あり得ない比人に会ってしまった件

玄関のドアを開けると、夫婦っぽい男女がわたしにギャンギャン言ってきたのである。ギャアギャアわめきだしたのである。

もちろん知らない人だ。いったい何なのであろうか。

クリスマス前の乞食とも思えないんだけど、とにかく二人同時に喋っているから分かんない。

なんなのよもう!と話を聞いてみれば。

この夫婦は、わたしの車(駐車場に止めてある)にぶつけたということらしい。
それで、謝りに来たというのだ。ごめんなさいと言うことなのだ。

 

 

「は?」である。

「はぁ?」である。

バカなのかこの夫婦。あまりにもフィリピン人の行動原理から外れている。

こういうのをウタックイピス(脳に虫が湧いてる人)という。なんの話なのか!?
人の車にブツけただって?だったら逃げればいいじゃん。証拠はCCTVくらいしかないんだから。

まともな比人なら、止めておいたお前が悪いくらいの発想をするのが普通だ。
それをだ。わざわざ詫びを入れに来たのである。

え。こんなことあり得るの?である。まるで、マンガ日本昔話に出てくる正直爺さんではないか。

わたしは感動してしまったのである!!

駐車場に止めていた車にぶつけたといって、わっざわざ自白してきたヤツがいたのである!!

こんなことあり得るか?あり得ないのである。(日本だって、しらばっくれるヤツがいるであろう話よこれ)

 

私はもう感動してしまったのである!!(二回言いました)

そうかそうかと言いながら、三人で車を見に行った。

うーーーーん・・・・・

ワリとガッツリイッているのであるw
しかしそれよりも、名乗り出てきて詫びを入れたこの夫婦がスゲェと思って、車の傷なんて頭に入ってこなかった。

『騙されたほうが悪い、ヤラれたヤツがマヌケ』という世界でずっと生きていると、感覚も麻痺してくる。

この夫婦は、黙ってりゃ分かんないのに、わっざわざ管理人に尋ねて俺の家を特定し、詫びを入れてきたのである。

フィリピン流でいうと、ただのマヌケである。黙って逃げりゃあいいではないか!!

 

最初、この夫婦が、なにを言っているのかさえも分からなかった。
私たちはあなたの車に当ててしまったとか言っているんだけども、それが何?という話である。

もしかして、駐車しておいた俺が悪いという話になるんじゃないか位に思っていた。
(悪いけど海外では、こんな話になることが普通にある)

それが、当ててしまってごめんなさいだと?何言ってんだテメーである。

俺はもう感動してしまって。もう全米が涙したってくらいに感動してしまって。

修理代なんてどうでもよくなって、その夫婦は追い払ったのである。

 

いやーーーーー・・・・

こういう善良な人たちがいるからこそ、フィリピンという国家もある程度まともに回っているんだろうとは思っていた。
フィリピンという国家を形成するにあたって、いわゆる汚い比人ばかりであれば、今のフィリピンは無いわけである。

それにしてもだよ。逃げてOKなシーンで、わざわざ管理人に連絡して、車ぶつけちゃいました弁償しますという比人がいたんよ。

なお、修理代の見積もりは8500ペソだったんだけど、その夫婦の月収は、おそらく3万ちょっとくらいだとスルドク推察したんで、
もちろん請求はしないでおいた。

何故なら、正直比人がいたこと自体が、わたしにとってうれしくって仕方ないことだったからである。

この話を周囲にすると「ソイツはエライ!」と、みな腕組みして頷いてくれた。

結局のところ、この正直夫婦は弁償せずに逃げたんだけども、とにもかくにも正直に話したということが物凄くエライ。

 

 

だから、わたしは今日まで機嫌がよかったんだけども。

今日。わたしが停車中に、わたしの車の側面に、電動バイクが右舷に直撃したんよね。
そいつはバックのやりかた知らなかったらしく、オレの車に当たってから、さらに前進してきたんよね。
ぶつかってから、さらにねじ込んでくるってのがイイよね!普通下がるわけなんだけど、ソイツは俺にどけろといってきたからね。

ああ。やっぱりコレが普通だよな。こうでなければフィリピンではない。

明日、明るくなってから、電動バイク突撃の傷を見ようかと思うんだけども、それすら別にどうでもいい。

わたしにとって車は足であり、いわゆるゲタ車に乗っているので、傷なんかどうってことないのである。
今後さらにボロボロになるであろうが、比でイイ車に乗る価値を見出してないので、心の底からどうでもいい。
エアコンがしっかり効いて、真っ直ぐ走ればいいのである。マニラで、いい車に乗る意味がない(と私は思っている)

この考えは本当に正解だった。

わたしの車は想定内にボロボロになっているが、マニラでは全塗装したとしても大した金額ではない。

わたしは、トライシクルや電動カートが突っ込んでくる社会に住んでいる。

車についた小さな擦り傷を気にしてオロオロ生きたくない。そもそも誰に対して見栄を張ることもないのがマニラの生き方だ。

というわけで、ショッピーで37ペソで買ったタッチペンで、なんとか傷を埋めたいと思うw
この涙ぐましい努力よw 俺はいいけども、あんまりボロボロな車で空港送迎とかするわけにもいかないカンなぁ~
それよりも、いっそ新しい車買ったほうがいいのかな?でもまたどーせボッコボコになるしなぁ。