大相撲ロンドン巡業が、いちいち勘に触った件

 

先日。大相撲ロンドン巡業が行われ、大成功のうちに幕を閉じた。どうみても採算度外視の巡業だが、日英の文化交流として、とっても良かったと思う。場内放送は全て日本語において行われ(英語の補足はあったが、あくまでも日本の巡業に近い形で行われた)細かいことも、全て相撲のしきたりに沿った巡業内容だった。また、ロンドンっ子が、力士の名前をかなり知っていることは、ワイにとっても驚きだった。

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ただ、ひとつおかしいことがある。それは、相撲はスポーツだということだ。うん。それは間違っているよね。

相撲というのは、サッカーと一緒で、基本的ルールが単純明快。世界中、誰もがすぐに勝敗を理解できるので、かなり伸びる余地のある競技なんだが。ヨーロッパのマスコミは、本当に今回の巡業を好意的に取り上げてくれたのでありがとうなんだが。ネイティブ日本人の。在留邦人としては、もう少しちゃんとしてほしかったなと。在英邦人なにしてんの?!って感じだったね。

俺らみたいな在比邦人よりもさ。在英邦人のほうがさ。なんか格上感あるんだけど。ちゃんと声をあげてくれよな。

大きな疑問があるんだよな

どうして日本相撲協会は相撲をスポーツというのだろうか?黙認しているのだろうか?相撲は断じてスポーツではない。相撲は神事である。ヨーロッパのマスコミは、好意的に相撲スポーツについて取り上げてくれたんだが(ありがとう)本当は、在留邦人として、相撲はスポーツではないと声をあげなければならないのである。

で。そんな声は、残念ながら誰一人あげなかったので、俺だけか細い声をあげるとしよう。

 

英国相撲サークル

イギリスにも相撲を愛する人々がいて。ウクライナ人の安青錦が直接訪問するという動画を見たんだが、そこで「相撲というのは素晴らしいスポーツです。誰でも分かりやすく取り組める格闘技です」等と、英国相撲協会の代表が、眼を輝かせてインタビューに応じていたんである。

彼に罪はないんだが、ああ…って感じだ。この程度の理解なのかって感じである。全く何も分かっていない。論外だ。英国相撲の代表者が、どうしてそんな発言をしてしまえるんだろう。日本の奥深い文化の、ほんの表層的なことも知らないじゃないか。相撲という文化を知っているなら、こんな発言は出来ないハズだ。相撲が、陸上競技の100m走と同じくらいの話になっちゃってるじゃん。そうであっては困る。日本人の誰もが、相撲のことをスポーツだなんて思ってないのに….

だって、もしも相撲がスポーツだったらさ。土俵に塩を撒く意味も、弓取り式をする意味も、何一つないじゃん。さっさと。どんどん。取り組みさせたほうがいいじゃん。そうしないのは何故なのか?英国相撲協会は、そこを考えた方がいいと思うよ。相撲というのは神事なのだということを理解できないと、日本人の心を分かっていないことになる。なんで相撲にはVARがないんですか?なんてこと言い出しかねない。

これはマジで言っておくけど。柔道だって、青色の道着なんて無かった。私たちの国では(当然中の当然)青の道着は一切使用されてないけど、国際試合では使われるようになってしまった。何故なら、私たちにとって。日本人にとって、柔道はスポーツではない。武道である。我々は心技体を重んじるので、常に白い道着を用いるのが当然だったが、テレビで観にくいという理由で、青の柔道着が採用されてしまった。日本人にしてみれば、あんなものは柔道着でもなんでもない。国際試合以外で、青い柔道着を着たがる日本人なんて、誰一人いないだろう。控え目に言えば「ワンちゃんの落とし物でも召し上がれ」という話だ。日本国内においては、全日本選手権まで全ての選手が白の柔道着を着て試合をすることになっている。当然の話である。

だからこそ、今、相撲はスポーツ等と言っている連中に、釘を刺しておかねばならないんじゃないのかってことだ。相撲はスポーツではない。武道でもない。相撲は神事である。神に奉納する儀式である。男共が、チカラ自慢を発揮する土着文化である。

だから、相撲というのは、形式的に勝敗を分けるだけの話で、本質的には力士が神に捧げる祭祀。勝敗さえも関係ないとされている。(もちろん勝者には景品がある。これは禁忌ではなく当然のことだ)

よく「奉納相撲」というのがあるが、アレこそまさに相撲の本質だ。例えば靖国神社には、当然土俵がある。(毎年奉納相撲をしている)コレ全国各地の主要な神社に土俵があるのと同じことなんよね。相撲って一種の宗教儀式なんよね。だから体重別の階級がないでしょ?

現在の大相撲は興行化しているけども、田舎では、いわゆる神社の奉納相撲というのが今でもあって、男なら誰でも勝手参加できるようになっている。ここで負けても屈辱ではなく、挑んだことを褒め称えられるという、古来からの文化がある。土俵は女人禁制だが、それも昔の人の知恵だ。勝気の女性が土俵に上がって事故になったら殺してしまうからだ。

相撲は日本文化の集大成みたいなところもあるので、相撲はスポーツではなく神事であるということを、一応声をあげておく。

なお、今回の日本相撲協会の巡業ケチをつけるつもりは一切無い。

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結びの一番では、きちんと行司が小刀を刺していたからな。これは当然のことだが、海外公演だとそうもいかない。このへんを守った日本相撲教会はエライ。

来年、パリ公演をするそうだが。いいか!相撲はスポーツでもなんでもないんだってことを、パリっ子にきちんと伝えてくれよな。

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