フィリピンで映画スラムダンクを見にいく
最近話題の、映画スラムダンクをマニラで見にいった。ネタバレになるので映画の内容には触れないが、一応感想を書いておこうと思う。
マニラでの映画
はじめにマニラでの映画の見方について簡単に書いておこう。
マニラで映画を見に行く場合、一番簡単なのはSMに行くことだ。行けば大抵映画館はある。
予約することもできるが、ナシでも大丈夫だ。空いていれば座れる。映画館内はザックリ飲食可能だけど、劇場内に売っている
コーラやポップコーンを買うのが無難。
上映時間20分前くらいから予告、国家斉唱、視聴注意などが流れる。上映時間後ではない。
日本の場合、上映時間は他の予告等も流れると思うけど、フィリピンの場合の上映時間とは「本編開始時刻」のことである。
映画館は公共の場所ということになっている。大衆浴場と一緒で、簡単な法律などがある。(迷惑行為の禁止)
またフィリピン国歌が流れる。
昔のブログだと『マニラの映画館では、胸に手を当てて起立脱帽斉唱』云々書いてあるが、今はほとんどない。画面を眺めているだけだ。
トイレは世界共通。入口両脇にある。音響システムは意外にも物足りない。
サスガにフィリピンだけあって、面白いところは笑うし、ヒマなときはツレとオシャベリしたりする。
マナー大国日本ではないので、スマホの電源いれたままのひとなんて普通にいる。
逆に考えると、ツレとしゃべりながら、笑ったり泣いたりできるのがフィリピン映画鑑賞のいいところと言えるだろう。
画質については水準だけど、日本より悪い。それも引き伸ばし上映なので、小さい文字の日本語は読み取れない。
特にスタッフロールの漢字はかなり読みにくい。
オリジナル日本版で「スタッフの名前が読みにくい」ということは100%絶対あり得ない、あってはいけないことなので、
これは画質の問題だろうと思う。本編視聴には問題ない程度ではあるけども。
料金
今回は400ペソであった。(約1000円といったところか)
断っておくが、これは堂々とした正規料金である。海賊版ではない。これが著作権料込の、定められた値段である。
フィリピンの場合、上映場所で値段が少し違う場合があるけど、だいたいこんなもんである。
映画料金というのは調べてみると非常に面白いので(映画産業は投資の世界でもあるのだ)
料金について興味のある人は調べてみたらいいだろう。とにかく今回は400ペソでスラムダンクを見ることが出来た。
チケットと同時に、座席を自分で指定できる。空いている座席を見て、ココと指定できるわけだ。
便利なように思えるが、自分の前のヤツが迷っていると行列が全然進まない。
映画の座席なんてのは好みなので、好きに指定したらいいだろう。なお人気があるのは圧倒的にウエのほうである。
(スクリーン近くの席は誰も座らない)
フィリピン版映画スラムダンク
さて本題である。前述したようにネタバレになるので内容には触れないでおくが、
ひとついいたいのは「英語字幕が残念」ということである。
今回わたしが見たのはオリジナル・・・つまり桜木花道も、流川楓も日本語を話していて、ちゃーんと安西先生は
諦めたら試合終了だってゆってた。日本語の部分は文句ない(当たり前だけど)
その訳が不自然だった。これが目に入って本編に集中できなかった。
なんだこの訳は?誰が訳した?
スラムダンクは邦画なので、もちろん日本語で楽しむのが一番いい。でも海外ファンならそうはいかない。
そもそも字幕が小さい。かなり小さいので読みずらい。しかも文字色が白である。
バスケシーンでは、肌色のコート色と白の文字が重なって、ぜんぜん読めないのである。
こういう日本アニメの翻訳というのは、ファンが上手に字幕をつけ、原作に忠実に翻訳する人がいるものだけど
(わたしはそればっかり見てる)ある意味プロの翻訳を読んでエエー!という感じだった。
かなり機械的な訳だったし、日本語のジョークも伝わらないだろうな、というか・・・
なんといったらいいのか。こなれてない感があった。
例えば桜木が宮城に「りょうちんこ」という訳はryochin-jeck だったんだけど、ファンならryochin-ko!と訳さねばならない。
(下ネタで恐縮だけど、日本アニメファンはこういう単語は知っているものである)
一番気になったのが、桜木が流川のことを「楓」と呼んでいることだ。
原作では、たぶんそんなシーンは一度も無いと思うんだけど。
スラムダンクフィリピン版では、湘南高校は下の名前で呼び合っているのである。これでは世界観ぶち壊しだ。
原作では「個々が能力を発揮しつつ、ひとりひとりは強豪に叶わないがチームで打ち勝っていく」というのが
この作品の面白さな訳で、この五人はお互いを苗字で呼び合う必然性がある。特にスポコンなんだから、
「ルカワ」は「カエデ」じゃないのだ。
絶対に苗字で呼び合うことで「俺たちゃ友達でもなんでもねぇんだよ。なれ合いじゃねぇんだよ」という
チームの雰囲気があったわけだ。原作通り苗字表記にして欲しかった。
「ミツイのスリーポイント」が、ヒサシのスリーポイントという風に、わざわざ要らん修正があった。
分かりやすく名前のことを書いたけど、他にも誤訳とは言わないけどみたいなところはちらちらあった。
劇場には、海外のスラムダンクファンも足を運んだんだと思うけど、いろいろ欲求不満が溜まった感じだったかなと思う。
最低日給500ペソ(時給ではない)ほどのマニラで、400ペソ払って見に来る人は、それなりに目が肥えているし
日本アニメの造形も深い。席の後ろで桜木の解説をしているオヤジがいたほどである。
なんつうか、本編内容もそうだけど、どうしてこうなった?と惜しい感じが悶々として、
細かいところが気になって楽しめなかったというのが感想である。もっともわたしの性格なのかもしれないけど。
もっと思い切って、原作寄りの英語版にしてくれたらよかったのに・・・意訳でもいいから。
あと、画面潰れてもいいから、文字は読みやすくデッカク書いてほしかった。
よかったところ
良かったところは、やはりバスケシーン。まさに動く原作といったところで、ここは文句なしに良かった。
アンチの人はロボットのような動きとか言っているが、あれはモーションキャプチャーで作り込んだらしく、人の動きを
再現しているようだ。わたしは素直に楽しめた。