそが大事な能力である。
ボディーガードといってもひとりの場合、素人に銃を持たせてるだけなんだから「他に事情があるのでは?」と瞬時に判断し、
「ハイハイ、これはボディーガードと言ってるだけの国際貢献ね!」という程度の頭の回転が欲しいところだ。

その人の発言内容、仕事や家庭、日本の話、職歴学歴資格なども、日本語ならアンテナも立つだろう。
ボディーガードを雇っているといって見せびらかしてくる人には二種類いるということだ。

もしも身内(嫁の弟に銃持たせてる運転手パターン)なら、ボディーガードというよりも「日本人が小遣いやる言い訳」と受け止めていい。
もしも他人でタトゥーバリバリ、カルボの兄貴の場合は「アッ」と思えばいいのである。

 

本当に事件が起こった際どうなるのか

ボディーガードというのは、あなたの命を守るために存在する。そのために安くない報酬を払って雇うのである。
それに対する対価・・・つまりボディーガードがあなたの命を守ってくれるのか?というと、答えはノーだ。

フィリピンのボディーガードというのは、戦時に置いてまったく役に立たない。それどころか買収され、コッチに撃ってくることさえある。
それはわたしの経験を持ち出すまでもなく、数々の新聞記事が証明している。
(フィリピン系の情報を数年も読んでいるひとなら同意してくれるだろう)

そもそも本気で命をとろうとしてくるなんて連中は、まず真っ先にボディーガードを殺すか買収してくるんだから、ガードがいても気休めである。
どんなに警戒していても、ガード2名なんて一瞬で倒される。相手が6人くらいいたら、もう勝ち目はないからだ。

この際、少なくても抵抗してくれる可能性があるのは、実はタンバイのほうである。
特に「おねぇちゃんの夫」というのは、フィリピンでは心の根っこのところで味方である。

相手が何人いても、犯人だって死にたくない。タンバイに免許と銃を持たせ、お飾りのボディーガードとして小遣いをやるというのは、
本人にしてみると家庭で居場所が見つかったも同然の任務なので、大いにはりきることもある。(※田舎限定)

在留邦人の見分け方というのはいろいろあるけども、ボディーガード発言ひとつあれば、拙ブログを参考にして、
「なんでアンタガードが必要なん?」というところを聞き出してみたら面白いだろう。

オマエにだけは話すけどよォ・・・なんつって、クニの犯歴を話してくれるかもしれない。

そして、それを踏まえて付き合うかどうかというのもあなた次第だ。
犯歴のある人というのは人間的魅力の多い場合があるし、

そもそも論。そういう経験をしてみたい、というのも海外在住のワクワクに含まれていると思う。

「日本で逮捕歴がある」わたしに告白してくれたマニラの友人は複数いるけど、相手にしても度胸のいる告白だ。
わたしは、そういう連中との付き合いは嫌いじゃない。彼らの話は掛け値なしに面白いからだ。

俺の本音

実のことを言うと、せっかくマニラに住んでいるのに、そういう日本人と出会わないでいるのは損失だとさえ思っている。
これはわたしの価値観であって、普通のひとは鼻をつまんで関わらないだろう。それはそれでいい。いやそれでいいのだ。

わたしは知的好奇心がある。マニラ日本人社会の見えない側面というウロコを触り、同胞の苦しみや贖罪の話を聞いていると飽きない。

日本から逃げてきた!というひとに実際あったことがあるけど、この数時間は黄金よりも貴重である。
この数時間に比べたら、ネットフリックスも裸足で逃げ出す。どんな映画も文学も役立たずのフィクションに過ぎない。
掛け値なしのホンモノ。わたしがマニラに住んでいてよかったと思える理由のひとつである。

だってマニラに住むひとつの理由として、
こういう「関わったらアカン系」の人らの独白というのは、どんな賞を取った文学よりも手触りがある。

「ボディーガードを付けている日本人」というのは、私にとって好奇心をそそられる対象なのだ。

余談

(略)