フィリピン保釈金詐欺について
ワイのフォロワー様の奥様が、国際ロマンス詐欺に引っかかって離婚秒読みのようだ。
陰ながら応援していただけに残念である。
なるほど国際ロマンス詐欺というのは、引っかかった場合家庭を壊すことになるわけだ。
ただの詐欺ではない。本当にひどい話だ。
まぁ、離婚に至るということは、今回のロマンス詐欺以外のことでも色々あったんだろう。
部外者としては静観するしかない。
というわけで、国際ロマンス詐欺が外人向けとすれば、実はフィリピンには
伝統的な同一方法での詐欺があるのをご存じだろうか。
フィリピン保釈金詐欺とはなにか?
この詐欺は、あなたの身近にいる人が、逮捕されることからはじまる。
これはフィリピンにいるフィリピン人にはよくある話である。
これは、私たち外国人は、あまり、というか全くないんだけども、
同じ比人同士の場合わりと発生するイベントである。
比人が逮捕されても(どうせ牢屋が少ないので)釈放されるわけなんだけども、
「お金を詰めばすぐに出ることができる」という言葉があり、それは事実でもある。
実際、比の牢獄環境というのは、一秒でも早く出ないと死ぬかもしれない系にヤバイので
ものすごく説得力がある。
たとえば。そう。たとえばなんだけど。
あなたが付き合っている(と、あなたは思っている)
彼女の弟が逮捕されたとして、保釈金を払えば釈放されるという場合。
これ払いますか?
ということだ。
比の保釈金(というか出る為のお金)というのは、
だいたい15000ペソくらいなんだけども、
日本人に来る話というのはその10倍20倍ということも多い。
つまり中抜きされるということである。
捕まったのは真実で、保釈金を払ったのも真実なんだけど、額が違うということだ。
比の保釈金というのは、通常凄く安い。これを知らない外人が引っかかるのである。
実際にあった例
わたしの友人の身内が、引っ越しバイトをしていた。日給500ペソ。
必ずチップが貰えるので、田舎ではオイシイ仕事だ。
その子が、引っ越し作業中に鏡を割ってしまったらしい。
どうせ大した品じゃないくせに、依頼主は大騒ぎして引っ込みが付かなくなり、
なんと逮捕されてしまったのだ。
そんなことある?あったのである。一体なんの罪になるのか?
日本ならそう言えるけど、ここはフィリピン。
なんの罪かよく分からないけど逮捕されたのである。
交通違反の切符のごとく逮捕される比人
その男は、わたしもよく知っているヤツであった。
常に上目づかいで、オドオドしていて、虫も殺せないような、気のイイ男である。
すごい優しい男で、オレは好きだった。
なにしろカネのことは、とにかく自分で働いて稼ぐヤツであった。
オレになにかタカることはしない。そんな発想すらしないヤツだったから好きだった。
貧乏ながらに結婚して、貧乏ながらに家を借り、嫁と一家を構えて、
マリキナあたりのプレハブ住宅に住んでいるヤツだった。
実入りの良い工事現場や引っ越しといった、日給500ペソ確定できる
現場労働を好み、小さいけれどマトモで、誠実だけど貧乏な暮らしをしている
男であった。走れメロスみたいなフィリピン人である。
なにが気に入ったかといって、オレの家で盗みをしなかったのはソイツだけであった。
オレが酔っぱらって寝ると、比人はオレのスマホや財布をあさったんだけども、
ソイツだけは止めてくれていた。(気が弱いから抑止力にならなかったけど)
だから俺は、コイツは信用できるな。なんかあれば使ってやろうと、
内心思っていた。いい男であった。
義理と仁義を知る比人というのは一定数いるのだ。まさにそんな男だった。
そいつが、引っ越しバイトでヘマをした。
客の鏡を運んでいて、ガッシャーンしちゃったのである。
もちろん悪いことだけど、こんなことってあり得る。
絶対わざとしたわけじゃない。する理由が無い。
悪いことするなら、引っ越し荷物を途中でパクったほうがはるかにいいんだから。
だから、ソイツが逮捕されたと聞いたとき、オレはすっ飛んでいきたい気分になった。
ところが保釈金のカネが、バラバラなのである。
誰に聞いても高額。そんなハズはないのである。
フィリピン。特にマニラというのは、常に牢屋がパンパンで、
保釈金はどんどん相場が下がっている。
合法的に牢屋から出るヤツがいないと、次、逮捕できないのである。
だから、何十万ペソという話こそ沢山あったけど、庶民にそんな額払える
訳がないと直感し、結局オレ自ら動くことになった。
フタを開けてみると、一万ペソチョイであった。
オレは、返ってこない一万ペソを払って保釈させてやった。
ついでに「被害者」とも会って和解した。
比人というのは権力があったり、ヤバイと思ったりすると、すぐに手のひらを反す。
今回はそれが見事にハマったケースだった。
(そもそも、鏡が割れたくらいの小さな話である)
ソイツは、一か月も牢屋にいたので心底怯えきっていた。
不潔で、痩せていた。酷すぎる話だ。
オレは牢屋から出してやった。
これは、ひとの命を救ったに等しい。
「ゴミ山ナンチャラのボランティア活動」よりも、よっぽど生きたカネの使い方だと思う。
こいつは、捕まった時オレに手紙を書いてきたんだけど、宝物である。
なにしろ、この男は、鏡を割ったことを恥じていたのである。
こんなフィリピン人もいるのだ。
保釈金を払ってくれ、ではなくて、あまりに不潔な牢屋環境なので
漂白剤を一本送ってくれという内容の手紙だった。
オレは心動かされたね。
こういうオトコが逮捕されるフィリピンは間違ってる。
全額出して保釈させ、「被害者」と話を付けて終わりにした。
それにしても、この保釈金というのは、どうも典型的な外人詐欺のようなのである。
まず、お金を出してといいやすい。捕まったのは本当なんだから、書類もなにも
全部揃っている訳だし、写真だって動画だって面会だってリアルだ。
疑う余地がないのだ。問い合わせても本当に捕まっているんだから。
そして、保釈金というのは、日本の場合、最低でも50万円くらいはいる。
まさか1.2万ペソでいい、というのは想像しにくい。
1.2万ペソというのは、比ではレッキとした「惜しい額」だ。
田舎なら、最低日給以下の300ペソ/日くらいの労働条件なんて普通にある。
給料ナシでメシだけ食わせるなんて条件だってあるし、24時間住み込み契約なんてのもある。
そんなひとたちが2万ペソ準備するというのは、これはもう1000ペソを
20人から借りることしかない。そして一刻も早く保釈させることである。
そんなとき、外国人のあなたがいたら、5万ペソがポンと出るのである。
日本人の五万ペソというのは、痛いが個人で準備はできる程度のカネだ。
では架空だったらどうなるのか
架空の話として、保釈金がいると言われた場合、これを断るのは
日本人という精神性からいって、かなりキツいものがある。
我々は義理を重んじるし、会った人が牢屋で、つまらないトラブルを起こして
ガラスの破片でお腹刺されて死んじゃったみたいなことには絶対なりたくない。
ある意味、フィリピンを知っている人ほど、引っかかりやすいのが
架空保釈金詐欺と言える。
この保釈金詐欺は、あなたが愛のある結婚していれば大丈夫なのだが、
そうでない場合、身内が逮捕されたということでカネを引き出しやすい。
(※比人の場合、身内なんて百人単位でいる)
また、結婚前のお付き合いの段階で、高額な保釈金どうしよう系の相談というのは
つまり「カネをくれ」という意味と同様でもある。
疑うなら実際に牢屋にいって本人に会うことをお勧めする。(※会えます)
保釈金相談されたらどうするか
真実逮捕されていて、本当の相談ならば乗るべきである。
実際、逮捕された比人は死んじゃったということがあるので、すぐに外に出すことを
優先したほうがいい。というのも、死んじゃった場合やり直しがきかないからである。
ま、多少騙されたフリをして、多めにお金を送るのが正解なのかもしれない。
高額請求の場合、あなたが日本にいると少し厄介である。
この場合、あなたが信用できる人(日本人)に日給を払って、動いてもらった方がいい。
ただしこの手の話だと、
日本人は一日一万ペソでも難儀するので騙されたほうが安いという矛盾が生じるw
マニラにいる日本人の日給相場は、ここ最近天井知らずで上がっていて、
通訳コミの場合、最低1.5万ペソくらいになっている(日給である)
こういうややこしい案件だと、おそらく成功報酬が乗っかるので、
もうあなたが有給とって、フィリピンに来た方が安くて納得できるだろう。
それにしても、ソイツとはしばらく音信不通である。
カネを返せないという思いがあるんだろうか?
こういうヤツからカネを取りたくないけども、こういうヤツほど返したがるのも万国共通だ。
オレも偉そうなこと言えないけど。
ソイツを助けたことについて後悔はない。
それに、ソイツからカネを受け取ることはない。
誠実に生きている比人。嫁と子供(知らんけど今頃何人も産んでいるだろう)もいるだろう。
そっちに使ってくれたらいい。俺は、血が出るような500ペソを受け取る気にならない。
ま、遊びにいったら、粉のネスティ割で。
エンペラドールの回し飲みでもしたい気分ではある。
こういう「人脈」っていうのはカネでは買えない。
そういう意味では、オレは資産家であるw
比の保釈金詐欺は、比をよく知っている人だからこそ引っかかる。
やはり現場第一。現地第一なのだ。
ナンジュウマンペソの保釈金請求を、ウエスタンユニオンで送ってくれと言われたら、
「まてよ。ブログで読んだな」と、ちょっと引いてもらって、事実を明らかにしても
いいだろう。真実その金額が保釈金なら送ればいい。それで済むではないか。