マラボン動物園:必見!フィリピンマニラの知られざる動物園

マニラの動物園に行ったことがあるだろうか?

「ああ、マニラZOOね。いったことあるよ」という人がほとんどだろう。最近めでたくリニューアルオープンしたそうである。
大使館からほど近いベイエリアで、一応満足感を得られる場所だ。暇つぶしのデートスポットとして使える。
ま、マニラズーはいいんだ。安いしな。

実は、マニラにはもうひとつ動物園があるのをご存じだろうか。あるのだ。そう。もうひとつ・・・
その名もマラボン動物園という。バカボンではない。マラボンである。

この動物園は、とにかく一度だけ行くことをお勧めする。なんというか、世界にここしかないという動物園なのだ。

というわけで、今日はほとんど情報の無い動物園。『マラボン動物園』をご紹介しよう。

まずは地図。ここである。

みてのとおり、ケソンにある。こんなところに動物園あんの?という場所である。
さほど悪い立地ではない。中心地から小一時間もかからない。ケソンに行ったことが無い人にとっては新鮮だろう。
デートスポットとして見るなら、日中このくらい距離があったほうがいい。

外人のレビューに「分からなくって通り過ぎてしまった」というレビューがあるけど、
まったくその通りで、入口は分かりにくい。

 

これが入口である。なるほど・・・たしかにマラボンZOOと書かれている。市販の風船人形が置いてある。
この雰囲気・・・。そう。マラボンワールドは、ここから幕を開けるのである。

 

 

マラボン動物園はスゴイのである!

入口からしてスゴイ。

テーマパークにありがちな行列など皆無である。ヒトケがない。
そしてとにかく情報量が多い。もう入口だけでお腹いっぱいである。

園内に入ると、またスゴイ。張り紙がメチャクチャ多いのである!

どうも、子供たちの社会科見学向けに「為になる言葉」を貼っているようなのだが、その異様さには圧倒される。
しかもメンテナンスされていないので、ところどころ破れたり読めなかったりしている。怖い。
この動物園の運営者は、間違いなくチャーチババエ(平日でも教会にいく女)だろう。

—–壁という壁に神の言葉が貼ってある動物園なんてあるだろうか?いや無い。

 

いや動物を見に来たんだけど・・・?

展示物

展示動物はこんな感じである。マニラ市内のペットショップに行った方がいいんじゃないだろうか?
というくらい悲しい感じである。そしてスキマなく神のありがたい言葉が書かれている。

 

動物園かこれ

極めつけは、神の言葉付、ワニのぬいぐるみである!
言っておくがフィリピンというのは、ワニが沢山いる。
マニラ動物園なんて、何十匹いるか分からないほど大量にいる。
おそらく餌代の都合なんだろうけど、まさか模造品とは思わなかった。入場料払ってみるもんなんだろうか・・・

そこからウンザリするほどの神の言葉と、なんだかよくわかんないシーラカンスみたいな魚がポロポロとあるだけという
内容だ。

普通、動物園というのは
「この魚はナントカという名前で、ナントカという学名で、フィリピンからインドネシア近海に棲んでいて・・・」
なんていうウンチクが書いてあるものである。
しかしこの動物園は、動物の説明書きはなくって「人はうまれながらにして罪人である」なんてことが書いてあるのだ。

それでも一応、魚類、鳥類、両生類と、一通り珍しい動物はいる。写真もあるけど割愛する。

メインスポットもあるにはあるのだ

ライオンである!!おおおおおお!!!!

やはり動物園といえばライオン。これがいなきゃ始まらない。
動物園と名乗っている以上、コイツがいなきゃいけない。ヨシ!!
これは高得点なのである。

ここに来て「アッ、ここ動物園だった」と気づくひともいるだろう。
そう。今日は朝起きて、動物園にいこうと計画し、マラボン動物園の地にいるのだ。
健全で、それなりに間違いない選択を、あなたはしたハズだったではないか。
思い思いに動物を眺めに来たハズではなかったか。

そう。ここはそもそも動物園だったのだと思いだす貴重な場所である。

というわけで、一応ライオンがいるということで、なんとなく入場料分の元は取った気がする。
逆にいうとライオン以外の見どころは無い。日本のだいたいの動物園にいる等といってはいけない。
おそらくライオンだけは頑張って維持しているんだろうから、ここはじっくりと見ておきたい。
マラボン動物園の矜持である。実際珍しいことは珍しい。

この動物園。自分以外の客は一切いないので「立ち止まらないでくださーい」なんて言われることは一切ない。
あなたが美大生なら、何時間でもスケッチできる。ライオンに日本語で自己紹介して、滔々と話しかけても大丈夫だ。
完全に飽きるまで、あなたはライオンを独占できる。

 

改めてマラボン動物園とは?

このマラボン動物園。どうも一般客というよりも、マニラ市内の学校が社会見学に来ることに特化しすぎているので
オーナーの突き抜けっぷりがヤバイ。

園内に一歩踏み入れると、楽しいハズの動物園が、みるみる精神的に削られていくのだ。
休みを利用して、海外の動物園に、仲間とワイワイ行きたいなら先にマニラ動物園か水族館に行ったほうがいい。

マラボン動物園は素人にはオススメできない。
とにかく神の言葉が園内にスキマなく貼ってあるので、「英語なんて勉強しなきゃよかった」と思うこと間違いない。
もしここで信教の自由なんて言葉を吐いたらライオンに食われるであろう。
池田大作も折伏されてキリスト教に宗旨変えするほど、ここには神の言葉が貼ってある。動物園というよりほとんど宗教施設に近い。
かなり腹をくくって行くべき場所だ。遊びじゃねぇんだよという心づもりが必要である。

チャラチャラと「出会って一か月記念♡」なんてマラボン動物園に行ったら、
帰るころには彼氏が「生まれて一度も罪を犯したことの無いひとだけが石を投げなさい」なんて言い出しかねない。それほどの場所である。

赤字なんだそうだ

実はこのマラボン動物園。ただでさえ神に守られ過ぎていることで、どうも過分な試練を課されたらしく、大赤字なんだそうである。
ただでさえ赤字なのに、この数年のコロナ騒動が直撃している。動物のエサ代というのは絶対削れないので、相当ヤバイ状態らしい。

あのかわいらしいワニのぬいぐるみが処分され、パヤタス行になることを考えると心が苦しいというものだ。

 

ここまでボロクソに書いておいてなんだけど、読者の方は、是非一度足を運んでみてはいかがだろうか。
なにしろ、いつ閉園してもおかしくない状態の動物園である。それだけで思い出になるだろう。

マニラの観光地で、いまさらイントラムロス!世界遺産!なんて何度も行って、とっくに飽きている人でも、
このマラボン動物園は知らなかったという人も多いのではないだろうか。
まったく宣伝していないので知らないのも当然だ。日本語記事もほとんどない。

自分の入場料(赤字なのになぜか安いのはエライ)が、少なくても餌代になると思えば、暇つぶしとしては悪くない。
動物園に行くという行為は、世間一般で正当な休日の過ごし方とされている。

視点を変えてみると、これほど独特な動物園というのもない。絶対ない。
紹介しきれなかったけど、他にも草食動物や水生生物も展示してある。そのへんはジカで見て欲しい。

動物園の向かえには、なんと座敷式のオシャレカフェがあるので、そこでアイスコーヒーでも飲みながら、
存分に感想を語り合えるのも良い。

なんだかんだ休日は潰れてくれたわけだ。とてつもない海外の動物園で。
家でゴロゴロしているよりよっぽど有意義だと思う。

見学が終わったら、やっぱりバカボン動物園だったと叫んでもいい。

この動物園は、餌代お願いしますチップチップみたいなことは一切ない。入場料だけで運営している。
(もっといえば私設である。これはスゴイことだよ)
だから、なんかよくわかんない動物らが、今日も食いつなぐことができる費用を、見学料として払うのは、
大いに納得できるわけだ。わたしがいったときは、たかが210ペソであった。

よくいえば、味のある動物園。一度行けば二度といかないと思うんだけど、何故か数年たつと、
また行ってみようかと思える(いやいかないけど)不思議な場所である。