何故フィリピンではナイフを持ち歩かないほうがいいのか

これまでフィリピンに住んでいて、何度も「護身用」なんつって、頼みもせんのにナイフを渡されたことがある。

それも、一度や二度ではない。

「え、そんな経験一回もないよ」という人もいるだろうが、住んでいる世界が違うのだろうか…今日は、フィリピンとナイフの話。コロナビールを浴びるほど飲みながら書いてます。悪いけど今回は男性向けの記事。女性は知識として楽しんでくだち。今回はフィリピン中級者向けじゃなくて、上級者向けなので、読みたいひとだけよんでください。

 

みんな持ってる❤隠しナイフ

田舎にいくと、フィリピン男子のナイフ所持率はハネあがると思ってもらっていい。

『いや、俺田舎に住んでっけど、周囲でそんなヤツいないよ』というひとは、是非一度確認してもらいたい。出てくっからw
本気で出てこなかったら、あんたの人の付き合い方に問題があるんじゃねぇの?と疑うほどだ。

比の田舎に住んでたら(マニラも同じだけど)男性同士なら、銃なんて見せびらかし大会なんだから、ナイフが出てこない訳がないのである。ナイフなんてのは、ごはんと味噌汁がセットであるかのように、若いアンチャンとセットになっていると思っていい。

日曜に、道路のど真ん中でテント貼ってエンペ飲んでる連中とチョッと仲良くなれば、すぐにこのブログが真実を書いていることが証明できるであろう。わたしは飽きるほど経験があるんだが、まだ無いというのなら次の休みにでも経験してみたらいいとおもう。タッパーに入ったヤギの肉とか出てきておもろいw

 

あ(また)脱線した。ナイフの話な。

このナイフというのは、ほとんどが折り畳み式のモノで、一応、一見ナイフと分からないような工夫がしてある。むき出しの刃ということはない。観音型グリップで、刃がすぐに出せる種類のものが、安くて軽いので、ファッション感覚で持ち歩いている男子が非常に多い。(このような小細工が、また中二心に響くではないか!)

隠すにも理由がある。ショッピングモールで呼び止められたらウザいからである。(じゃあなんでショッピングモールの中に、持ち込み禁止のナイフ堂々と売ってんだって話なんだけどな?)ちょっとした忍者気分である。

 

え?そのぐらい必要だろって?マニラの治安は危ないって?毎日ひと殺されてるって?そりゃそうなんですが…

 

 

—フィリピンというのは危ない。それはわかる。ので!みんなセルフディフェンスだとか言って持ち歩いている。だから俺も持つ。ほとんど理由なんてない。無いよりマシだろと。確かに無いよりマシだ。でも現実には役に立たない。ただ同調圧力で持っているだけだ。日本ほどではないが、比の男社会は、けっこう同調圧力があるw いや、持ち歩かないほうがええですよ。

 

私の経験からすると、この護身用ナイフ。ほとんど役に立ってない。というか報道の範囲でさえも、護身用ナイフで命が助かったという話を、もしかしたら一度も聞いたことが無いかもしれない。現実では、ナイフって物凄くマイナスなのだ。自分では護身の為だと思っていても、防犯カメラとかでみると、ナイフを出している=犯罪者 でしか無くなるので、持っているだけで裁判でも不利になる。

ナイフ=犯罪者というのは、そのへんの動画で見ると物凄く分かりやすいイメージとなって伝わる。分かりやすく悪者になれるアイテムなのだ。ナイフというのは脅迫に使われやすいし、チンピラ臭限りないし、一般人は持ち歩いていないと断定されやすいからだ。セルフディフェンスとか言っていても、社会では。特に司法の世界では比でさえ通用しない。

たとえば映像で、加害者と被害者がいるとしよう。ナイフを持っているヤツ=加害者 万人にも分かりやすく判断されやすい。アッこいつが悪いヤツだなと思われても仕方ない。そして、いまどきのフィリピンというのは防犯カメラだけは田舎にもアホほどついている。

 

それでもフィリピン男子は、16-24歳くらいまではナイフを持ち歩いてて、大人になったら、いつか銃を持ちたいと思うのだろう。みんな持ってるから俺も持つみたいなノリで、相当数が持っている。でも実際には使わない。フィリピンマフィアでさえも、ナイフが出てくることって、刑務所以外であんまり無い。

でも武装しなきゃ男じゃないみたいな「ノリ」はフィリピン男子に厳然として存在しているので、周囲の比人から「お前なんで丸腰なの?」みたいなことは聞かれる。

わたしは外人丸出しタイプの人なので、中には心配して言ってくれる人もいる。「ナイフくらいは持っておいたほうがいい」みたいな会話もある。

うーん。なんでといわれても困るんだけど。例え自分が危なくなったとしても、人を刺したりしたくないから、というのは建前。

実はもうひとつ理由があるのだ。

実は、ナイフを持ち歩いていると撃たれやすい

これが本当の理由である。何故か説明しよう。

フィリピンでは、簡単ではないが、実銃を持つことが合法であることはご存じの通りだ。(外国人でも許可があれば持てます)
実際にヒトを撃つことなどないとしても、銃というのは持っているだけで、相当な抑止力になることは間違いない。『銃買っちゃったンヨネ~』なんつってバランガイで見せびらかしておくだけでも効果絶大である。やっぱりこれは、なんだかんだビビる!その場で人生終わらせることの出来る武器を、酔っぱらって弄くってんだから(笑)

あいつ銃買った!というのは光速で町内に情報が回る。普段話題もないバランガイで、アイツ銃買ったなんて話題は…核保有国みたいなものだ。

少し誤解されているけど、比はアメリカみたいに、一家に一丁じゃない。持っていない家庭のほうが圧倒的に多い。非合法銃も当然にあるが、それは『見せびらかせない』ので、比ではあまり価値がないw 銃とは抑止力なので、自慢してこそ防犯になるのだ(笑)

フィリピンでの、一番正しい銃の使い方は銃自慢である!外人特権で嫉妬されないんだから、冗談みたいな銃でもいい。持っていることを近所に周知させることが重要なのだ。

だから、ケチってグロッグ(VATコミ5250ペソ)みたいな、扱いやすい実用的な銃(女性でも片手で撃てる、敵の戦闘能力を失わせる程度の殺傷能力しかないポケット銃)なんか買ってはいけない。どうせなら両手銃!一発撃ったら牛の頭が無くなっちゃうみたいなカウボーイ銃のほうが、バランガイのウケはいいわなwスゲェカッケェでニンキモノになれる。

だってどうせ、現実では撃たないんだから!そうだろ?(笑)だから銃はバカみたいな威力のある「バランガイウケ」でいいのだ。どーせ人に向けて撃つことなんてないんだから。

もしも役に立つことがあるとしても当たらないだろう。でも、もしかしたら当たるかもしれない。それでいいのだ。

強盗側として考えてみよう。敵はバカみたいな銃を持っているわけだ。もちろん撃ってくる。

じゃあ四人で一斉に強盗に入れば、ひとりは死ぬけど三人なら勝てる。カネを奪い取れる訳よね。でもその死ぬ一人になりたいヤツなんていない。つまり銃持ってる強盗団でさえも諦めさせることができる。

というわけで「マジで持っている」というのは、非常に防犯効果が強い。

銃というのは威嚇に使うものだ。「自宅内に置いては、いつでも殺せますよ。現実的に本当に持ってますよ」という、正しい威嚇が出来るのだ。これが比で銃を持つ効果だと思う。(だからアメリカではショットガンが多いんだなというのが物凄く納得なんよね)

あ。ナイフの話やったね。まーた脱線しちった。

えーと。だから!ナイフは持ち歩くべきじゃないということにつながるのだ。

何故、そういう理屈になるのか。わかりますか?これ分かんないひと多いとおもうので解説しよう。

普段からナイフを持ち歩いている一般男性って、実は殺されやすいのだ。特に、銃を持っているヤツから撃たれやすい。

銃を持っている人からすると、普段ナイフを持ち歩いているヤツなら、簡単に正当防衛で撃てるからである。おそらく本当に撃たれる。

「あなたが、普段から持ち歩いているナイフで飛びかかってきたから反射的に撃った」

この言い訳は、もはやフィリピンでテンプレ化しているといっていい。そして、この言い訳は非常に通りやすいのだ。

だって、普段からナイフ持ち歩いているヤツがだよ?「飛びかかってきたから護身用の銃で、自宅で撃ちました」コレ全く正しい反論なわけだ。

だから、あなたが実際に飛びかかってきたかどうかは別として。ただナイフを持っているというだけで、それを理由に撃たれることがある。それは護身用だとか家人から渡されたとか、そういう理屈はあまり関係ない。だってもうあなた死んじゃってるんだから。

つまり、ナイフを持ち歩いているヤツというのは、銃を持っているヤツにしてみると撃ちやすいのだ。理由があるから!

ナイフだと加害者。銃だと被害者になる

比で銃を持てる人は限られている。ライセンスの話じゃなくって、税金が馬鹿高いのだ。銃を保持している人というのは、たっぷり比政府に貢献しないと持っていられない。

それだけに、銃を長年保持しているというだけで、これは政府に貢献しており、資力もある者とみなされる。

フィリピンは危ないので(笑)当然、カネを持っているヤツは銃を持つ。それに嫉妬するヤツも多い。

「ナイフで飛びかかってきた」というのは、もうひとつ裏の意味がある。「銃を持てない貧乏人だからナイフで飛びかかってきた」ということだ。比で銃撃戦というのは、ある程度カネがないと出来ないことでもある。一発20ペソはするかんね。

海外でナイフというのはそういう意味合い(貧乏人の武器)と覚えていた方がいい。「銃も買えないからナイフ」なのだ。つまり弱者の武器なのだ。そして殺傷能力は認められる。実際そうだから。ひとを殺せるものを所持していたとみなされる。反論できないでしょ?

だから!

ナイフを持っている=つまりカネ欲しさの加害者 と認定されることが、海外の裁判では非常に多い。護身用?誰もがそういうだろう。その理屈を、何万回も同じことを聞かされている海外の裁判官が、いかに外人割引があるとはいえ、あなたの主張を認めるかどうかは全く別の話だ。だってそもそもなんでナイフを持ち歩いているんですか?「護身用」w 通らないです。

そもそも。フィリピンでの外国人ってのは、うまく立ち回りさえすればはじめっから有利なポジションになれるんですが、むしろなんで銃もってないのみたいな話にすらなってくる。エッナイフ?要らないでしょ?なんでこのようなものを持ち歩いていたんですか?みたいにややこしくなってしまう。なんでかっつうと、銃は富の象徴でもあるのだ。

ナイフというのは、銃も買えない貧乏人が「護身用」つって持ち歩くもの。バカの象徴みたいなものである。司法もそれを分かっているから、外人だったらそれなりの防御をすれば正当防衛でシャンシャンになるのに、自分でナイフ持ってたら「なんで?日本人がナイフ持ってんの?え?殺意あったんじゃないの?」みたいなややこしい話になる。こっちの金持ち本人は、ナイフなんて持ち歩かないかんね?

うーん。伝わるかな。文章で伝わればいいけど。

 

あと特に男女絡みで、あなたが普段からナイフを持っているひとなら相当危ない。あなたが撃たれて死んでから「コイツが嫉妬でナイフ持って襲ってきた」と恋敵に供述されたらどうなるか。ただの犬死にである。

護身用ナイフさえなければ、あなたは丸腰だ。丸腰の外国人に理由もなく発砲したら、殺人になる。外国人殺人は、比で隠し通せないことも多い。

—だったら丸腰のほうがよくね?どうせ銃に勝てねんだから。

 

これは特に比の田舎に住んでいる人向けなんだけども、比で護身用ナイフを持つというのは、かなり考え物である。
喧嘩になったとして、ナイフを取り上げられたら、自分のナイフで自分が刺されることにもなりかねない。そもそも、まったく訓練を受けていない状態で、武器だけ持っていても保険にならない気がする。

 

武器というのは男の子なら誰でも興味がある。これは本能レベルのことなので、記事を読んでいる女性はスイマセンなんだけども、男性はだれでも武器というのはカッコイイと思っているものだからだ。若いフィリピンのアンチャンなんか、かなり持っている率高いとおもっていい。

特にマニラ以外の男子なら、なにかしらアレコレ武装していることが多い。それも、あまり他意なく、車のグローブボックスにナイフ入れっぱなしで忘れてたとか、そういうレベルで普通に存在していることが多い。修学旅行の中3みたいなノリという理解で、合っているとおもう。

だって日本でいえば『新宿バスセンター』みたいな場所で、ごく当たり前にアーミーナイフとかベアナックルとか売ってるので感覚が麻痺してしまうのだ。フィリピンに限らず、タイでもマレーシアでも、あの手の…謎のセルフディフェンス系の店ってのは東南アジアに妙に多い。

でも、ああいったオモチャみたいな護身武器って、役に立って身を守れたという話は聞いたことが無い。また、実際、こっちにきて長い在留邦人の人たちの話を聞いても『なにも持っていない』か、『銃をもっている』かの二択である。

絶対的な抑止力として実銃を持つ(これは本当に強い)か、丸腰の二択だとおもう。下手な武装が、一番話がややこしくなる気がする。