マニラで賃貸(3)戸建てを借りる
マニラで戸建て住宅を借りるメリットは様々ある。
まずはたっぷりとした広さがある。どんなコンドミニアムだって、戸建ての広さには敵わない。
子供たちの個室、プライバシーの守られた夫婦の主寝室、そして静寂がある。
通勤時にエレベーターが故障したりすることはない。車幅ギリギリの駐車場に、毎日毎回神業のようはハンドルさばきを要求されることもない。
ゲストが自家用車で何台来ても、ドライブウェイに止めておけるし、カラオケだってバーベキューだって楽しく行える。
ビレッジ(※外壁で周囲から遮断されている区画に建てられた住宅のこと。これ覚えてください)ならばもっと豪華だ。
セキュリティもしっかりしているし、家々の中心には集会所があり、安全にお金を引き下ろせるATMがある。
ドでかい共用プールはほとんど貸し切りで利用することができる。それも毎日だ。
清潔で安全な家の周囲は、ジョギングやペットの散歩をするための工夫がある。共用の子供たちの遊び場も、同じような収入を担保された子息だけが遊んでいる。だから近所付き合いも楽しいし、雑談からビジネスに発展することだってある。
多くはところどころに畑があり、菜園を楽しむことが出来る。球根から花を育てたりすることもできる。鉢植えを盗まれることもない。
鶏を育てるのも楽しいだろう。子供たちの教育にはプラスになることが多いし、生みたての卵を食べられるのは、経済的だし健康にも良い。
マニラ近郊で一軒家を借りるのは、経験者に言わせればマストだという。もうコンド生活に戻れないという人もいる。
しかしそれでも、マニラで一軒家を借りるには、幸運と経験が必要だ。
まず一軒家を借りる際は、ビレッジなのか、市井のただの家なのかということは重要だ。同じ一軒家でも、これはカテゴリが違う別モノと思った方がいい。もしも一軒家を借りるなら、高くてもビレッジタイプをオススメする。
次に大切なのは、一軒家は水没の危険性があるということだ。
なにを言っているのかとバカにしてはならない。フィリピンの雨季を一度でも経験すれば、わたしの言うことに耳を傾けてくれるだろう。
天の留め金が外れたかのような、猛烈なスコールが一週間も続き、道は無くなり湖になる。子供が泳いではしゃぐ写真は、マニラの毎年の風物詩だ。
『床下浸水は甘え』という至言がある。
自分の住んでいる場所は水没しやすいのか?事前に充分調べておくこと。
一軒家をかりるならば、なによりもまず浸水しない家を借りることだ。
次に大事なことは、なるべく新しい家を借りることだ。これはフィリピン全土の家全てそうだけど、古い家ほど虫害は加速度的に進行している。
もちろん貸し手はアナイ(防虫業者を入れた大規模消毒の意)をするけど、いつか虫はアナイを突破してくる。
古い家は、水道管が破裂して莫大な請求をされたり、インターネットが引けなかったり、ゴキブリが絶えなかったり、電圧が不安定だったりと、ロクなことがない。生活の不備を解決するために要する時間が多いのだ。
独裁政権時代に建てられた家だと、隠し部屋があったり、二階がはしごだったり(一階からの侵入を自力で排除できる仕組みになっている)面白いのだが、日常生活では不便でしかない。
大事なことはまだある。一軒家は大家との関係性が重要だ。
これは借りる前の大家の発言などから読み取る力が必要になってくる。
まず、どんなに気に入った家でも、カネに困っている大家から借りてはいけない。ヘンな話だけど、1000ペソ単位の、小さな値切り交渉に応じない大家は止めた方がいい。
私たち外国人(日本人)は、家賃は必ず入れるけど、国に戻った時に家を空けることがある。そこで意図せず家賃を滞納することがある。
その一か月未満の滞納で、家の門に鍵をかけたりする『激しい大家』とは、付き合うべきではないということだ。
フィリピンの賃貸事情では、二か月デポジットの家では、一か月間の家賃滞納は不問にするという暗黙の了解がある。(デポジットした分を家賃から差し引いても、まだ一か月分余るからだ。契約上はデポジットは全額返金することになっている)二か月デポジットしていれば、家にチェーンされたりする理由がないのだが、過去そういうトラブルを引き起こした日本人は多い。大家とうまく関係を築くスキルは必須といっていい。
「俺はカネ払ってる」という態度は高慢に見えると知るべきだろう。