移住準備:クレジットカード編

来年マニラに越してくる方とやり取りをしている。今年なにを準備すればいいですか?という相談の中で、クレジットカードという話がでたので今日はその話。

 

まず、日本を出るからには、クレジットカードに対しての認識は、今までと判断を異にしなければならない。ナントカポイントが貯まるとか、ドコソコのお店でドリンクバーが無料になるといった特典は、もう考えなくていい。それよりも、日本発行の、履歴のついたカードを維持していくことが何より大事になってくる。

 

海外に住むなら更新しやすいカードを選ぶこと

海外に住むということは、現住所を失うということだ。
実家があるひとはいいが、関係がうまくいっていなかったり、離島だったり、単に迷惑をかけたくないという事情がある人も多い。

令和の世の中では、本人確認が厳しい。つまり何年かしたら、日本にいなければ更新ができない、受け取れないという事態になる。必ずなる。
本人限定郵便の保管期限は10日ほどと考えると、カード一枚のために休みを取って帰国し『本人です!』と言って受け取るか、むざむざ失効させるかの二択となる。信用情報に傷もつくことになる。海外に住むとなれば、クレジットカードは更新の利便性を第一に考えて作ったほうが良い。

 

神サービスを提供しているのがエポスカード

私は、海外在住者はエポスカード最強説を持っている。
「・・・エポスカード?あの、マルイとかで派遣のオネーチャンが声をかけてくる、あのカード?」そう。あのカードである。
日本に住んでいるうちに、あのエポスカードを入手し、ちょっと履歴を積んでおくだけで、海外に出てからの不安がひとつ消えるといっていいだろう。

なぜか。エポスカードは、更新半年前からエポスカードセンターで更新ができる。郵便以外で受け取れるのだ。しかも更新カードは5年有効。これは海外在住を希望する人にとっては福音といっていい仕組みだ。時間的猶予が半年あるなら、帰国してカードを受け取る計画も立てられる。

この窓口更新。エポスも事務の軽減となるので推奨している。250ポイントくれるらしい。
さらに、エポスカードは無料で海外旅行保険系も付いてくる。年会費も無料だ。エポスで帰国のチケットを買い、エポスを更新して、また海外に戻る。これだけで、日本発行のクレジットカードが維持できてしまう。

これから海外に住みたい人にとって、契約しない理由がないクレジットカードだと言える。

アコムマスターカード

エポスカードの予備が欲しい人や、クレジットカード滞納歴がある人は、アコムマスターカードを選択肢に加えてもいいだろう。

—ハ?アコムって、あの?金貸しが出してるカードでしょ??

そう。あの「むじんくん」消費者金融が発行しているカードだ。これまで全く興味も関心も無い人も多いだろう。
安心して欲しい。期待通り、使ったお金は全部リボ払いになるという極悪カードである。

このカードは、エポスよりも更新が簡単だ。むじんくんというのは全国どこにでもある。ここで帰国時、カードを更新できてしまうのだ。

わたしの周囲に、このカードを持っている人はひとりもいないけど、エポスの予備として持っておくのはアリだと言える。
日本にいる間だけ使って、最終日にむじんくんで一括返済してしまえば、履歴も付くし金利もタダ同然だ。
消費者金融系ということで抵抗もあるが、人生なにが役にたつか分からない。外国の病気やケガで、手持ちのカネが尽きた時、このむじんくんカードが光り輝くことがあるかもしれない。

三井住友カード

上記ふたつには落ちるけど、三井住友も海外在住者向けだ。

このカードは更新時、受け取っただけでは使えない。本人確認をネットでアクティベートする方式を採用しているので、更新カード自体は普通郵便で届くのだ。帰国時受け取りにはなるので、上記二枚と比べると煩わしいが、届く住所さえあれば誰でも受け取れる。

そもそも海外ヘルプデスクというサービスに加入すると、海外住所までカードが郵送してくれる。有料だが有難いサービスだ。

なお三井住友は、カード表面に何も書かないというセキュリティ対策を行っているせいで、発展途上国では少し使いにくい。先進国移住者向け。
(フィリピンの場合VISAタッチが使えるので問題なく使える)

 

上級カード

はっきりと信頼度が高いカードなら、このような心配は要らなくなる。(例えばアメプラ)
新しいカードを海外に発送してくれるからだ。年会費分のサービスをしてくれるわけだ。

ところで最近のクレジットカードは無記名、デジタル署名式となっている。最先端の上級カードには、いち早く採用されている場合もある。
この無記名というのが実は問題。いわゆる貴重品や金券絡みの国際郵便というのは、「記名されているものに限る」としている国があるからだ。無事届けばいいが、局員の無知によって余計な書類や手間がかかる場合はある。

裏面の署名欄が無い(デジタル署名)カードはオススメしない。海外では署名欄をガン見されることがある。署名の書き直しをさせられることだってある。知らない店員だと、初めっから「使えない」と突き返されることもある。

署名の証明をするには、その場でネットが無ければ使えない。となると途上国での使いまわしは良くない。
上級の最先端カードより、海外では伝統的ノーマルカードを主力にしたほうがいい。ナントカ認証なんて要らない。途上国では、サインペンで書いた自分の署名を見せたほうが強い。

 

 

実家が使えるならセゾンカード

実家との関係が良好で、特に問題がない場合セゾンカードでいい。セゾンは簡易書留で送られてくるので、家族受け取りOKだ。
カード自体は帰国しないと受け取れないが、余計な手間が無い。実家について荷解きしたときに「アンタ、郵便届いてたよ」とドッサリ渡される封筒の中に、ちゃーんとセゾンカードが紛れ込んでいる具合だ。持つべきものは愛する家族と永久不滅ポイント!受け取れたらベストだ。
セゾンでJCB/AMEX系を一枚補強するのは悪くない選択だ。

ただ、この作戦には重大な欠陥がある。
家族が気づいていなかった場合(そう・・・ほとんどの場合オカンである・・・)一年も前の不在票がDMと共に出土することになる。
そして、日本中のオカンというのは、『子供に届いた、なんか大事そうな書類』というのは保管しておいてくれるだけの場合がほとんどだ。

ほったらかし被害にあうと、セゾン様に土下座して、なんとか更新していただけないかとお願いするしかなくなる(それも日本滞在中に!)

ただでさえ忙しいのに、リクエストされた書類を集めなおし、審査を受けて通ったとしても、再発行までだいたい2週間かかります、なんて眠たい話になってくる。

だから帰国早々喧嘩をする前に、事前に充分手をうっておかなければならない。機嫌よく受け取りに行ってもらわないといけない。
オカンが反応し、開封確認してくれるのは「同窓会、冠婚葬祭、食い物」だけという『開封三原則』に基づいて、先手を打っておくべきなのだ。受け取っておいてくれるだろう、というのは見通しが甘すぎる。

海外のセゾン持ち(簡易書留発送持ちの人)は、有効期限が近付いたら念を押し、電話をかけ、珍しい外国のお土産を郵送し、愛する家族様御中!帰国できぬ不義理を詫びつつ、親兄弟誰でもいいから、益々ご清栄の身内様に、どうかセゾンを受け取っておいて欲しいと一筆書き添える程度の根回しをしておくことが求められる。

(※セゾンカード以外にも、簡易書留発送のカード会社は複数あります。読み替えてください)

カード失効したらどうなるのか

日本のカード更新に失敗した場合、まずは連絡して再郵送に期待をかけてみよう。時間が空いたとしても、相手はカードを使ってもらうのが商売だ。再発行に応じるところもある。ただしほったらかしの期間が長いと、当然カードは失効している。

移住前の契約時、あなたが賃貸の住所だった場合、カード会社から送られた郵送物というのは、全部返送されている。住んでいないと判定されている場合もある。こうなると再審査の具合も悪い。移住後の仕事が海外の場合、在籍確認が取れないという理由で落ちる場合もある。

メンドクサイから失効させて、また作ればいいや

これは絶対にオススメしない。作れなくなったらどうするのか。楽天やライフカードなんていつでも作れると思っている人は幸せである。審査オチしてからコトの重大さに気づくのだ。これをクレジットカード難民という。まさか私がクレジットカードの審査に落ちるわけがないという自信満々の人が多いけど「海外に出て戻ったら作れなくなってました」というケースは非常に多い。

例えば『0円携帯で2980円が毎月クレカから引き落とされる』という解約を忘れたまま海外渡航して、一年もしたら貴方は立派な滞納者だ。レンタカー屋に置いてある、ショッピング枠5万円のカードも作れなくなっている。イオンの即日発行カードも仮カードさえ貰えない。こうなるとパニックだ。

慌てて信用照会してみると、滞納履歴がズラっと表示されることに気づく。ああ、そういえばそんなん申し込んでたわー・・・というようなヤツだ。
毎月サプリメントが自宅に届くとか、有料テレビの配信だとかいう解約し忘れ。

日本に住んでいれば連絡も手紙も来るので、メンゴメンゴwなんつって、コンビニで払ってオシマイの支払いが、誰でも経験があるだろう。しかし海外に出てしまえば、これが全く分からない。帰国したらあなたは悪質滞納者となっているわけだ。

住民票を日本に移して一週間もしたら、限りなく脅迫に近い「裁判」だの「回収」だの書いてある文面が届く。ここで「え、なんで帰国したの知ってるの?」「滞納なんてしてねぇよ!」等と騒いでも無駄だ。あなたの言い分を述べる期間はとっくに過ぎている。ターンは終わっているのだ。

「少しでも返せば問わない」と甘言を弄し、少額のコンビニ振込用紙が同封し、まるでこの状況から逃れられるようなことを言ってくるが、払えば益々事態はややこしくなる。自分に有利となる時効までリセットされる(民事は海外にいても時効は進行する)し、滞納履歴も残ったままという、まさに負の連鎖に陥ることになるわけだ。このような状況に陥った場合、裁判覚悟で時効援用申立を行ったほうがいい。(留学組は時効になってないと思うので、一層慎重にすることだ)

あなたが駐在員であり、海外に来るのは一時的な仕事であるのならば良いが、そうではない現地採用組、自営組、独立組、留学組は、いま持っている日本のカードを維持する方向で考えたほうがいい。そのほうが賢い。

このような状況になりたくないのであれば、1ケ月分くらいの収入を口座に入れておくことと、引き落とし口座を絞ることだろう。

※特定のカード会社名を出して書いたけど、こういった情報というのは自分で調べて確認すること!あなたの契約を、私は何も知らない。あくまでも読み物として執筆しているだけなので無責任とします。よろしくお願いします。